本・書籍
2016/11/12 16:00

まだまだ現役ロングセラー食品あれこれ――給食の定番「ミルメーク」に旅行のお共「ワンカップ大関」まで! 

ヤマザキナビスコがライセンス契約の終了に伴い、お菓子「オレオ」と「リッツ」の国内生産を打ち切るというニュースが流れ、メーカーに問い合わせが殺到しました。

 

どうやら他社から販売は継続されるようですが、慣れ親しんでいた商品がなくなるときは、社会全体が騒然となります。心にぽっかりと穴が開いたような感情を持ってしまうためでしょう。

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50年もロングセラーを続ける商品たち

メーカーの様々な思惑の下で無くなる商品もある一方で、ロングセラーを続けている商品もあります。しかも、50年以上の長きにわたって、です。そんな商品を集めた一冊が『まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ~食品編その2~』(初見健一・著/大空出版・刊)。ページをめくると、懐かしいパッケージの商品がてんこもり。「エッ!? これがそんな昔からあるの?」という商品も少なくありません。

 

例えば、ちょうど私がいま原稿を書きながら食べていた森永のチョコフレーク。発売は昭和42年(1967)だから、来年で発売50周年を迎える商品です。このチョコフレーク、実は歴史的に価値のあるお菓子でもあります。現在ではおなじみになった、ギザギザのベルトをバリバリと破って開封するタイプの紙箱を「ジッパーパック方式」というそうですが、これを日本ではじめて採用したのはチョコフレークなんだそうです。

 

バヤリースは終戦の6年後の発売!

オレンジジュースといえば、バヤリースのオレンジを思い浮かべる人も多いことでしょう。発売は65年前の昭和26年(1951)。トレードマークのバヤリース坊やは、昭和34年(1959)から現在に至るまで、使われているというから驚きですね。不二家のルックチョコレートも、なんと昭和37年(1962)に発売されたロングセラー商品。4種類の味のチョコが楽しめるというコンセプトは、すごく斬新です。

 

旅行のお供といえるアルコールといえば、ワンカップ大関。昭和39年(1964)の発売なので、前回の東京オリンピックの年。ビンは割れにくくこぼれにくいように工夫され、そのコンセプトから超ロングセラーになっているのです。

 

ミルメークは青春の味

紹介されている商品の中で、私がもっとも「懐かしい!」と思ったのは、学校給食の定番・ミルメークです。本著によれば、かつて学校給食の脱脂粉乳は激マズだったそうです。その後、脱脂粉乳が普通のビン牛乳に変わったそうですが、実は栄養価は脱脂粉乳のほうが上。栄養価を上げ、しかも牛乳嫌いの子でも牛乳を飲んでくれる方法は無いものかと考え出されたのが、魔法の粉、ミルメークだったのです。

 

昭和42年(1967)に発売されたところ、瞬く間に月産900万袋を突破するほどの大ヒット商品になりました。現在もスーパーで市販されているそうです。へ~、知らなかった! 学校給食専用の商品だと思っていたよ! さっそく、この原稿を書き終わったらスーパーに探しに行ってみようと思っています。

 

ロングセラー商品は 生きている文化財だ

激動の時代を乗り越えてきた商品たちは、昔の人たちもこの味を楽しんでいたのだなあと、ノスタルジックな気分が味わえる存在でもあります。“生きている文化財”といえる製品のありがたみを噛み締めたいですね。

 

(文:元城健)

 

【参考文献】

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まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ~食品編その2~

著者:初見健一

出版社:大空出版

 

好評を博した『まだある。食品編』の第二弾! 60~70年代、いわゆる高度成長期に発売されたお菓子、ジュース、インスタント食品などのなかから、思わず「え? これ"まだある"の?」と叫んでしまうものを100点セレクト。ロングセラーの王道から、忘れかけていたあんなものまで、今でも買える「昭和の味」をオールカラーで一挙紹介! 開発秘話やネーミングの秘密など、ロングセラー商品にまつわる小ネタも満載です。

 

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