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ラーメン
2017/4/23 11:00

飲めるラーメン店の最高峰! サニーデイ・サービス田中 貴が“ラ飲み”にハマるきっかけとなった「利田商店」

ラーメン好きなミュージシャンとして知られる、サニーデイ・サービスの田中 貴さん。年間600杯以上を食べ歩く田中さんが、女性にイチオシのお店を紹介するとしたら? そんな発想からはじまった本企画。今回は、田中さんがラーメン店で飲む“ラ飲み”にハマるきっかけとなった一軒が登場します。

 

客同士の触れ合いが生まれやすい個性的すぎる空間と店主のキャラクター

下車したのは、京王線と希少な路面電車である東急世田谷線が行き交う下高井戸駅。周辺はたくさんの飲食店でにぎわい、古くからある横丁のような一帯も。そんな味のある街の細い通路のような場所に、お目当ての「もちぶたラーメン 利田商店」はありました。

奥には、厨房内を見渡せるほど至近距離のカウンター席。手前には、田中さんが「利田商店の大きな魅力のひとつ」と力説する長テーブルが
↑奥には、厨房内を見渡せるほど至近距離のカウンター席。手前には、田中さんが「利田商店の大きな魅力のひとつ」と力説する長テーブルが

 

横丁のようなこの場所は、「下高井戸駅前市場」の一部。現在は駐車場となっている利田商店の向かいのスペースも、田中さんが初めて訪れたときは市場だったとか。

 

「オープンは2003年の12月。そのころ僕は近所に住んでいて、新しいラーメン店ができたってことですぐここに来ました。当時からラーメンはもちろんお酒も好きでしたが、そもそもひとりで飲み屋に行くことってなかったんです。そんななか、ここはオープン当初から飲んでいるお客さんが多くて。勇気を出してお酒を注文すると店主のアキラさんに話しかけられて緊張もほぐれ、周りの人たちとも仲良くなり・・・。しかもラーメンにつまみ、酒とどれもがウマくてまた行ってと繰り返すうちに、気が付けば最初期の常連として夜な夜な通うようになってました(笑)」(田中さん)

店主の利田昌(以下アキラ)さん。「TT(田中さんのあだ名)~、明日BBQあるから来ない~?」と常連さんたちとの親睦会への招待が。聞けば田中さん、近所に住んでいたころは運動会などの催しに参加していたそうです
↑店主の利田昌(以下アキラ)さん。「TT(田中さんのあだ名)~、明日BBQあるから来ない~?」と常連さんたちとの親睦会への招待が。聞けば田中さん、近所に住んでいたころは運動会などの催しに参加していたそうです

 

仲が深まりやすい理由には、店の造りにも。メインとなるテーブル席は約8人掛けで、ぐるっと囲んで座るスタイル。店もそれほど広くなく、肩は触れ合い目線も合いがちです。加えてアキラさんが中心となって和やかな雰囲気を生み出すので、人見知りが自然と解消されるというわけですね。

 

「仲良くなれるを超えた、仲良くならされる空間といえるでしょう。とはいえ、もちろん居心地の良さだけではなくメニューもハイクオリティ。もはや居酒屋なのかラーメン店なのかわからないレベルです(笑)。酒の種類も豊富かつ上質なものばかりがそろっていて、しかもリーズナブル! お世辞抜きで、ラ飲みできる店の最高峰といえるでしょう。そんな名店が偶然にも近所にあって常連になり、僕はすっかりひとりで飲むことへの抵抗感がなくなりました。何か運命的なものを感じますね~」(田中さん)

 

手作りのつまみに鮮度抜群の刺身がズラリ! 希少酒も豊富にそろう居酒屋顔負けのラーメン店

今回は特別に、ラーメンは〆に。ということで、まずはおつまみを。お通し代がないのも同店の素晴らしさですが、前菜として頼むべき一品をはじめ、この日の珠玉のメニューを紹介しましょう。

こちらが最初にオーダーすべき、もやしくずチャ~シュ~(¥480)。ラーメンに使われるもち豚チャーシューの切れ端と、シャキシャキのもやしに海苔の香りが好アクセント。これ以外のつまみは日替わりです。キンキンに冷えた生ビ~ル(¥500)をグイっと!
↑こちらが最初にオーダーすべき、もやしくずチャ~シュ~(¥480)。ラーメンに使われるもち豚チャーシューの切れ端と、シャキシャキのもやしに海苔の香りが好アクセント。これ以外のつまみは日替わりです。キンキンに冷えた生ビ~ル(¥500)をグイっと!

 

アキラさん曰く「今年一番の鶏が入ったよ~。今日は当たり!」とのこと。やがて出てきたのが、白れば~(¥580)。とろけるような食感と濃厚な甘味がたまりません!
↑アキラさん曰く「今年一番の鶏が入ったよ~。今日は当たり!」とのこと。やがて出てきたのが、白れば~(¥580)。とろけるような食感と濃厚な甘味がたまりません!

 

本まぐろ トロ なかおち(¥650)。なんと、こんな上モノのお刺身まで! ヘタな居酒屋を凌ぐクオリティの高さに脱帽です
↑本まぐろ トロ なかおち(¥650)。なんと、こんな上モノのお刺身まで! ヘタな居酒屋を凌ぐクオリティの高さに脱帽です

 

センマイ刺(¥580)。付け合わせの逸品が添えられるのも魅力で、こちらにはキムチが。日本酒はあづまみね(岩手)の純米吟醸 我が家の春(半合/¥480)。希少な銘柄も普通にそろっています。提供価格は銘柄問わず半合で¥480!
↑センマイ刺(¥580)。付け合わせの逸品が添えられるのも魅力で、こちらにはキムチが。日本酒はあづまみね(岩手)の純米吟醸 我が家の春(半合/¥480)。希少な銘柄も普通にそろっています。提供価格は銘柄問わず半合で¥480!

 

丁寧に炊いた鶏×魚介に背脂がたっぷり! 三層のスープが激ウマな醤油ラーメン

そしていよいよ〆の一杯が登場! 同店の特徴は、あっさりとした鶏ガラスープに魚介ダシがふんわり香り、表面には甘い背脂がたっぷり浮かんだ醤油ラーメン。加水率が低めの、ポキっとした細ストレート麺が良く合います。

 

「スープが三層構造になっていることにも注目ですよ。食べ進めると丼の底にある唐辛子ペーストが混ざり始め、エッジが効いてきて新たなウマさがリフレイン。直接関係はないんですが、味のルーツはとある京都の名店のスタイルです」(田中さん)

もちぶたラーメン(¥650)。もちぶたは豚骨ではなくチャーシューや背脂に使用。濃厚な甘味が特徴で、よりインパクトの強い味わいを演出しています。麺の硬さ、味の濃さ、脂の量をカスタマイズできるのもうれしいポイント。さらにいえば、飲む人のためにミニラーメンを550円で提供している心配りも秀逸!
↑もちぶたラーメン(¥650)。もちぶたは豚骨ではなくチャーシューや背脂に使用。濃厚な甘味が特徴で、よりインパクトの強い味わいを演出しています。麺の硬さ、味の濃さ、脂の量をカスタマイズできるのもうれしいポイント。さらにいえば、飲む人のためにミニラーメンを550円で提供している心配りも秀逸!

 

アキラさんは「最初からラーメン100%でやるつもりはなかったんだけどね~」と謙遜するものの、作り方は真剣そのもの。鶏ガラは丁寧に2日間、トータル24時間かけて深みのあるスープを抽出。ダシは昆布、カツオ、どんこ、スルメイカなどを使い、毎日約4時間をかけて香り高いエキスを生み出しています。そして提供直前に、アジや煮干しなどの魚粉を加えてよりふくよかな風味をプラス。酔いが回っていても、目が覚めるおいしさに出合えます! そんな一杯を食べ終わると、「実はつまみにオススメな一杯があるので、ぜひそれも!」と田中さん。

 

「麺類にはラーメンをベースにした油そばとつけ麺もあるんですが、この油そばが酒のアテにスゴく合うんです。とくにイチオシなのは納豆入りのやつ。納豆をトッピングにした油そばは、かなり珍しいと思いますよ」(田中さん)

背あぶらーめん納豆(¥750)。ミニスープが添えられる、うれしいサービスも。ちなみに奥に見えるのは太久保酒造(鹿児島)の芋焼酎 杜の妖精¥550。アキラさん曰く「焼酎のラインナップは力入ってると思う!」とのこと。確かにプレミア酒の森伊蔵が¥650で置いてあるなど、侮れません!
↑背あぶらーめん納豆(¥750)。ミニスープが添えられる、うれしいサービスも。ちなみに奥に見えるのは太久保酒造(鹿児島)の芋焼酎 杜の妖精¥550。アキラさん曰く「焼酎のラインナップは力入ってると思う!」とのこと。確かにプレミア酒の森伊蔵が¥650で置いてあるなど、侮れません!

 

ということで、すっかりラ飲みを満喫した取材陣一同。最後になりましたが、利田商店が女性にオススメな理由を田中さんに聞いてみました。すると、確かに一理ある! と思える答えが。

 

「横丁にあるような昔ながらの居酒屋や、大衆酒場って昔は男の世界だったと思うんです。でも最近、女性がそれらのお店にいるのを見かけるようになりましたよね。これってラーメン店にも同じことがいえるし、だからこそもっとラ飲みの魅力を知ってほしいんです。ただ、ラ飲みができるウマい店はそう多くない。まぁおいしければ当然人気も出るので飲むのは気が引けるんですが、夜遅めが狙い目だったりするんですよ。この利田商店みたいに、ラ飲みウェルカムなところもありますから」(田中さん)

利田商店のカウンター。田中さんは酒が置いてあればラ飲みができる証で、特にビール以外の焼酎や日本酒、ワインがあればなおさらとか。さらにチャーシューやメンマ以外につまめるメニューもあれば申し分ないそうです
↑利田商店のカウンター。田中さんは酒が置いてあればラ飲みができる証で、特にビール以外の焼酎や日本酒、ワインがあればなおさらとか。さらにチャーシューやメンマ以外につまめるメニューもあれば申し分ないそうです

 

〆にラーメンというのはお酒好きの定番スタイルといえますが、はしごせずに一軒で完結できるのもラ飲みのいいところ。お酒とラーメンが大好きな女性のみなさん、まずは利田商店で新たな飲みニケーションを開拓してみませんか!
取材・文=中山秀明 撮影=三木匡宏

 

【Shop Data】

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もちぶたラーメン 利田商店

住所:東京都世田谷区松原3-42-1 小谷ビル1F

電話番号:080-1153-5513(予約可)

営業時間:18:00~翌12:30

定休日:水、日

アクセス:京王線ほか「下高井戸駅」西口徒歩1分

 

【Profile】

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田中 貴

2008年に再結成を果たし、以来ライブを中心にマイペースながらも精力的に活動を続けるサニーデイ・サービスのベーシスト。年間600杯以上を食べ歩くラーメン好きとして知られ、TVや雑誌などでそのマニアぶりを発揮することも多い。バンドとしては2016年8月3日に通算10枚目のアルバム『DANCE TO YOU』を発売した。2017年は3月15日には、同作品のなかでも屈指の美しいメロディーをもつ春曲「桜 super love」を中心に編んだ10曲入りEPと、限定のアナログ7インチシングルをリリース。今夏8月27日には、19年ぶりとなる日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブを開催する。

 

【URL】

何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」

http://at-living.press