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2017/10/6 6:00

【西田宗千佳連載】ヘッドホンの高度化で「アプリ」が必須に

「週刊GetNavi」Vol.59-3

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少し前まで、スマホにインストールして使うヘッドホンアプリは、「あればいいけれどなくても済むもの」だった。確かに、音質の調整がすぐにできたり、マニュアルが参照できたりするのは便利である。しかし、「それがないとヘッドホンの利用に支障が出る」ほどかというと、そうではなった。

 

だが、その常識も変わりつつある。ヘッドホンの側が高度化し、スマホアプリとの連携を前提に開発されるようになっているからだ。

 

もっともわかりやすい例は、心拍計などを内蔵し「スポーツ向け」をウリにしているヘッドホンだ。例えば「Jabra Elite Sport」は、運動時のパフォーマンスを確認するため、心拍数を記録する機能を持っている。それを使うには、専用のスマホアプリ「Jabra Sport Life」が必要になる。ヘッドホン側は「音が出るセンサー」であり、価値を提供するのはスマホ側にあるアプリなのだ。独Bragi社の「The Dash Pro」は、ヘッドホン自体にかなり高度なOSを搭載しており、首の動きなどのジェスチャーを把握して動作する。しかし、その設定や「音声翻訳機能」などはスマホアプリとの連携で実現されており、やはり同様に、価値はヘッドホン側だけで実現されているわけではない。

 

もう少しわかりやすい例として、左右独立型の「完全ワイヤレス」ヘッドホンについては、スマホアプリやOSとの連携が標準になりつつある。もっともシェアの大きいAppleの「AirPods」は、AppleのOSと連携したときだけ使える機能がいくつもある。特に重要なのは、「ヘッドホンを最後に使った位置を覚えている」ということだ。要は、最後にAirPodsを使ったとき、同時にそれが接続されていたスマホやMacの位置がネット上に記録されるのである。紛失に備えるための機能だ。アプリ側から音を鳴らし、ヘッドホンを見つける機能もある。同様のアプローチはボーズも、新製品である「SoundSport Free」で採用しており、こちらも、最後に耳に付けた位置を検索することができる。

 

ソニーが新フラッグシップ・ヘッドホン「1000Xシリーズ」で試みているのは、これらの「スマホアプリ連携でヘッドホンの価値を高める」アプローチと同種のものだ。ただし、よりヘッドホン利用中の利便性に特化しており、機能の判断や動作が「スマホアプリ側」にある。フォロワーではあるが、かなり大胆な発想といっていい。

 

では、今後「スマホと連動するヘッドホン」にはどんな未来が待っているのだろうか? そこは次回のVol.59-4で語ることとしたい。

 

●Vol.59-4は10月13日(金)公開予定です。

 

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