デジタル
2015/4/14 11:05

ネットもディスクも展開する「UHD Alliance」

「週刊GetNavi」Vol.29-4

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Blu-ray DiscとHD DVDの規格戦争が終わったのは、2008年の春のことだった。はやいもので、あれから7年が経過してしまった。当時業界では、この規格戦争が「最後の光ディスク戦争」などとも言われていた。当時から、近い将来に光ディスクの出番はなくなってくるのでは……とささやかれていたからだ。

 

実際、光ディスクの出番は減りつつある。音楽では、ついに日本でもCDの売上が落ちてきた。アメリカは本格的にオンライン配信が利益の軸になっている。映像についても、etflixやHuluのようなビデオオンデマンドが普及し始め、ディスクビジネスは伸び悩んでいる。

 

BDは、「コンテンツを最高の画質で手元に持つ」意味では、最適のメディアだ。4Kの世界になってもその欲求は変わらない。だから、4K映像を収録できる UHD BDは重要な規格である。

 

しかし、ディスクを買わず、DVDレンタルで済ませていたような人々は、今後続々と、ディスクメディアからネットへと移行していくだろう。そこで、配信向けとディスク向けで、コンテンツの製作ルールが違っていると、ビジネス展開を進めるうえでは効率が悪い。同じコンテンツを「手軽さ」と「クオリティ+所有感」の両方で、クオリティも含め、使い分ける必要がある。

 

今回、UHD BDの立ち上げと同時に、業界側が設立したのが「UHD Alliance」という団体だ。この団体には、ハリウッドの映画会社や家電メーカーなど12社で1月に設立されたが、UHD BDを推進する企業に加え、Netflixが入っているのが見どころ。Netflixは4KとHDRでの映像配信に積極的で、年内にも、画質などは異なるものの、UHD BDと同じスペックの映像を配信する、としている。Netflixを取り込んでおけば、映像製作と配布において、ディスクとネットが共同歩調を取れる。

 

もう一つの狙いは、UHD Allianceのような組織を作ることで、「粗悪な4K」が入ってくることを防ぎたい……という点だ。「4Kが表示できるテレビ」は、パーツさえ集めてくれば、作るのは簡単だ。しかし、きちんとした画質を実現するには、映像作りのノウハウが必要だ。同様に、単に4Kの解像度の映像を撮影することはできても、4Kにふさわしい画質を実現するのは容易ではない。そこで、UHD Allianceが「品質の担保」をする役割を果たし、加盟企業からは「本物の4K」が出てくる、というコンセンサスを作ることを狙う。

 

一方、これは「中国メーカー封じ」でもある。その作戦がうまくいき、価格下落を抑えることはできるのか。答えが出るまで、そう時間はかからないだろう。

 

●Vol.30-1は「ゲットナビ」6月号(4月24日発売)に掲載予定です。