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2016/10/26 18:00

薄さは正義! フラットキーボードの超薄2in1PC レノボ「YOGA BOOK」を試す

最近では、キーボードを備えたノートパソコンスタイルに、タブレットのようなタッチ操作機能も備えた2in1スタイルPCが増えています。そんななか、ちょっとスゴイ製品が登場しました。それがレノボの「YOGA BOOK」シリーズです。新感覚の「Haloキーボード」を備えながら、W256.6×H170.8×D9.6mmと非常にコンパクトでスリムな本体サイズを実現。操作性と可搬性を両立した、モバイル用途に最適な1台となっています。

 

YOGA BOOKシリーズは、OSにWindowsを搭載したモデルと、Androidを搭載したモデルの2種類をラインナップ。それぞれにWi-FiモデルとSIMカードを装着できるセルラーモデルを用意しています。直販価格は、Android版のWi-Fiモデルが3万9800円、同LTEモデルが4万4800円、Windows版のWi-Fiモデルが5万2800円、同LTEモデルが5万9800円(いずれも税別)。

 

今回はWindowsモデル「YOGA BOOK with Windows」を実際に試すことができたので、使い勝手や性能などを詳しくチェックしました。

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ペンパッドにもなるフラットキーボードを搭載

レノボの「YOGA BOOK」は凹凸のないフラットな「Haloキーボード」を採用したモバイルノートです。OSを起動すると、液晶ディスプレイに画面が表示され、そしてもう一面にキーボードがLEDで表示されます。

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↑Haloキーボード

 

実際のキーボードのようにキーに凹凸はなく、タブレットなどで使われるソフトウェアキーボード(画面に表示されるタッチ式キーボード)のような感覚です。ただし、タイピングに合わせて打鍵音が鳴り、バイブレーション(振動フィードバック)で反応を返してくれる仕組みなので、キーをタッチした感触は感じられます。ストロークゼロのキーボードと聞いて、最初はちょっと戸惑いましたが、使ってみるとそれほど違和感なくタイピングできました。

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↑慣れると通常のキーボードに近いスピードでタイピングできるように

 

また、キーボードはタイピング位置の学習機能を備えており、使い続けるうちにミスタイピングが減らせます。キーボード入力は数時間ほど使っただけですが、次第に通常のキーボードに近いスピードでブラインドタッチできていました。ただし、キートップに指先を置いておけないので、長時間のタイピングではちょっと指先が疲れるかなという印象です。

 

さらに、YOGA BOOKではペン入力もできます。ディスプレイはレノボのAnyPenテクノロジーに対応しており、通電する素材なら、付属のペンでなくてもタッチ操作や入力が可能。そして、Haloキーボードの上部にあるペンマークをタッチすることで、キーボード部をペン入力のためのフラットパッドとして使うこともできます。

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↑キーボード部をフラットパネルとしても利用可能

 

Windows版では、ペンモードに切り替えると、自動的にペン入力に対応したメモアプリ「OneNote」が起動。プレート部に書いた軌跡を追い、絵や文字がOneNote上のノートに記録できます。

 

 

ノートの上でメモを取って同時にデジタル化できる

さらに面白いのが、付属する「REAL PEN」のペン先をタッチ操作用のEMR芯からインク芯に変更できること。パッドの上にノートなどを置いて、インク芯に変えた「REAL PEN」でメモを取ると、ノートにペンで書き込みながら、同時にその内容をOneNote上にデジタル記録することができるのです。

 

デジタルメモの方は、ペンの太さや色などを自由に変えられるので、カラフルなメモを作成することもできます。

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↑ノートに書いた内容がそのままデジタル化されて表示される

 

ペン入力は、パッド面から10mmほど離れていても検知するため、付属のマグネット付きノート「BOOK Pad」以外にも、市販のノート程度なら問題なく使えそうです。会議の議事録などを手書きで記録するときにこの機能を利用すれば、会議が終わった後に素早く情報を共有することができそうです。

 

タブレットスタイルでも使え、音質も良好

YOGA BOOKは、キーボード部を完全に折りたたんでタブレットスタイルで使うこともできます。縦に持てば、電子書籍などもスムーズに読めて便利です。

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↑タブレットスタイルにしたところ

 

ヒンジには同社製のノートPCでも採用されているウォッチバンドヒンジが使われており、スムーズに二つ折りにできます。

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↑ウォッチバンドヒンジ

 

本体質量は約690gなので、片手では持つと少し重く感じますが、両手で持てばそれほど重さを感じずにタブレットスタイルで使えます。画面サイズは10.1型と大きく、1920×1200ドット表示と高精細表示ができるため、雑誌の細かな文字もクリアに読むことができました。

 

AV機能はどうでしょうか。スピーカーはキーボード部の左右側面に配置しています。本体が非常に薄いので、音に期待はできないなと思っていたのですが、高音質化機能として「Dolby Audio Premium」を搭載しており、しっかりとした音量で高音やボーカルはしっかりと表現できていました。

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↑スピーカーはキーボード部の左右に搭載

 

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↑Dolby Audio Premiumにより高品質なサウンドを楽しめる

 

残念ながら低音はそれほど強くありませんが、それはしかたがないところ。至近距離で聴くことを考えると迫力や臨場感はそれなりに楽しめます。

 

性能は必要にして十分! 拡張性は残念

最後にPCとしての性能面や仕様面をチェックしましょう。YOGA BOOK with Windowsは、CPUに「Atom x5-Z8550(1.44~2.40GHz)」を搭載しています。「Atom」であることに不安を感じる方もいるかもしれませんが、クアッドコアで性能は十分。実際に4K動画を再生してみましたが、コマ落ちすることなくスムーズに再生することができました。

 

メインメモリは4GB、内蔵ストレージは64GBとなっています。手元のモデルで確認したところ、ストレージの空き容量は約35.4GBでした。本体側面にmicroSDメディアカードリーダーを搭載しているため、大量のデータを扱いたいときにはストレージの拡張も行えます。

 

 

使っているうえで、ちょっと戸惑ったのが拡張性です。本体に搭載している端子は、microUSB×1とmicroHDMIの2つ。そして、microUSB端子は充電にも利用します。

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↑USB端子はmicroUSB×1のみ

 

残念ながら、microUSBからUSB端子に変換するアダプタが付属しないため、USBメモリなどを利用する場合には別途変換ケーブルが必要となります。また、充電兼用のため、充電しながらUSB機器を使うことはできません。タブレットと考えれば問題ありませんが、ノートPCとして使うには、拡張性の乏しさが気になるところです。

 

しかしながら、バッテリー駆動時間はメーカー公称値約13時間と十分に長く、実際に使っているときもバッテリーを気にすることはほとんどありませんでした。このスタミナもモバイルとして使うには魅力的でしょう。とにかくコンパクトで多機能な端末を求めている方に最適な機種といえます。