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2017/10/5 18:13

高画質だけどデカくて重いを覆す! 革新的フルサイズ一眼「キヤノン EOS 6D Mark Ⅱ」を前モデルと比較レビュー

大型のセンサーを採用しながら、ボディは小型軽量で価格も比較的手ごろ。従来モデルのEOS 6Dは、そんな35ミリ判フルサイズのデジタル一眼レフであった。このEOS 6Dの基本コンセプトを継承しつつ、機能や操作性などをさらに向上させたのが、今夏登場した「EOS 6DマークⅡ」である。液晶モニターはタッチ対応の可動方式(フルサイズEOS初)に変更され、動体撮影で重要になるAFや連写の性能も大幅アップしている。それらの注目点をピックアップしつつ、従来モデル、EOS 6Dとの違いもチェックしていこう。

↑フルサイズ一眼の入門機として人気を誇ったEOS 6Dの2代目モデル。タッチ対応の可動式モニターの採用など、最新機能の装備でより使いやすくなった。参考価格/ 24万3000円(ボディ)
↑フルサイズ一眼の入門機として人気を誇ったEOS 6Dの2代目モデル。タッチ対応の可動式モニターの採用など、最新機能の装備でより使いやすくなった。参考価格/ 24万440円(ボディ)

 

↑センサー有効画素数は、EOS 6Dよりも600万画素多い。常用ISO上限値も40000までに拡張された。連写速度もワンランク上だ。4K動画は見送られたが、静止画をつなげる4Kタイムラプス動画機能は搭載
↑センサー有効画素数は、EOS 6Dよりも600万画素多い。常用ISO上限値も40000までに拡張された。連写速度もワンランク上だ。4K動画は見送られたが、静止画をつなげる4Kタイムラプス動画機能は搭載

 

【ボディ】基本レイアウトは6Dを踏襲しつつ可動式モニターを採用

EOS 6DマークⅡとEOS 6Dを見比べると、外観に大きな変更はなく、サイズや重さの差もわずか。唯一大きく変わったのが、背面モニターがバリアングル式の可動タイプに変更された点だ。それによって、ライブビュー撮影時のカメラポジションやアングルの自由度が増している。また、タッチ操作対応にもなったので、速写性も各段に向上している。

↑一部のボタン位置にわずかな差はあるが、とてもよく似たEOS 6DマークⅡ(左)とEOS 6D(右)の背面。上面も同様。だから、EOS 6Dユーザーなら違和感なく操作できるだろう
↑一部のボタン位置にわずかな差はあるが、とてもよく似たEOS 6DマークⅡ(左)とEOS 6D(右)の背面。上面も同様。EOS 6Dユーザーなら違和感なく操作できるだろう

 

↑EOS 6Dにはなかった、シャッターボタン脇の「測距エリア選択ボタン」。これを押すたびに、測距エリアモードが切り替わる
↑EOS 6Dにはなかった、シャッターボタン脇の「測距エリア選択ボタン」。これを押すたびに、測距エリアモードが切り替わる

 

↑上下可動のチルト式モニターを搭載するカメラは多い。だが、縦位置には対応できないし、自分撮りも難しい。バリアングル式ならOK!
↑上下可動のチルト式モニターを搭載するカメラは多いが、縦位置には対応できないし、自分撮りも難しい。バリアングル式の本機ならどちらもOKだ!

 

↑背丈の低いサボテンを、地面近くの低い位置から撮影。カメラを被写体の高さに近づけると、その場の臨場感が伝わる。バリアングル方式のモニターなので縦位置撮影にも対応できる
↑背丈の低いサボテンを、地面近くの低い位置から撮影。カメラを被写体の高さに近づけると、その場の臨場感が伝わる。バリアングル方式のモニターなので縦位置撮影にも対応できる

 

↑画面にタッチするだけで、素早くピント位置を選択できるタッチパネル機能を採用。静止画撮影時には、タッチでピントを合わせると同時にシャッターを切ること(タッチシャッター)も可能
↑画面にタッチするだけで、素早くピント位置を選択できるタッチパネル機能を採用。静止画撮影時には、タッチでピントを合わせると同時にシャッターを切ること(タッチシャッター)も可能

 

↑三脚使用時はAF 測距点の移動が必要だが、操作が煩雑になりがちだ。だが、タッチパネルを活用すれば、直感的かつ迅速にピント移動が行える
↑三脚使用時はAF 測距点の移動が必要で、操作が煩雑になりがちだ。だが、タッチパネルを活用すれば、直感的かつ迅速にピント移動が行える

 

【AF】測距点が45点に増えてファインダー撮影が快適に

ファインダーを覗くとわかるように、AF測距点が大幅に増えた点も魅力だ。EOS 6DはAF測距点が11点しかなく、ファインダーでのピント合わせは、AFロックを活用するなど工夫する必要があった。しかし、6DマークⅡでは45点に増え、好みの位置でAFしやすくなった。

↑EOS 6DマークⅡのAFは、オールクロス45点センサーを採用。画面中央とその周辺が、AF測距点で高密度にカバーされている
↑EOS 6DマークⅡのAFは、オールクロス45点センサーを採用。画面中央とその周辺が、AF測距点で高密度にカバーされている

 

↑11点のAFセンサーが採用されているEOS 6D。そのカバー範囲は菱形状になっており、1点1点の間隔も広めになっている
↑11点のAFセンサーが採用されているEOS 6D。そのカバー範囲は菱形状になっており、1点1点の間隔も広めになっている

 

また、上下左右の傾きが確認できる電子水準器を採用。シビアな構図調節に役立つだろう。この機能はEOS 6Dにも搭載されていたが、対応していたのは水平方向のみだった。

↑写真は上下左右ともに水準がとれた状態。水平・垂直がずれると四角い枠が表示され、立体的な表示で直感的に水平・垂直のずれが視認できる
↑写真は上下左右ともに水準がとれた状態。水平・垂直がずれると四角い枠が表示され、立体的な表示で直感的に水平・垂直のずれが視認できる

 

【画質】新型映像エンジンで色再現や画質が安定

EOS 6DマークⅡには、EOS 6Dよりも600万画素多い約2620万画素CMOSセンサーが採用されている。だが、画質は画素数だけでは決まらない。高画素化と同時に階調再現力や高感度性能も向上。フルサイズEOSで初となる映像エンジン「DIGIC 7」の搭載により、低感度から高感度まで安定した描写が得られる。

↑ISO感度は100に設定し、ピクチャースタイルとWBはオート。オートライティングオプティマイザは「標準」に設定して6Dと比較した
↑ISO感度は100に設定し、ピクチャースタイルとWBはオート。オートライティングオプティマイザは「標準」に設定して6Dと比較した

 

↑非常によく似た描写で、細部を拡大チェックしても、細かい部分の描写に差はあまり感じない。ただし、色再現に少し差が出た。EOS 6DマークⅡのほうがクセがなく自然に感じる
↑非常によく似た描写で、細部を拡大チェックしても、細かい部分の描写に差はあまり感じない。ただし、色再現に少し差が出た。EOS 6DマークⅡのほうがクセがなく自然に感じる

 

【高感度画質】高感度に強くノイズによる像の乱れが少ない

画質の面では、低感度側よりも高感度側のほうに、大きな進化が見られる。新開発のCMOSセンサーと映像エンジンDIGIC 7の組み合わせによる高度なノイズ低減処理により、常用最高感度ISO40000を実現している(EOS 6Dの常用最高感度はISO25600)。高感度域での撮影を重視する人なら、EOS 6DマークⅡのほうがオススメだ。単に高感度で撮影できるだけでなく、同一感度なら“より高品質な画像”が期待できるだろう。

↑EOS 6DマークIIとEOS 6Dで高感度画質を比較。ISO12800で上の写真のように木彫りの狛犬を捉え、顔部分などを拡大してチェックした
↑EOS 6DマークⅡとEOS 6Dで高感度画質を比較。ISO12800で上の写真のように木彫りの狛犬を捉え、顔部分などを拡大してチェックした

 

↑EOS 6DマークⅡは、細部のシャープ感が高くて、アウトフォーカス部や暗部のノイズ感も少ない。EOS 6Dは、比較的にシャープさに欠ける描写で、ノイズ感も少しだけ目立つ。また、アウトフォーカス部や暗部などに微妙な色ムラが感じられる
↑EOS 6DマークⅡは、細部のシャープ感が高くて、アウトフォーカス部や暗部のノイズ感も少ない。EOS 6Dは、比較的にシャープさに欠ける描写で、ノイズ感も少しだけ目立つ。また、アウトフォーカス部や暗部などに微妙な色ムラが感じられる

 

↑6DマークIIで撮影した夜の祭りでのスナップ。手ブレ防止だけでなく、高速シャッターで動きを止めるためISO25600に。十分実用的な画質が得られた。105ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/160秒) WB:オート
↑6DマークⅡで撮影した夜の祭りでのスナップ。手ブレ防止だけでなく、高速シャッターで動きを止めるためISO25600に。十分実用的な画質が得られた/105ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/160秒) WB:オート

 

【連写】実用的な連写速度で動く被写体も撮りやすい

EOS 6Dは連写が最高秒間4.5コマと少なめで、連写して動く被写体を撮影するには不向きであった。6DマークⅡでは、センサーからの高速読み出しが可能になり、DIGIC 7の搭載によって処理スピードも上がったことから、最高秒間6.5コマの連写を実現。動体撮影にも対応しやすくなった。45点となったAF測距点を活用すれば、電車やクルマなどの高速な被写体を、カメラ任せで追ってもかなりの確率で成功写真を撮ることができる。

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↑EOS 6DマークⅡで撮影。鉄橋出口のフレーム枠に先頭が来た瞬間から撮影を開始し、4コマ目の先頭位置をチェック。約6.5コマ/秒だと画面中央くらい
↑EOS 6DマークⅡで撮影。鉄橋出口のフレーム枠に先頭が来た瞬間から撮影を開始し、4コマ目の先頭位置をチェック。約6.5コマ/秒だと画面中央くらい。データ量が大きくなるRAW+JPEGラージ/ファインの設定でも「約17枚」の連続撮影が可能(EOS 6Dは約7枚)で、3秒近い連写が可能になっている

 

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↑EOS 6Dで撮影。約4.5コマ/秒の速さだと、単純に1コマごとの移動距離の大きさを感じる。そして、4コマ目の先頭位置は横幅の2/3くらい
↑EOS 6Dで撮影。約4.5コマ/秒の速さだと、単純に1コマごとの移動距離の大きさを感じる。そして、4コマ目の先頭位置は横幅の2/3くらいとなった

 

↑電車を連写する場合、早い段階で連写が止まることがある。その点EOS 6DマークⅡは、連続撮影枚数が多く撮りやすい。上の写真は、EOS 6DマークIIで撮影し、スタートから15枚目のカットだ(RAW+ラージ/ファイン)。105ミリ相当 マニュアル露出(F5.6 1/1000秒) WB:オート
↑電車を連写する場合、早い段階で連写が止まることがある。その点EOS 6DマークⅡは、連続撮影枚数が多く撮りやすい。上の写真は、EOS 6DマークⅡで撮影し、スタートから15枚目のカットだ(RAW+ラージ/ファイン)/105ミリ相当 マニュアル露出(F5.6 1/1000秒) WB:オート

 

【結論】フルサイズEOS初の可動液晶がマークⅡ最大の魅力

EOS 6Dは“大きくて重くて高価”というフルサイズデジタル一眼レフの印象を覆してヒットした。そんな人気機種の後継モデルとして登場したEOS 6DマークⅡは、小型軽量をキープしつつ、AFや連写や高感度などの基本性能を向上させた、実に“手堅い進化”を遂げている。一方で、APS-CサイズEOSでは定番となっている“バリアングル液晶モニター”の採用も、ほかのフルサイズEOSに先がけて実現。入門者など幅広い層にアピールできる製品に仕上がっている。

↑外観はEOS 6Dに似ていても、仕様や機能は各段に向上したEOS 6DマークⅡ。AFの強化や可動式液晶の搭載などで、機動性はさらに向上した
↑外観はEOS 6Dに似ていても、仕様や機能は各段に向上したEOS 6DマークⅡ。AFの強化や可動式液晶の搭載などで、機動性はさらに向上した

 

↑絞り優先オートでF11まで絞り、画面全体をシャープに描写。こうした撮影モードの機能や効果が直感的にわかる「ビジュアルガイド」も採用しており、誰にでも使いやすいカメラだ。24ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/50秒) WB:オート
↑絞り優先オートでF11まで絞り、画面全体をシャープに描写。こうした撮影モードの機能や効果が直感的にわかる「ビジュアルガイド」も採用しており、誰にでも使いやすいカメラだ/24ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/50秒) WB:オート

 

↑ビジュアルガイドの例。絞り優先オートを使って絞りを変更することで背景のボケ描写が変化することを作例写真で表現している
↑ビジュアルガイドの例。絞り優先オートを使って絞りを変更することで、背景のボケ描写が変化することを作例写真で表現している