AV
2015/5/8 23:25

手頃価格で音質格段アップ! ”ユーフォニアム”をもっと楽しむ

鳥居一豊の「2次元にもっとハマるためのAV機器教室」 vol.3

 

4月のテレビアニメはなかなかの豊作ですね。筆者は個人的に認定した宇宙最萌ヒロイン「つむぎ」の可愛らしさがすでに全開で毎回愛おしくてたまらない「シドニアの騎士 第九惑星戦役」がイチオシです。が、本作は5.1ch音声を収録するBD版が本命ですので、もう少し温存しておきます。

 

というわけで、今回お目当てにするのはこちらの作品です。

 

良音で楽しみたい、吹奏楽部の青春ドラマ!

今回は京都アニメーション制作の「響け! ユーフォニアム」を取り上げます。本作は、小説を原作とした高校の吹奏楽部の部活動を中心に、部員たちの青春を描くドラマです。吹奏楽部が物語の中心だけに、もうひとつの主役は音楽。吹奏楽の楽器のひとつひとつを丁寧に再現した作画はもちろんですが、(今のところはまったく本領を発揮していない)演奏も注目ですね。ちなみに、タイトルにあるユーフォニアムとは、チューバを一回り小さくしたような中低音の金管楽器で、オーケストラ(交響楽団)ではほとんど使われることがなく、吹奏楽やブラスバンドで活躍することの多い楽器。耳慣れない楽器ですが、ある意味、吹奏楽を象徴する楽器とも言えます。

 

京都アニメーションならではの丁寧な作画や可愛らしいキャラクターは、優れた実力を備えた薄型テレビであればその魅力を存分に堪能できますが、もうひとつの主役である音楽をより深く味わうためのアイテムが欲しくなります。それはもちろん、スピーカー。AVアンプとサラウンド用スピーカーで本格的な5.1ch環境を実現するのもオススメですが、毎日それも深夜に放送される作品が多いテレビアニメでは、せっかくの5.1chも音量によっては近所迷惑になりかねません。ここではそこまでおおげさにせず、リアルタイム視聴で十分に優秀な音を楽しめるコンパクトなスピーカーを紹介します。

↑京都アニメーション製作の注目作「響け!ユーフォニアム」。すでにBD、DVDも発売開始している

コンパクトで高性能、しかも低価格なテレビ用卵型スピーカー

それがオラソニックの「TW-D6TV」(実売価格 8000円前後)。オラソニックはデビュー作となるPC用USBスピーカー、TW-S7の音の良さで人気を高め、今ではCDジャケットサイズながらも本格的な音を楽しめる「ナノコンポシリーズ」なども発売し、省スペースで高品位という、イマドキのオーディオリスニングのスタイルにマッチした製品を次々に発売しているメーカーです。TW-D6TVは、よりコンパクトなサイズの卵形スピーカーのテレビ接続用モデル。入力端子をアナログ(ステレオミニ)となっており、薄型テレビのヘッドフォン出力に接続するだけで手軽にテレビの音を高品質で楽しめるモデルです。

 

もともとは、サイズ的にはほぼ同じTW-D5シリーズがありましたが、TW-D6シリーズは、音質をさらに向上した後継モデルです。前面のフルレンジユニットは口径50mmで同じですが、背面に備えるパッシブラジエーター(共振を利用して特定の周波数(主に低域)を増強するユニット)の口径を45mmから55mmへ拡大し、低音再生能力を向上しています。特徴である卵形形状のボディはグリルのデザインを変更して継続採用。剛性が高く、内部に定在波が発生しないためコンパクトサイズでも十分な容積が確保できる点、スピーカーユニットから出た音がボディの反射で乱されることがなく音場感や定位の優れた音を再現できるといった特徴はそのままです。

 

そして、オラソニックのお家芸とも言える、省エネで大出力を実現する技術「SCDS(スーパー・チャージド・ドライブ・システム)」も搭載。回路設計を一新することでさらに音質を磨き上げています。今回の取材では、試聴機をお借りして我が家のシアタールームで60インチの4Kテレビと組み合わせて使ってみました。

 

↑卵形形状が特徴のTW-D6TV。ユニット前面の保護カバーの裏には音の広がりを高めるディフューザーを搭載し、豊かな音場感を実現する

 

 

60インチの大画面と組み合わせても力不足を感じない!

↑パナソニックのTH-60CX800とTW-D6TVを組み合わせた状態。スピーカーが小さいため、ちょっと頼りなく見えるが、心配は無用

 

 

高さ12cmほどの小さなスピーカーで、60V型の4K大画面と組み合わせるというと、さすがに実力が釣り合わないと考える人は多いでしょう。もちろん、大音量でアクション映画をガンガン楽しもうという使い方では、さすがに音圧もパワー感も足りません。しかし、今回は深夜にテレビアニメを高品質で聴くことが目的ですから、絶対的なパワー感やスケール感はあまり気にする必要はありません。重要なのは、アニメのキャラクターに命を吹き込む声、そして音楽を鮮明に再現するための実力です。

 

実際に執筆時点までに放送された第1話~第4話を見てみましたが、声が明瞭で溌剌とした再現になっており、キャラクターの魅力も倍増です。フルレンジスピーカー、しかも不要な音の反射や濁りのない卵形ボディのおかげで、キャラクターの声が画面から出てくるように聞こえます。しかも、クリアではっきりとした音に仕上がっているので、音量を落として聴いていても声が痩せてしまうこともなく、心地良い感触で楽しめるのです。

 

オープニング曲やエンディング曲を聴くと、低音もなかなかがんばっており、ドラムのベースのリズムもパワフルに再現できます。ちなみにエンディング曲のタイトルでもある「トゥッティ(tutti)」とは、イタリア語の音楽用語で「全部」の意味。すなわち、楽器すべてによる合奏のこと。数多くの管楽器が一斉に音を出したときの高揚感は、まさに吹奏楽の華と言えるでしょう。

 

肝心の吹奏楽部での演奏は……。申し訳ないですがいまのところ演奏は「下手くそ」。パート練習などできちんとそれぞれのパート楽器の音を収録しているなど、しっかり音を作っていることはわかりますし、個々の技術レベルが低いわけではありません(一年生で初めて演奏する子は技術的に未熟でしょうが)。テンポがバラバラでアンサンブルになっていないのです。音楽には詳しくない人でも、なにか変、ゆるいというかだらしない感じの印象を受けたと思います。一緒に音が出るべきタイミングで同時に音が出ること、譜面や指揮のタイミングどおりにテンポを揃えること、このあたりがきちんとできないと、「トゥッテイ」なんてエンディング曲のタイトルが恥ずかしくなってしまう演奏になるわけです。

 

いまの段階での演奏をはっきりと「下手くそ」だとわかるくらいに聴こえるスピーカーで聴いておくことが、これからの放送を楽しむには欠かせません。なんとなく変に感じる程度では、本当のトゥッティが決まったときの喜びや高揚感が再現できません。

 

オラソニックのTW-D6TVは、生き生きとした声の表現はもちろんのこと、音楽の再現も十分な実力を持ったスピーカーです。価格も8000円前後と手ごろですし、どんな薄型テレビともステレオミニ端子で接続できますから、誰でもすぐに導入できます。ちなみに薄型テレビだけでなく、スマホなどを接続して再生しても、音楽を小気味よい音で楽しめるでしょう。

 

北宇治高校吹奏楽部には、いろいろと問題もありそうです。顧問の先生も優しそうでいて、案外音楽には厳しい印象もあります。いろいろな衝突や悩みを乗り越え、素晴らしい演奏を披露できるようになっていく様子を、優れた音で聴きながら応援していってほしいと思います。

 

【今回のキーアイテム】

オラソニック

TW-D6TV

実売価格 8000円前後

最大2.5W以下の低消費電力でありながら、10W+10Wの大出力を実現したSCDS方式を搭載した卵形のスピーカー。入力端子はステレオミニ端子のみとなっている。シリーズには、Bluetooth内蔵のモバイルスピーカー、TW-BT55ST(実売価格 1万2500円前後)などもある。

 

【バックナンバー】

Vol.1「ガルパンの世界にもっと入り込むためのAV機器とは?」

Vol.2「『四月は君の嘘』のカラフルな映像を存分に味わえるテレビはコレ!」