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2017/5/23 18:30

時代は「脱・タッチ操作」! 握って操作する HTCの新フラグシップ「HTC U11」

HTC516日、台湾のHTC本社でグローバル向けの発表会を開催。新フラグシップの5.5型モデル「HTC U11」を発表しました。HTC NIPPONからもプレスリリースが公開されており、国内でも取り扱われる見込みです。本記事では発表会の様子を交え、同機の概要を紹介します。

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↑HTC U11。同社が「リキッド・サーフェス」と表現するガラス背面のデザインは角度によって色合いが変化する

 

今年で20周年を迎えたHTC

同発表会には、Chialin Chang氏(President of Smartphone and Connected Devices)が登壇。冒頭にて「HTCは実は昨日20周年を迎えました。グローバルローンチイベントに今日という日を選んだのも、こうした理由があります。HTCにとって次の20年を迎える節目でもあるからです」と話しを切り出しました。

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↑Chialin Chang氏。冒頭の話に続けて、HTCのこれまでを振り返り、「メタルユニボディ」「BoomSound スピーカー」「デュアルカメラ」「HTC Sense」など、多くの先進的な技術に取り組んできたことをアピールしました

 

また、「1998年には、3Gの登場を予測してデータ通信機能を持つ個人向けデバイスをリリース。2007年には、4G登場のタイミングに備えタッチスクリーンのスマホを世に出しました。そして、2017年。5Gの登場を目前に控え、次のスマートフォンがどうなるべきかを考えるタイミングを迎えています」と、これまでの軌跡を振り返りました。そのうえで、今後は「Extended Emotive Touch(拡張された操作性)」「Voice & Platform for mltiple assistants(複数アシスタント機能の活用)」「Next generation Multimedia(次世代のマルチメディア)」の3つの要素が重要であると主張。これら3つの要素を兼ね備えた端末として、新機種「HTC U11」が紹介されました。

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↑カラーラインナップは(右から順に)「Ice White(アイス ホワイト)」「Solar Red(ソーラー レッド)」「Amazing Silver(アメイジング シルバー)」「Brilliant Black(ブリリアント ブラック)」「Sapphire Blue(サファイア ブルー)」の5色。なお国内では赤以外の4色となる見込み

 

同機は5.5型のQHDディスプレイを搭載する大画面モデル。OSにはAndroid 7.1.1で、プロセッサーにはQualcomSnapdragon835を搭載します。メモリはRAM 4GB/ROM 64GBモデルが国内向けに提供される見込みで、外部メモリは最大200GBまでをサポートする模様。

端末を握って操作する「エッジ・センス」

同機の最も特徴的な機能は、端末を握って操作する「Edge Sense(エッジ・センス)」です。左右の側面に感圧センサーが搭載されており、ギュッと握るグリップ操作(グローバルでは「Squeeze」と表現)で、アプリを素早く起動できます。

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↑操作は主に「短い握り」「長い握り」の2種類。どちらも短いバイブレーションでリアクションがあります。なお、設定アプリからユーザーの好みに合わせて握りの強弱をカスタマイズ可能。不要な場合にはオフにも切り替えられます

 

具体的な操作については、カメラを起動したり、シャッターを切ったりする活用がメイン。短く握るとカメラアプリが起動し、再び短く握るとシャッターが切れます。長く握ると背面・前面カメラを切り替える操作となります。なお、エッジ・センス反応するのは、握った瞬間ではなく「握りを緩めた瞬間」。ややタイムラグが設定されているため、撮影そのものがブレることはありません。

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↑発表会ではChialin Chang氏がプレス席に降り、セルフィーのデモを行う場面も

 

カメラでエッジ・センスを使用するメリットには、「動きのあるセルフィーが撮影しやすくなる」「雨の日でも操作しやすい」「グローブを着けていても操作できる」などが挙げられます。

 

また、エッジ・センスで操作できるのは、カメラだけではありません。長押しでは、Googleの音声入力が表示されます。つまり、「OK Google」と毎回言う必要がなくなるというわけです。

 

「握る」→「喋る」という動作には、画面をタッチするという過程が含まれていません。HTCは未来のスマホを思い描きながら、こうした操作性の改革にチャレンジしているようです。

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↑AIベースのボイスコントロールに複数対応していることも特徴。 ただし、「Google Assistant」「Amazon Alexa」「Baidu DuerOS」など、現時点では日本未対応のサービスです

 

なお、7月にはエッジ・センスの機能を拡張できるアプリがGoogle Play上でリリースされるとのこと。上述の機能だけでなく、カレンダーやSNS、エンタメアプリなどユーザーの趣向に合わせたカスタマイズが可能になる予定です。

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↑HTC独自AIの「センス・コンパニオン」アプリも搭載。バッテリー消費などを最適化します

 

カメラはDxOMark Mobile最高評価の90スコア獲得

動画の録音機能もユニーク。マイクを4つ搭載しており、撮影動画の音声データが周囲の方向を反映します。また、被写体にズームすると周囲から集音した音が抑えられ、被写体の方向の音声が強調される「Acoustic Focus(音声ズーム)」機能も搭載。

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↑背面カメラは、デュアルピクセル方式で1200万画素。F値1.7の明るいレンズを搭載し、マニュアル撮影や5軸の光学手ブレ補正にも対応します

 

本機のDxO Mark Mobile(※)のスコアはスマホとしては、従来1位だったGoogleのPixcel「89」を抜き「90」を獲得。会場には拍手が起こりました

※DxO Mark Mobileはカメラの画像処理ソフト・エンジンを作成するDxOによるカメラ性能の評価スコア

 

同梱イヤホンは自動チューニング機能搭載

オーディオのポイントは2点あります。ひとつは従来機のようなデュアルフロントスピーカーではなくなったこと。もうひとつは同梱のイヤホンに搭載された独自機能です。

 

まずHTC U11では、 チャンバーを内蔵することで、端末下部のメインスピーカーに加え、画面全体からサウンドが響く仕組みを採用しています。

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↑端末上方はツイーター(高音域)として、下部はウーハー(低音域)として機能

 

また、同梱のハイレゾ対応イヤホン「HTC USonic earbuds」は、エコーで耳の形を判別して、最も聞こえやすい音域に調整する機能を搭載します。設定画面から数度項目を選択し、イヤホンを耳に装着するだけで、数秒で自動チューニングが完了。同機能のオン・オフ切り替えも設定から行えます。エコライザーや細かい手動チューニングがないぶん、玄人には物足りないかもしれませんが、サウンドについて自身でチューニングするのは難しいという大多数のユーザーにとって使いやすい仕様となりました。

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↑HTC USonic earbuds。筆者が使ってみた感想としては、低音域が強調されることで、全体としてサウンドの迫力が増すような印象を受けました

 

ちなみに端末本体にはイヤホンジャックがなく、同イヤホンはUSB Type-C経由で接続。3.5mmのイヤホンジャックを使用したい場合には、同梱のアダプターが必要です。

 

HTC U11は新機能をふんだんに搭載したチャレンジングな端末となりました。また、先日のGoogle I/Oでは、Google Assistantの日本語対応が予告されたばかり。日本でもエッジ・センスとの連携を早く試したいですね。