本・書籍
自己啓発
2017/3/22 18:00

「休みの日の過ごし方ががわからない」という人へ――“休日頭脳”を鍛えるための5つのポイント

この間行ってきた、新しいコラムサイト立ち上げの打ち合わせでの話。進行スケジュールを共有するためのメールのやりとりについて話していて、「基本的に、メールはいついただいてもすぐに返します」と言ったら、「土日も、ですか」と念を押された。

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趣味の時間も取れなかったマイケル・クライトン

相手もフリーで仕事をしている人だ。「僕と同じだな」と返した彼の言葉に、「やっぱりフリーは土日関係なく仕事しなきゃですよね」というニュアンスを感じ取った。

 

筆者は心配性だ。仕事関連のもろもろの進行は、常に1日前倒しで対応していくようなところがある。何があるかわからない。その何かのために〆切を落としたら大変だ。そういう漠然とした恐怖が拭いきれない。

 

筆者のようにびびりな性格が原因ではないとしても、週末も長期休暇も関係なく仕事をしている人は存在する。

 

確信を持って一人挙げるとすれば、『ジュラシック・パーク』などの小説や大ヒットドラマ『ER』の脚本で知られるマイケル・クライトン(1942~2008)だ。

 

『ER』がとてつもない視聴率を叩き出していた頃のとあるインタビューで、クライトンさんは次のように語っていた。

 

「もうひたすら忙しくて、唯一の趣味であるエアロビクスのクラスに出る時間もない」

 

フリー稼業は回遊魚

言うまでもないが、クライトンさんと筆者とでは、暇のなさの質がまったく違う。クライトンさんの場合は、すでに決まっている仕事をこなすために時間が足りない状態だったのだろうが、筆者は、できれば次の次くらいまで仕事を決め、こなしていくための時間を確保したいという気持ちがとても強い。

 

それに心配性が加わる。だから、たまに旅行に出かけても最低1時間に3回はメールをチェックするし、遊び疲れてホテルに帰った後も、シャワーを浴びてシャキッとして仕事をする。実際には一文も書けなくても、パソコンの前に座るところまでは必ずする。

 

誰かが言っていた。フリーライターは回遊魚と一緒だ。泳ぎ続けていないと死んでしまうし、皮にちょっとでも傷がつけばそれが致命傷になってしまうかもしれない。

 

そのフリーライターになってから22年が経過しようとしているが、皮に傷がつかないように危ないものをうまく避けながら、最初の仕事を納品した日と同じペースで今も泳ぎ続けている。

 

うまい休み方なんてあるの?

日々の生活ではジムに行ったり長めのランニングをしたりしてリフレッシュを心がけているけれど、まる1日仕事に関係する作業をまったくしないということはありえない。こうしたペースで仕事をすることが苦にならなくなっている。

 

前述のとおり、筆者のライフスタイルは回遊魚的なので、いただけるお仕事は多ければ多いほどありがたい。ただ、バーンアウト気味になってしまうこともある。心配性の面もカバーできて、しかも次の仕事にもつながるような、うまい休み方はないだろうか?

 

誰か、教えてください。

 

すごく働くためにすごく休む

そんな筆者の声にピンポイントな形で答えてくれたのが、『休み方が9割――成功する休日頭脳の鍛え方』(中島孝志・著/ゴマブックス・刊)だ。

 

〝はじめに〟の冒頭の文章からもっていかれた気がする。

‘‘この本は三人のために書いた。
(1)休日返上で働いてしまう人。
(2)せっかくの休日なのに効果的な活用法がわからない人。
(3)気づいたら休日が終わっている人。‘‘
『休み方が9割——成功する休日頭脳の鍛え方』より引用

(1)は絶対に当てはまる。(2)はそうでもないが(3)も思い当たるところがある、と書いていて気がついた。筆者の生活はオンとオフのメリハリが著しく欠けている。

 

振り子の法則というのがある。最初の動きが小さければ振れ幅は小さくなるし、大きければ振れ幅も大きくなる。これは物理現象に限った話ではない。大きく落ち込んだ時期の後は、必ず飛躍のチャンスが訪れるという話はよく聞く。こう考えると、たまには本気で休まないと、仕事に向ける本気も振れ幅が小さいままで終わってしまうかもしれない。それはそれで心配だ。

 

休日はアイドリングタイムではない

著者の中島さんは、休日の意味を次のように定義している。

・過去の清算
・雑事の処理
・未来への投資

 

これを踏まえた上で、〝休日頭脳〟を鍛えるための五つのポイントが提示される。

・仕事以外に関心を持つ
・プロになる
・どこでも生きていける能力を養うための方法の実践、自己啓発、情報武装
・おもしろおかしくダイナミックに生きる
・人とのコミュニケーションを大切にする

 

そして、こう問いかける。

 

‘‘あなたの人生=時間をどう演出するか、人生のグランドデザインをどう描くか?
豊かな人生は休日が作る。人生を二度と生きることはできないが、二倍三倍楽しんで生きることはできる。‘‘
『休み方が9割――成功する休日頭脳の鍛え方』より引用

 

休むというのは、単なるアイドリングタイムだと思っていた。どうやら間違っていたようだ。これからは、まず休みにする日を決めて、その日に何をするか決めて、そこから仕事を肉付けしていくリバースエンジニアリング的なやり方を試してみようかな。

 

(文:宇佐和通)

 

【参考文献】

20170321_inoue_FM12
休み方が9割――成功する休日頭脳の鍛え方

著者:中島孝志

出版社:ゴマブックス

 

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