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2017/5/26 10:45

コーヒー大国コロンビアの「奇妙なコーヒーカップ事情」 日本でよく見るカップよりサイズが微妙に小さい!?

みなさんは普段、どんなコーヒーカップを使っていますか? なかには、備前焼のコーヒーカップのようなこだわりのコーヒカップを使っている人もいるかもしれません。いまでは、なんと輪島塗のコーヒーカップまであるんですよね。

 

お気に入りのカップがあると、コーヒータイムが楽しくなります。本稿では、コロンビア人が愛用しているコーヒーカップの事情をコロンビア在住の筆者がリポートします。何気なく使っているコーヒーカップに想いを馳せてみてください。

 

コロンビアも日本も大差はないが、ひとつだけ異なる点があった

コロンビアで使われているコーヒーカップは日本と大きく異なるのかというと、そんなに大差はないです。コロンビア人が何か、斬新なデザインのコーヒーカップを好んで使っているわけでもありません。

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しかし、ひとつ異なる点があります。それは、日本の家庭に置いてあるレギュラーカップよりコロンビアの家庭においてあるコーヒーカップのほうがサイズが若干小さいという点です!

 

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一般的なコーヒーカップはレギュラーカップ100~140ml。エスプレッソ用のエスプレッソカップは20~30ml、それより少し大きめのコーヒーカップがデミタスカップ60~80mlと言われるもの。このデミタスカップのサイズのコーヒーカップがコロンビアの一般家庭に置いてあるのです。

 

実際にコロンビアのスーパーストアにコーヒーカップを見に行ってみたところ、やはり予想通りにデミタスカップがたくさん並んでいました。

 

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コーヒーカップが小さいのはコロンビア人の好みなのか?

なぜ、デミタスカップが多いのか。それはコロンビアのコーヒー事情が関係しています。一般的にコロンビア人は、ミルクを入れない「Tinto(ティント)」というコーヒーを飲むことが好きです。

 

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実は、この「Tinto」と小さなデミタスカップのサイズのコーヒーカップがコロンビアで普及していることと大きな関係があります。「Tinto」はなかなか味が濃いために、レギュラーカップの量を飲み干すのが苦しい。かといってエスプレッソほど小さくするとそれはそれで物足りません。

 

そこで、レギュラーとエスプレッソの中間サイズのデミタスカップが最適なサイズというわけです。

 

デミタスカップ誕生のきっかけはフランスのナポレオン

元々デミタスカップが生まれた起源は、イギリスの商品を輸入しない、ボイコットすることにしたフランスのナポレオンによる大陸封鎖令にあります。

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これによりイギリス経由で輸入されていたコーヒー豆がフランスで不足しコーヒー豆の価格が高騰。しかし、フランスの人々は大好きなコーヒーを引き続き飲みたいわけで、以前と変わらずにコーヒーを飲むためにカフェに通いました。

 

そして、カフェはコーヒーの価格を上げるのではなく、コーヒーカップのサイズを小さくしコーヒーの量を少なめにして同じ価格で提供することでコーヒー豆の価格の高騰を乗り切ったのです。このサイズを小さくしたのが、デミタスカップが生まれたきっかけというわけ。

 

コーヒーを飲むとき、コーヒーカップは欠かせません。

 

コーヒータイムをより充実させたいという方であれば、コロンビア人のようにコーヒーの種類に合わせてコーヒーのサイズを変えてみたり、冒頭で前述した備前焼のコーヒーカップのようなおしゃれで高級なコーヒーカップを購入してみたりしてもよいでしょう。

 

ぜひ質の高いコーヒータイムでリッチな時間を持ってみてください。慌ただしい生活に心のゆとりが生まれること請け合いですよ。