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2017/9/11 18:25

AirPodsに続くヒットは生まれるか!? プロが選んだ「完全ワイヤレスイヤホン」の注目モデル9選

ベルリンで開催されたエレクトロニクスショー「IFA2017」には、今後のデジタル製品のトレンドとなる最新製品が世界中から大集結しています。今年の会場で目立っていたのが、昨年に「EARIN」やAppleの「AirPods」の登場によって一気に注目を集めた“完全ワイヤレスイヤホン”でしょう。

↑Apple「AirPods」
↑Apple「AirPods」

 

ポータブルオーディオのワイヤレス化が進むなか、ワイヤレスの究極形態ともいえる“完全ワイヤレス”は、左右のイヤホンが独立した耳栓のような形状が特徴。従来のBluetoothイヤホンのように、左右のイヤホンをつなぐケーブルがなく、より自由で快適に装着することができます。

 

今回、IFAに出展された製品の多くが日本でも展開しているブランドのものなので、これから日本に上陸する可能性も高く、注目度も大。なかでも特に注目したい9つの完全ワイヤレスイヤホンを紹介していきたいと思います。

 

気になるソニーの完全ワイヤレスイヤホンをチェック

まずはソニーが日本での発売スケジュールも公開した「WF-1000X」を、IFAの会場で試してみたインプレッションから報告します。日本でも10月7日に発売される決まっている製品です。

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↑ソニー「WF-1000X」。ケースはやや大きめ

 

1000Xシリーズといえば、昨年のIFAで発表されたワイヤレスヘッドホン「MDR-1000X」が世界的な大ヒットモデルになりました。スマホやDAPを使ってアウトドアで音楽を聴く際には、Bluetoothによるワイヤレス接続や周囲の騒音を軽減してくれるノイズキャンセリング機能がとても役に立ちます。その両方を搭載するいわゆる全部入りのヘッドホンで、タッチセンサーリモコンを搭載した高機能・高音質なMDR-1000Xのエッセンスを受け継いで、さらに利便性の方向に振って進化を遂げた完全ワイヤレスイヤホンが「WF-1000X」です。

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ケーブルレスなので身に着けた時の負担が少ないだけでなく、完全ワイヤレスイヤホンとしては珍しいデジタルノイズキャンセリング機能を搭載しているのが特徴です。カナル型イヤホンはもともと遮音性が高いので、ノイズキャンセリング機能は不要かと思っていましたが、IFAの騒がしいブースで試してみたところ、機能をオンにしたときの静かさにはやはり明かな違いが感じられました。

 

これほどまわりの音がきこえなくなるぐらい静かだと、歩きながら音楽を聴くときに少し不安な気もしてきますが、そこはMDR-1000Xでも評判の高かった「外音取り込み機能」を搭載して課題を解決しています。音楽再生のコントロールやノイズキャンセリング機能は本体に搭載するボタンで操作する仕様になりますが、左側にあるボタンを押せば外音取り込み機能のオン・オフが切り替わります。

 

スマホとのペアリングはNFCからでも行え、シンプルでわかりやすく、音質についても各帯域の音をバランスよくしっかりと鳴らせるパンチ力は、さすがにソニーの1000Xシリーズだなと感心させられました。

 

ただ、MDR-1000Xをはじめ、このところのソニーの高級ワイヤレスヘッドホン&イヤホンが力を入れて搭載していた、Bluetooth接続でハイレゾ品質の高音質が楽しめるLDACやaptX HDに、今回発表されたヘッドホンとネックバンドイヤホンを含む3モデルの1000Xシリーズのなかで本機だけが対応していないのが何とも残念。背景には電池寿命とのトレードオフがあったそうです。また左右のイヤホン間の“音切れ”によるノイズを避けるのに効果的なNFMI(近距離磁界誘導)の技術も採用されていないので、実力のほどは満員電車やラッシュ時間帯の駅構内など、厳しい環境でテストしてみないことにはわからない部分が残りました。ファンがソニーのプレミアムイヤホンに求めるクオリティに、しっかりと応えられるタイミングで発売される完全ワイヤレスイヤホンなのか、要注目です。

 

B&O PLAY初の完全ワイヤレスイヤホンは高い完成度

デンマークのB&O PLAYはハイレベルな音質と機能を組み合わせながら、リスニング体験を最大化する機能美あふれるヘッドホンやイヤホンを数多く発表しています。「E8」は同社初の完全ワイヤレスイヤホンです。

↑B&O PLAY「E8」。キャリングケースもコンパクト
↑B&O PLAY「E8」。キャリングケースもコンパクト

 

開発コンセプトはユーザーのリスニングスタイルに自然と寄り添うこと。ブラックを基調としたボディは一見すると少し大きめのように見えますが、曲線的なデザインのハウジングが耳に自然とフィットするので、身に着けてみると違和感はまったくありません。音質もバランスとつながりが良く、中域には爽やかな抜け味が感じられます。aptXには対応していませんが、左右間の接続にはNFMIを使っています。イヤホンのフェイスプレートの部分がタッチセンサーリモコンになっていて、音楽再生がタップでコントロールでき、スマホアプリのイコライザー機能で好みの音質にカスタマイズも可能。充電器の機能を兼ね備える専用ケースがとてもコンパクトなので毎日持ち歩きたくなる魅力があります。

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JBL FREEはロングライフバッテリー性能が自慢

JBLも初の完全ワイヤレスイヤホン「JBL FREE」を発表しています。こちらはヨーロッパで11月から149ユーロ(約2万円)で発売が予定されている製品。

↑JBLの初めての完全ワイヤレス「JBL FREE」
↑JBLの初めての完全ワイヤレス「JBL FREE」

 

とにかくシンプルで使いやすい完全ワイヤレスイヤホンを目指したという本機はバッテリーのスタミナを重視。イヤホンだけで4時間の連続音楽再生が楽しめて、充電機能を搭載するケースでチャージすれば最大20時間近くリスニングを楽しめます。オーディオコーデックはAAC/SBCの2つに対応。IPX5相当の防水機能を備えているので、雨の日に使っても安心です。片側だけで使うモノラルリスニングモードにも対応しており、仕事中に電話や呼びかけにも対応できるよう片耳だけ音楽を流しておくことも可能。

 

低音を強化したフィリップス

フィリップスの完全ワイヤレスイヤホン「SHB4385」も、いうまでもなくブランド初の試みです。ヨーロッパでは10月から130ユーロ前後で発売を予定しているそう。イヤホン本体だけで6時間、充電器ケースを併用すれば約12時間連続して使えるバッテリー性能を備えていますが、イヤホン本体で6時間はほかにない特徴になるでしょう。オーディオコーデックはSBC対応。シンプルですが、低音を重視した厚みのあるサウンドが個性を主張しています。ハウジングにある「+」のマークは、今年のIFAでフィリップスが発表した低音重視の「BASS+」シリーズに本機が加わることの証明。日本での発売にも期待しましょう。

↑フィリップスの「BASS+」シリーズの完全ワイヤレスイヤホン
↑フィリップスの「BASS+」シリーズの完全ワイヤレスイヤホン

 

女性にもおすすめしたい北欧デザインの完全ワイヤレスイヤホン

スウェーデンのデザインコンシャスなヘッドホン・イヤホンブランドのSUDIOも、スタイリッシュな完全ワイヤレスイヤホン「NIVA」を発表しました。ヨーロッパでは11月に発売が予定されていて、価格が約99ドル(1.1万円前後)とお手頃。カラバリはブラックとホワイトの2色をメインにしていますが、ホワイトのモデルはハウジングの一部にローズゴールドのパーツをあしらった、女性にもおすすめしたくなるようなデザインになっています。プレゼントにもよさそうですね。

↑SUDIOの「NIVA」は2色展開
↑SUDIOの「NIVA」は2色展開

 

アスリートのためのイヤホンが第2世代に進化

Jabraの完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite Sport」はすでに日本国内でも発売していますが、IFAで同じ名前の第2世代機を発表しました。特徴はバッテリーの性能が約50%アップしたこと。イヤホン単体での音楽リスニングは約4.5時間、充電器ケースを併用すれば合計13.5時間も使い続けられる計算になります。

↑Jabra Elite Sportは早くも第2世代に突入
↑Jabra Elite Sportは早くも第2世代に突入

 

本体はIP67に準拠する防水・防塵性能として、名前の通りスポーツでの使い勝手を高めています。心拍センサーを内蔵していたり、スマホアプリ「Jabra Sport Life」と連携して様々なスポーツのコーチングアイテムとしても活躍してくれそう。左右イヤホンの接続にはNFMIを使っているので安定感が高いのも嬉しいところ。ヨーロッパでの販売価格は249ユーロを予定しています。順当に行けば日本発売も近いのでは?

 

イヤーフックで落ちにくいスポーツ向けイヤホン

同じスポーツ系の完全ワイヤレスイヤホンには、アメリカのBRAVENが秋に発売する「FLYE SPORT GLO」もあります。価格は199.99ドルになる予定。

↑BRAVEN「FLYE SPORT GLO」は耳掛けタイプ
↑BRAVEN「FLYE SPORT GLO」は耳掛けタイプ

 

本体と一体化するイヤーフックの背面にLEDを搭載して、夜間に屋外で使っている時には淡く光らせてユーザーの安全を確保します。音楽を鳴らしながらマイクで外の音を取り込めるアンビエント・オーディオ・アウェアネス機能もスポーツイヤホンならでは。防水防塵性能は本機もIP67相当。専用のスマホアプリにはイコライザーや低音増強、LEDの光り方をセットアップできるメニューなどが充実しています。

↑充電器ケースにはUSBケーブルも付属
↑充電器ケースにはUSBケーブルも付属

 

音楽プレーヤー機能をイヤホンに一体化

サムスンの完全ワイヤレスイヤホン「Gear IconX」は、ヨーロッパではアップルのAirPodsと同じぐらい人気があるそう。もっともGALAXYシリーズのバラエティが日本よりも豊富で、ユーザー数が圧倒的に多いことも人気の要因かもしれません。そんな人気モデルが、本体に音楽プレーヤー機能を搭載して「Gear IconX 2018」としてリニューアルされます。AirPodsもiPhoneやApple Watchとペアリングして音楽が聴けますが、いっそうのことイヤホンにストレージを内蔵して音楽プレーヤー機能も合体させればいいんじゃない? という発想が新しいですね。ヨーロッパでは10月に199ユーロで発売を予定。前のモデルが日本ではとても限定的に紹介されただけだったので、本機はぜひ日本でも通常販売を実現して欲しいと思います。

↑サムスンの「Gear IconX 2018」
↑サムスンの「Gear IconX 2018」

 

Alexa搭載のスマートイヤホン

最後に、今年のIFAで脚光を浴びたスマートスピーカーの一部が採用するAI音声アシスタント「Amazon Alexa」を搭載する完全ワイヤレスイヤホン、BRAGI(ブラギ)の「Bragi Dash Pro」も紹介しておきましょう。BRAGIはドイツのスタートアップ企業で、最初の完全ワイヤレスイヤホン「The Dash」を“ヒアラブル(耳に装着するウェアラブル)”として発表して支持を受けました。Alexaのプラットフォームを軸にスマート家電とつながって、ボイスコントロールで家電機器が操作できるようになれば何だかすごく未来感が味わえそうですね。価格は349ユーロ(約4.5万円)と少し高めなのと、ヨーロッパでしか買うことができないのが残念ではあります。

↑ブラギの「Dash Pro」
↑ブラギの「Dash Pro」

 

IFAではこのほかにも紹介しきれないほどたくさんの完全ワイヤレスイヤホンが出展されていました。今後、日本でも年末に向けて様々なブランドから完全ワイヤレスイヤホンが登場すると思います。でも選択肢が増えるからこそ、通常のケーブル付きのBluetoothイヤホンと同じく、自分に合ったもの、本当に良いと感じられるものを厳選しながら長く使える1台を見つけたいものです。