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2018/1/10 11:00

「悩むなら、動け!」元自衛官の創業社長が語る起業にいちばん大事なものとは?

2018年1月5日。築地市場で行われた新春恒例の初競りで、405キロの大間産マグロが3645万円の最高値で競り落とされた。

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初競りといえば、ここ数年必ず名前が出ていた「すしざんまい」。2012年から2017年まで6年連続で最高値のマグロを落札しており、今年は7連覇をかけて臨んだが、記録更新はならなかった。ただし、キロ単位では最高値という記録はしっかり残し、今年の初競りを終えた。

 

 

意外に多い元自衛隊員の創業社長

その「すしざんまい」の社長として――正確には、「すしざんまい」という寿司店を傘下に置く株式会社喜代村の社長として――、CMでも有名な木村清さん。木村さんは、F104のパイロットを目指して15歳で航空自衛隊航空教育隊に入隊し、航空操縦学生という資格を得た元自衛隊員である。

 

元自衛隊員という肩書を持つ人たちには、秀でたビジネスマンが多いように感じる。木村さんをはじめ、浜田武雄さん(パーソナル・リース)、折口雅博さん(グッドウィル・グループ)、三井紀代子さん(セブンワークスジャパン)と、創業社長がずらりと並ぶ。この原稿で紹介する本の著者も、元陸上自衛隊三等陸曹の創業社長だ。

 

 

自衛官からカメラマンへ

元自衛官の自分でも社長になれた』(佐藤堅一・著/学研プラス・刊)の著者、佐藤堅一さんの肩書は、ハッピースマイル代表取締役社長兼CEOだ。佐藤さんの会社は写真代行販売、カメラマン派遣、フォトスタジオ運営といった事業を展開している。

 

陸上自衛隊で8年間を過ごした後退職し、フリーカメラマンを経て現在の会社を立ち上げることになったわけだが、すべてのきっかけとなる瞬間は突然訪れた。

 

ある日、草刈りをやるということで、広場に100人くらい集められました。確かに人数がいれば早く終わりますが、過剰人員ということもあり、遊兵と言われる、遊ぶ隊員も発生してしまいます。その時、なぜ100人なんだろう? 90人ではダメなのか? 80人ではダメなのか? なぜだろう……。

『元自衛官の自分でも社長になれた』より引用

 

そして佐藤さんは、自衛隊という組織に経営者が存在しない事実に気づく。

 

隊員の給与を払っているのは幹部自衛官ではない。会社で言う、社長という存在がいない。だから、ひとりひとりの時給換算した場合の生産性についても、危機感がなく、人員の配置もざっくり。絶対につぶれない組織であるがゆえに、その辺のマネージメント力が低いのか。

『元自衛官の自分でも社長になれた』より引用

 

この瞬間、佐藤さんの脳裏にはそれから先の自分の体験と、何年後かの自分の姿がおぼろげながら映し出されていたに違いない。これは、フラッシュフォワードだ。

 

 

現場で得たノウハウ

自衛隊を退職する直前あたりからデジカメにのめり込んでいた佐藤さんは、やがて一眼レフのカメラを買い、写真に対する情熱を燃やしながら腕を高めていく。カメラマンとしての職歴はゼロという状態で、幼稚園や保育園にカメラマンを派遣して運動会や遠足などの行事の撮影を受注する会社で働き始めた。

 

現場での実績を重ねていく過程で気づいたことを丁寧にノートに記録することで、仕事の流れを経営面に至るまで把握し、知識を増やしていった。ハッピースマイルという自分の会社を立ち上げたのは、2008年1月だった。

 

 

起業に必要なもの

自衛隊を辞めてから、自分の会社を立ち上げるまで、わずか1年半だ。佐藤さんの言動について強く感じることがある。自衛隊に入った時も、辞めた時も、起業を決心した時も、とにかく決断が早い。自衛隊を辞めた時は、やや時間がかかったようだが、それは引き継ぎ等のためであり、いつまでも悩み続けていたわけではない。

 

ハッピースマイルを立ち上げた後も、さまざまな試練に見舞われた。しかしその都度、素早く優れた決断によって乗り切ったことがうかがわれる。

 

起業家として必要な資質は、もうひとつあると思う。

 

リスク最優先の日本の企業率は、アメリカに比べると非常に低いですが、そんな状況でも、起業を考えている人は一定数いると思います。企業を考えている方にたくさんの勇気と希望を与え、起業に向けて第一歩を踏み出せる一冊になればと思っています。

『元自衛官の自分でも社長になれた』より引用

 

 

起業という行いを実現させる原動力となるのは、どんな種類であれ、ロマンティシズムという言葉で形容されるものではないだろうか。

 

今この原稿を読んでいる方々の中にも、ひょっとしたら、起業するかしないか迷っているという人がいるかもしれない。そういう人たちに向け、次の言葉を贈りたい。

 

やるか、やらないかを悩んでいるうちに、1日24時間ずつ、どんどん過ぎていきます。そんな毎日を過ごしていると、あっという間に1年、2年と経過してしまい、結果体に、起業のタイミングを逃し、最終的に、「もっと若ければ起業したのに」という、言葉に変わっていくのかと思います。起業しよう! と思った時が、一番若い時なのです。

『元自衛官の自分でも社長になれた』より引用

 

これで心に火が点くかもしれません。

 

【著書紹介】

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元自衛官の自分でも社長になれた 革新的ビジネスモデルのヒントがここにある!

著者:佐藤堅一
出版社:学研プラス

高校を卒業して陸上自衛隊に入隊、幹部候補生試験を辞退して退官後、カメラマンになったという異色の経歴をもつ著者がたどりついた保育園・幼稚園向けの写真代行販売サービス事業。苦難の時を経て事業を成功に導いた軌跡を追う!

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