デジタル
2015/4/7 10:51

4K以上(?)に画質に影響するHDR

「週刊GetNavi」Vol.29-3

150330-3

 

4K解像度版のブルーレイである「UHD Blu-ray」では、多くのソフトが4Kで映像を収録すると見られている。規格上は2Kでも良いのだが、そうする企業はたぶん多くはあるまい。

 

また、解像度以外のスペックも向上する。いままでは各色8ビットで表されていた色が10ビットになり、色再現性が増す。また、4K解像度・60p(毎秒プログレッシブ方式60コマ)の再生が可能になり、特にスポーツなどで威力を発揮しそうだ。ただし、4K・60pになると、テレビ側での対応が必要になってくる。

 

それ以上に映画会社が注目しているのが「HDR」だ。HDRとはHigh Dynamic Rangeの略である。元々映像信号は、実際の世界ほどのコントラストを再現できない。ディスプレイもそうだ。そこで、画像処理によって「強いきらめき感」「広いダイナミックレンジ」を再現しようというのが、HDRだ。

 

HDRというとデジカメの撮影機能で目にする方が多いと思う。しかし、それとUHD BDやテレビのHDRとは、目的は同じであるが、アプローチが異なる。デジカメでのHDRは、本来は広いダイナミックレンジである映像を、より狭い領域でも「そう見える」ように変換して記録する技術。だから、きらめき感は似ているが、ディティールは再現が難しい。2014年製のテレビに搭載された「きらめき復元」などの機能も、同じアプローチだ。

 

しかし、UHD BDや今後出てくるテレビのHDRは従来のアプローチとは異なる。通常の映像信号に加え「HDR用の情報」を付加して記録し、それに応じてテレビのバックライトを制御することで、特に明るい部分では強く光らせて、実際にダイナミックレンジを広くするのだ。その効果は絶大で、輝度だけでなく色表現も豊かなものになる。映画会社も高く評価しており、4K映像だけでなく2K映像でも使いたい……というところまであるほどだ。UHD BDが2Kにも対応するのは、そんな背景がある。

 

一方、問題はHDR用の情報を付加した映像を「HDR対応のテレビやプロジェクターでなければ再現できない」ということだ。HDR非対応のテレビでもUHD BDは再生できるものの、HDR情報は利用されない。HDRを搭載したテレビは、今年ようやく登場しはじめるところだ。バックライトに「部分駆動」という技術を使ったものの方が望ましいので、ハイエンド製品からの利用となるだろう。

 

UHD BDのそうした部分まで生かして楽しもうと考えると、消費者の出費はけっこう大きいものになりそうだ。一方で、映像の世界はディスクから配信への移行が急速に進んでいる。UHD BDも、配信と無関係ではいられない。次回Vol.29-4では、UHD BDと配信の関係について解説しよう。

 

●「Vol.29-4」は4/14(火)ごろ更新予定です。

 

週刊GetNavi、バックナンバーはこちら