本・書籍
2018/1/15 17:00

道にぽつんと残る1本の「木」……それは人が踏み入ると祟られる「禁足」の地なのかもしれない

私の実家近くで、一昨年のある夏の夜に火災が起こった。現場は20年以上前に閉店した元喫茶店で、現在は廃墟となっていた場所。実はここ、地元では有名な心霊スポットだったのだ。

 

周りをロープで囲んでいるだけの状態だったため、誰でも中に入ることができ、県内外から多くの若者が肝試しがてらこの場所を訪れていたという。

 

周囲は田んぼに囲まれており、当然普段は火の気などないはず。火災が起きたのは、8月16日の午前2時前、まさにお盆である。不審火なのか、はたまた霊の仕業なのか……いまだに真相は闇の中だ。

 

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世の中には、入ってはいけないタブー地帯がある

日本全国、心霊スポットは無数に存在する。行ってはいけない、足を踏み入れてはいけないといわれるほど、なぜだか惹かれてしまう。怖いけれど覗いてみたい。恐ろしいけれどどんなことが起こるのか知りたい。でも、自分で行く勇気はない。

 

そんな興味津々のあなたに、『禁足地帯の歩き方』(吉田悠軌・著/学研プラス・刊)をおすすめしたい。最近何かと話題のオカルトマガジン「月刊ムー」で連載されていたものからピックアップされた神回が並ぶ。今回は、その中から3つほどご紹介しよう。

 

 

決して触れてはいけない「祟る木」

よく、なぜこんなところに?という場所に、一本だけ木が残されていることがある。明らかに、道路が木を避けて作られているような。このような場合、伐採を試みると何か悪いことが起こるなどの祟りがある「神木」である可能性が高いと吉田氏。

 

中でも、かなり強力なパワーを持つのが、JR中央本線・甲斐大和駅のそばにある諏訪神社内の「ホウの木」。この木の祟り話は、実に明治時代から始まっているというから興味深い。

 

過去には、このホウの木の葉をとって作った柏餅を食べた人が、急病で次々に倒れて亡くなり、わずかに残った家も直後の大水害に見舞われて、12戸あった集落は壊滅してしまったという出来事があったそうだ。また、ホウの木の枝を伐採した作業員が謎の事故死や病死を遂げたことは一度や二度ではなく、複数回に渡って起こっているという。昭和以降も、同じようなホウの木にまつわる事故は後を絶たないのだそう。あまりの祟り力に枝払いさえもできない状態で、現在でも一ヶ月に一度は御神酒が供えられるのだとか。

 

 

124日の夜」は決して外出してはいけない

毎年1月24日の夜は、外に出てはいけない。集落や夜の海を「あるもの」が徘徊しており、その姿を見た者は命を落としてしまう……。そんな言い伝えが伊豆諸島には残っているという。

 

その「あるもの」は島によって異なり、大島では「日忌様」、利島・新島では「海難法師」、神津島では「二十五日様」と呼ばれ、彼らを畏れている各島ではこの日の仕事を休みにして、日が暮れたら外出はしないと固く約束されていたそうだ。

 

時代とともにそのような言い伝えは薄れてきているようだが、神津島にだけは現在でもその風習が根付いている。「本日、二十五日様なので各施設は早めに閉まります」という島内アナウンスが流れ、スーパーも18時半で閉店、島民たちは皆早めに帰宅して外出は控えるという。というのも、「あるもの」を畏れていることもあるのだが、二十五日様の夜には島の神職たちが2夜に渡って集落を巡り、祈りをささげているとのことで、その途中に一般人に出会ったら、神社に戻って一からやり直さなくてはいけないのだという。そのため、島民たちは外出を自粛しているそうだ。

 

21世紀の現代においても古からの風習を固く守っている姿は、畏れというよりも尊敬の念を抱く。ぜひ一度「二十五日様」の日に島を訪れてみたいものだ。

 

 

ガチで怖い!「心霊スポット巡礼ツアー」

タクシーにまつわる怪談は多いものだが、タクシー会社・三和交通は、2015年から「心霊スポット巡礼ツアー」なるイベントを開催している。地元の心霊スポットに詳しいタクシードライバーの案内で、実際に心霊スポットを巡っていくという企画。

 

だいたいの心霊スポットは熟知しており、よほどのことでない限り怖がらない!と豪語していた吉田氏も、驚愕のツアー内容だったのだとか。

 

たとえば、戦国城趾と自殺の名所である某踏切、斎場に続く某トンネル、交通事故多発の某峠、学生運動のグループが集団自決し、いまも自殺者が絶えないという裏山、そして、90%の乗客が心霊的な体験をするというある坂道。そこでは実際に、吉田氏、同乗したムー編集者ともに「なにか」を感じたのだとか…!

 

昨年の三和交通・心霊スポット巡礼ツアーは、横浜・多摩・東京・ふじみ野で開催されたようなので、興味のある方は今年の夏前にぜひチェックを。

 

このほかにも、『禁足地帯の歩き方』にはタイの呪術人形、日本三大地獄寺巡り、フランスの死体芸術の館、熊野・悪魔祓い紀行など、日本のみならず世界中の禁足地を訪れた実体験が盛り沢山である。

 

怪談といえば、夏の風物詩。暑い中で背筋も凍るような話を聞いて涼をとるのが常であるが、寒い冬に暖かな部屋でコタツに入りながら、怖い話を読むのもまた乙なもの。

 

さて、この原稿を書きながら、時々背中がスーッと寒くなったのは、冬の冷気のせいだろうか。それとも……。

 

 

【著書紹介】

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禁足地帯の歩き方

著者:吉田悠軌
出版社:学研プラス

オカルトスポット探訪者・吉田悠軌による「禁断の場所」訪問ルポ。禁足地、聖地、怪談現場、死の世界などを案内する。現地訪問によってしかわからない、怪異譚を生み出した背景に迫る。カラーグラビアで紹介される「奇祭」は必見!

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