2015年の紅白歌合戦のシンボルマークをご存知だろうか？
太陽と富士山を背に、力強く飛んでいる鳥が描かれたマーク。これをデザインしたのは俳優の田辺誠一さんだ。
田辺さんは自身で描いた独特なタッチのイラストが話題となり、一部のファンからは「画伯」と呼ばれ、絵画展を開けば2万人動員と大人気だ。そんな画伯の才能は、実はイラストだけにとどまらない。人のお悩みに答える人生相談でもセンスあふれる回答を披露している。そんなステキな回答を『田辺誠一さんがお答え！ゆるめの人生相談』（田辺誠一・著／主婦の友社・刊）の中からいくつか見ていこう。
服を買う時のお悩み
服を買いに行った時、店員に話しかけられると挙動不審になってしまうというお悩みが寄せられた。さて、これに対して田辺さんはどう答えるのだろうか?
最近は海外のお客さんも多いです。アジア系の観光客のフリをして中国語で返すのも手です。（中略）
しかーし、中国語をしゃべれる店員さんがいるかもしれません。そうなったら大ピンチです！
なので、誰もわからない架空の国の言葉を考えましょう。「べろりむちーの（こんにちは）」「くるでんわっぱ（見ているだけです）」「じゅるぐるビッグ?（大きいサイズはありますか）」「ありがとうござる!（ここはサムライっぽく）」。（『田辺誠一さんがお答え! ゆるめの人生相談』から引用）
誰もわからない言葉と言いつつ、どんどん意味をなす言葉が出てきている。溢れ出る田辺さんのユーモアがたまらない。
田辺さんの「変態」の定義
次は、家だと裸族で友達が来てもパンイチ（パンツ一丁）が当たり前な自分は変態なのだろうか…という男性からのお悩み。ここでは、田辺さん独自の変態の定義が炸裂する。
答えとしましては変態ではないです。（中略）
僕の経験ですが、お風呂に入るときに服を脱ぐ順番を間違えて、最終形が裸に靴下だけ、というのが人生上2回くらいありますが、裸に靴下は変態です。きわどいところですが、裸にめがねも変態です。裸に学生帽は変態上級生です。なのでパンイチは優等生の部類ではないでしょうか。（『田辺誠一さんがお答え! ゆるめの人生相談』から引用）
こう言いつつも、田辺さんは来てくれている友達の気分も考えるべきだとパン2がんばってパン3とランクをあげていく練習を、この後相談者の男性にすすめている。そして、パン8レベルの生活ができるようになったら、ささやかながらお祝いをさせてくださいと結んであった。
“お祝いなんて優しいなぁ”と思ったが、よくよく考えるとパン8レベルの生活はかなりの厚着を強いられることになる。しかし、田辺さんの回答は現実を顧みなくてよい、フワッとした軽い気持ちに読者をさせる不思議な魅力があるのだ。
深夜の飲食店でバイトをしている人からのお悩み
最後にご紹介するのは、深夜の飲食店でバイトをしているが客がまったく来なくて寂しい。来たとしても酔っ払いなどの客に絡まれる…。こうしたバイトの乗り越え方を教えてほしいという内容のご相談。
これに対しての田辺さんの回答は度肝を抜かれた。
これはもう…まったく解決策が見つかりません。なので近況を書きます。
（『田辺誠一さんがお答え! ゆるめの人生相談』から引用）
心の中で「ええぇぇーっ⁈⁈」と叫ばずにはいられない、この回答こそが田辺さんの真骨頂。この後、本当に愛犬との微笑ましい近況がつらつらと綴られており、これで終わるのかと思いきや最後には「どんな環境でも楽しむしかありません。バイトがんばってください。」と田辺さんなりの回答と優しいエールが書き添えられていた。さすがである。
この他に本著では桐谷美玲、田中美保といったモデルたちも田辺さんに悩みを寄せている。また、随所に田辺さんのイラストや4コマ漫画も収録されているので画伯ファンは見逃せない1冊だ。
（文：フムフム編集部）
【文献紹介】
田辺誠一さんがお答え！ゆるめの人生相談。
著者：田辺誠一
出版社：主婦の友社
◆月刊minaでの人気連載、あの画伯田辺誠一さんが読者からの人生相談にゆる～く答える「田辺誠一さんがお答え！ゆるめの人生相談。」が1冊に
◆画伯は実は文章もかなりのユニーク路線。おしゃれでほっこり、センスあふれる脱力系回答が特徴。読み終わったら確実にナゴミます。
◆お悩み回答のほかに画伯の描いたナイスなイラストや4コマ漫画を随所にIN。それだけでも心が軽やかに。
◆桐谷美玲、田中美保、垣内彩未、岸本セシル、高橋愛ほか人気モデルからのお悩みもアリ
◆雑誌名「mina（ミーナ）」にかけた「みーにゃ」というネコキャラも登場。