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2016/6/17 18:49

「残念な場所」がなぜ「化けた」のか? 会津の日本酒がウマイ本当の理由【前編】

いま、日本酒業界で最も注目度が高いエリアと言える福島県の会津地域。新酒の出来栄えを競う最高峰のコンテスト「平成27年酒造度 全国新酒鑑評会」において、福島県は金賞受賞数18蔵で4年連続1位を獲得。なかでも会津地域の金賞蔵は13蔵と群を抜いてます。なぜ会津の日本酒は、ここまでの好成績を残せるのでしょうか――。

 

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↑「平成27年酒造度 全国新酒鑑評会」では、出品点数854点中金賞酒は227点。県別では福島県の金賞18蔵に次いで、山形県と兵庫県が17蔵、新潟県が16蔵でした

 

国内外のコンペで多くの蔵が高い評価を受ける

会津の日本酒が高い評価を獲得しているのは、「全国新酒鑑評会」だけではありません。日本一おいしい市販酒を決める「SAKE COMPETITION」では、昨年の純米大吟醸部門で「会津中将(あいづちゅうじょう) 純米大吟醸 特醸酒」が1位に、2014年は純米酒部門と純米吟醸部門で「寫樂(しゃらく)」が1位を獲得。世界的な最高権威の評価を受けているコンペティション「インターナショナルワインチャレンジ2016」のSAKE部門においても、「会津ほまれ 純米大吟醸 播州山田錦仕込」と「大和屋善内 純米生詰」がゴールドメダルを受賞しています。

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そんな会津の酒質が飛躍的に向上し、銘醸地となったのはここ十数年のこと。山を超えた新潟の淡麗辛口なお酒が全国的な盛り上がりを見せていた頃は、“二級酒天国”と揶揄されるほどベタベタと不自然な甘さが残る酒が中心の残念な市場だったそう。

 

「飛露喜」に続く人気銘柄が続々と登場

そんな状況の中、いち早く全国銘柄として名乗りを挙げたのが「飛露喜(ひろき)」(廣木酒造本店)。飛露喜ブランドの濃醇かつ旨みたっぷり、そしてフレッシュな味わいは、山形の伝説的人気酒「十四代(じゅうよんだい)」と並ぶ現代酒質の旗手として台頭。現在も続く無濾過生原酒というトレンドに火を着けた酒蔵としても有名です。

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↑廣木酒造本店・蔵元の廣木健司さん。「僕が蔵に戻った1993年当時は一升瓶1000円以下の商品がほとんどで、酒造好適米すら使ったことのないような蔵でした。鑑評会に出品したこともありませんでしたからね」

 

日本酒新時代を開拓してきた会津の第一次世代には、早くから純米酒路線にシフトして米作りからこだわる「会津娘(あいづむすめ)」(高橋庄作酒造店)、地元産「五百万石」と福島県が開発した「うつくしま夢酵母」を使ってプラントで醸す「奈良萬(ならまん)」(夢心酒造)も名を連ねています。ひと昔前は「二級酒天国」などと揶揄された会津において、真摯な酒造りで結果を出してきた酒蔵の存在は、次世代に「本気で酒造りと向き合えば自分で未来が創造できる」という希望を与えました。

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さらに蔵元同士が技術を共有して刺激しあい、次世代を巻き込みながら切磋琢磨していくという“伝統”を生み出したことも会津の大きな財産。第二世代の「寫樂(しゃらく)」(宮泉銘醸)、「会津中将(あいづちゅうじょう)」(鶴乃江酒造)、「ロ万(ろまん)」(花泉酒造)、さらにニューウェーブの「天明(てんめい)」(曙酒造)、「弥右衛門(やうえもん)」(大和川酒造店)、「大和屋善内(やまとやぜんない)」(峰の雪酒造場)、「山の井(やまのい)」(会津酒造)、「笹政宗(ささまさむね)」(笹政宗酒造)など次々と人気銘柄が台頭しています。

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会津の勢いに触発され、中通りエリアの「廣戸川(ひろとがわ)」(松崎酒造店)や「一歩己(いぶき)」(豊国酒造)も友好なライバル関係を築き、切磋琢磨してます。今や会津の酒、福島の酒にハズれなし! といっても過言ではありません。このように会津が“旨酒天国”となった理由を、次回の【後編】で多角的な視点により明らかにしていきたいと思います。

後編はコチラ

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【会津・福島の旨酒が楽しめるイベントはこちら!】

「東京會津祭2016」

7月17日(祝前日)開催

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【URL】

http://peatix.com/event/162639

 

 

「酒プライム」

6月26日(日)開催

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【URL】

https://www.facebook.com/sakepu/

 

 

「力水〈ふくしま地酒〉を楽しむ会」

6月19日(日)開催

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【URL】

http://www.uekiya.net/wp-content/uploads/d3c5e0d3a90d1161d6de1e91e0b9a118.pdf

 

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