デジタル
アプリ
2017/9/19 17:00

ピンボケ回避に役立つ「過焦点距離」って知ってる? スマホアプリ「ハイパーフォーカル」レビュー

スマホアプリは、写真の撮影や加工、バックアップ、共有といった用途だけでなく、撮影に関するさまざまな計算や情報収集にも役に立つ。今回は、撮影をサポートしてくれるアプリとして、被写界深度や過焦点距離を計算できる「ハイパーフォーカル」を紹介しよう。

20170915_digi_01

【ハイパーフォーカル】開発:The Eye Feel 価格:120円 iOS用

 

過焦点距離を調べてパンフォーカス撮影を実践

被写界深度を計算できるアプリは、無料のものから有料のものまでいろいろあるが、なかでも無駄のないシンプルな操作画面と実用的な機能を両立したおすすめアプリが「ハイパーフォーカル」だ。その特徴は、被写界深度に加え、製品名にもなっている過焦点距離を素早く計算できることにある。

 

「過焦点距離とは何か?」を説明する前に、まず被写界深度のおさらいをしておこう。被写界深度とは、ピントが合ったように見える前後の奥行きのこと。絞りを開けるほど被写界深度は浅くなり、絞りを絞り込むほど被写界深度は深くなる。また、焦点距離を長くするほど被写界深度は浅くなり、焦点距離を短くするほど被写界深度は深くなる。こうしたことは撮影の基礎として知っている人は多いだろう。

 

被写界深度をさらに厳密にいうと、ピントを合わせた位置から手前側の「前方被写界深度」と、ピントを合わせた位置から奥の側の「後方被写界深度」の2つに分けられる。このうち後方被写界深度が無限大(∞)になったときの最短の被写体距離を「過焦点距離」という。

↑ハイパーフォーカルの画面。「Depth of Field」では、被写界深度がわかる
↑ハイパーフォーカルの画面。「Depth of Field」では、被写界深度がわかる

 

被写界深度の基準となる「許容錯乱円」の設定ができる

過焦点距離の情報が役立つのは、手前から奥までの広範囲にピントが合った、いわゆる「パンフォーカス」の状態で撮影したいときだ。絞りと焦点距離を決めたうえで、ピントをマニュアルにしてフォーカスリングの位置を過焦点距離に合わせれば、ピンボケの失敗はほぼなく、全域でくっきりした像が得られる。

↑まずセットアップ画面で、カメラの機種とレンズを入力しておく。「Circle of Confusion」では、必要に応じて許容錯乱円の値を変更できる
↑まずセットアップ画面で、カメラの機種とレンズを入力しておく。「Circle of Confusion」では、必要に応じて許容錯乱円の値を変更できる

 

↑主要なメーカーのカメラはあらかじめ登録されている。ここからカメラ名を選ぶと、センサーサイズが自動的に設定される
↑主要なメーカーのカメラはあらかじめ登録されている。ここからカメラ名を選ぶと、センサーサイズが自動的に設定される

 

↑過焦点距離を知るには、画面下にある「Hyperfocal」のタブを選択し、レンズの焦点距離と絞り値を設定しよう。すると、図の中に過焦点距離(Hyperfocal)が表示される
↑過焦点距離を知るには、画面下にある「Hyperfocal」のタブを選択し、レンズの焦点距離と絞り値を設定しよう。すると、図の中に過焦点距離(Hyperfocal)が表示される

 

注意点は、そもそも過焦点距離はフィルム時代の考え方であり、高画素化が進んだ現在のデジカメでは合わない場合があること。数値上は被写界深度内に入っていても、PCの大きなディスプレイ上で写真を等倍表示にすれば、解像感が甘く感じることがある。

 

ハイパーフォーカルでは、被写界深度の基準となる「許容錯乱円」の設定ができるので、よりシビアな描写を求める場合には、写真の出力や鑑賞の方法に応じて許容錯乱円を小さくしておこう。