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2016/6/9 17:30

フカヒレにイノベーション! 安価に絶品フカヒレを食べられる気鋭の居酒屋をレポート

フカヒレ――。その名の如くフカ(サメのこと)のヒレですが、「高級な中華料理」というのが多くの人のイメージではないでしょうか。確かに値段も高く、家庭料理で提供されるようなことは普通ならありえません。でも、漁獲技術の進化や調理技法の向上など、水産業界にイノベーションが起きている今日このごろ。フカヒレも、より安くおいしく味わえる時代が到来しているのです! 今回はそれを実現した海鮮居酒屋をレポート。革命的なフカヒレ料理を紹介したいと思います。

 

部位によって食感や口どけが変わる!

訪れたのは、街の発展とともに人気急上昇中の神奈川県・武蔵小杉。駅から3~4分の場所にたたずむ「海鮮問屋 浜の玄太丸」と「海鮮問屋 浜の玄太丸 はなれ」です。三浦の長井港で水揚げされた新鮮魚介がメインのお店ですが、6月1日より新しくフカヒレメニューをスタートしました。

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↑海鮮問屋 浜の玄太丸 はなれ

その試食会に筆者も参加したのですが、そもそも中華でも高級和食店でもない街の居酒屋さんが、なぜフカヒレを提供することになったのでしょうか? オーナシェフの片桐玄太さんにお話しを伺いました。

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「良質なフカヒレの仕入れ先が見つかり、そこからフカヒレの可能性を見出したからですね。一般的に流通しているフカヒレは『尾ビレ』ですが、実はほかにも部位があります。それが『胸ビレ』や『背ビレ』。そのなかで今回私たちが特に着目したのは、高級品として食される尾ビレと同等ながら、処理の難しさや見た目の問題などから姿身としての流通量は少ない『胸ビレ』ですね。大きなサイズ、細かい繊維質、やわらかい口どけが特徴なのですが、形状を保って下処理することが難しいため安価となり、一般的には加工品やスープの原材料として販売されています。ですが、丁寧に扱うことで処理の問題をクリアにし、提供が実現しました。」(片桐さん)

 

↑豊富な繊維質で高さや形が美しく、姿煮での提供が多い「尾ビレ」。もっちり、プチプチとした食感です
↑豊富な繊維質で高さや形が美しく、姿煮での提供が多い「尾ビレ」。もっちり、プチプチとした食感です

 

↑ダイナミックな大きさながら、みずみずしく細かい繊維で、やわらかな口どけが特徴の「胸ビレ」。繊細なため形状を保つのが難く、加工品やスープの材料になることが多いとか
↑ダイナミックな大きさながら、みずみずしく細かい繊維で、やわらかな口どけが特徴の「胸ビレ」。繊細なため形状を保つのが難く、加工品やスープの材料になることが多いとか

 

↑尾ビレに似た美しい円形状の「背ビレ」。太い繊維質が特徴で、シャキっとした食感です
↑尾ビレに似た美しい円形状の「背ビレ」。太い繊維質が特徴で、シャキっとした食感です

 

フカヒレのイメージを覆す斬新な料理がズラリ

そこには常識を疑う発想の転換と、技術のイノベーションがありました。仕入れが安価なため、高コスパで提供できるというメリットもあります。ここでは、実際に調理したメニューを試食してみました。

↑3種のフカヒレ姿煮 2580円
↑3種のフカヒレ姿煮 2580円

一般的には安くても1尾1000円はする姿煮が3種類も。食べ比べられるうえに、この価格は安い! 味付けは姿煮では珍しくたまり醤油を使用し、特製のオイスターソースと絡めています。やさしい和のテイストは日本人になじみ深い味わいで、食べやすいのも魅力です。

 

↑フカヒレの濃厚豆腐白和え 680円(部位:胸ビレ)

約50年の歴史をもつ川崎市「関豆腐店」の汲み豆腐を使用。プリっとした胸ビレの食感が大豆の風味との絶妙なハーモニーを生み出します。

 

↑九条ネギとフカヒレのさっぱり和え 680円(部位:胸ビレ)
↑九条ネギとフカヒレのさっぱり和え 680円(部位:胸ビレ)

シャキシャキとした歯ごたえと深い甘みが特徴の九条ネギは、胸ビレと相性抜群。梅肉が清涼感を、ゴマ油や松の実が香り高いアクセントを演出します。

 

↑コラーゲン フカヒレ寿司(2貫) 880円(部位:背ビレ)
↑コラーゲン フカヒレ寿司(2貫) 880円(部位:背ビレ)

繊維が太く、部位のなかでもっともコラーゲンが豊富な背ビレを使用。味付けには明治30年創業の福岡県「北伊醤油」の純もろみ醤油を使用し、香ばしさをプラス。上にのった北海道産のバフンウニが甘く濃厚で、とてもリッチなおいしさです。

 

↑おつまみ焼きワンタン(3本) 780円(部位:胸ビレ)
↑おつまみ焼きワンタン(3本) 780円(部位:胸ビレ)

胸ビレの繊細な食感を際立たせるため、具に使われる海老のプリプリ感はあえて控えめ。もちもちの生地のなかから貝や海老のダシが香る、技ありの一品です。

 

↑フカヒレあんかけチャーハン 980円(部位:胸ビレ)
↑フカヒレあんかけチャーハン 980円(部位:胸ビレ)

姿煮がドーンとのって980円は激安! しかもよりフカヒレのおいしさを強調するため、塩ベースの味付けになっています。熱を入れすぎると溶けてしまう胸ビレを、絶妙にアレンジした秀作です。

 

スイーツや日本酒にも一切の抜かりなし!

最後はフカヒレを使ったおどろきのスイーツを賞味。また、フカヒレにベストマッチだという日本酒も教えてもらいました。

↑濃厚ココナッツ フカヒレブリュレ 780円(部位:尾ビレ)
↑濃厚ココナッツ フカヒレブリュレ 780円(部位:尾ビレ)

表面が焦がされ、クリーミーな甘味とほろ苦さが調和したクレームブリュレ。なかにはプルンとした尾ビレが隠され、表面にはシャキっとした尾ビレがあしらわれています。ココナッツのまろやかな香りも絶妙で、女性にもオススメ。

 

↑夏ヤゴ ブルー 山田錦 900円
↑夏ヤゴ ブルー 山田錦 900円

フカヒレ料理にベストマッチな日本酒がこちら。神奈川・海老名の泉橋酒造による夏季限定酒です。精米歩合65%の純米酒でスッキリした味わい。寿司にはぜひ合わせたいですね。

 

食べ比べできる興味深い一品のほか、スイーツのような意外性が溢れる料理もあって楽しさは十分。なかでも、個人的にヒットだったのはあんかけチャーハンです。多くの中華料理店でフカヒレあんかけチャーハンを注文すると、そこで提供されるあんかけの具は、春雨やエノキダケでフカヒレの食感をごまかすものもあるのですが、同店のあんかけはしっかりとした姿身で実に贅沢。しかもかなりリーズナブルでした。未体験のおいしさとコスパを求める人は、ぜひ武蔵小杉へ足を運んでみてはいかがでしょうか!

 

【SHOP DATA】

■海鮮問屋 浜の玄太丸

住所:神奈川県川崎市中原区小杉町3-428 小杉山協ビル

アクセス:JRほか「武蔵小杉駅」南口徒歩3分

営業時間:11:30~13:30(L.O.13:30)/17:00~翌1:00(L.O.24:00)

定休日:なし

■海鮮問屋 浜の玄太丸 はなれ

住所:神奈川県川崎市中原区小杉町3-261-2F

アクセス:JRほか「武蔵小杉駅」南口徒歩4分

営業時間:17:00~翌1:00(L.O.24:00)

定休日:毎週日曜日(日曜日が祝前日の場合は、翌月曜日休業)