エンタメ
2016/2/20 11:25

ウォシャウスキー姉弟監督が手がけた初のドラマシリーズ「センス8」がセンス良すぎ!

センス8 予告編 – Netflix [HD]

シーズン2の製作も決まったウォシャウスキー姉弟監督作品

「マトリックス」シリーズでおなじみ、ウォシャウスキー姉弟監督が手がけた初のドラマシリーズというだけで見たくなる人は多いはず(私もそうでした)。早々にシーズン2の制作も決まった「センス8」、いまのうちにチェックしておきましょう!

 

「センス8」というタイトルからわかるように、登場人物は8人。

・シカゴ:警察官のウィル(男)
・サンフランシスコ:ハッカーのノミ(トランスジェンダー:男→女)
・ロンドン(アイスランド)のDJ、ライリー(女)
・ナイロビ:バス運転手で、ジャン・クロード・ヴァンダム信奉者のカフィアス(男)
・ベルリン:地下社会で、裏稼業に生きるヴォルフガング(男)
・ソウル:父親の会社の副社長を務めるビジネスウーマンで格闘家のサン(女)
・ムンバイ:勤務する大手製薬会社の御曹司との結婚に揺れている真面目な薬剤師、カーラ(女)
・メキシコシティ:超人気俳優のリト(男:ゲイ)

 

この、人種も職業もバラバラだけれど「感応力」を持つ8人(クラスター)が、空間を超えてリンクするという、SFテイストのサスペンスドラマです。共通項といえば、それぞれ親や恋人との関係でトラウマを抱えているという内面的なものぐらいでしょうか……。

 

SFテイストながら人間臭いドラマも魅力

空間を超えるトリガーになるのが、思考と感情が高まること。クラスターの誰かが窮地に追い込まれて生命の危険を感じたり、深く悩んでしまったりしたとき、解決するためのスキルを提供すべく、残る7人のうちの誰かが同じ空間に現れるのです。ただし、感応力を持っていない人間には見えていないので、甘いキスシーンもただの「妄想チュー」にしか見えず、時々おマヌケに。でもそれも込みでなかなか人間臭いドラマになっています。

 

最初は、声が聞こえるだけだったり、姿が鏡に映るだけだったりと、錯覚? とカン違いしてしまう程度の接触が、シンクロしてくるにつれて実体が現れるように……。ナイロビの運転手カフィアスがギャングと戦っているとき、ソウルで格闘技のリングに上がっているはずのサンが助っ人に現れたり、敵の建物に侵入したものの、どこへ行っていいかわからない警官ウィルの前に俳優のリトが現れ、その演技力で情報を聞き出したりと、どんどん8人のシンクロ率が高まっていき、アクションや展開もダイナミックになっていくのがワクワクです。

 

一方、クラスターの一員・ハッカーのノミが無理やりロボトミー手術を受けさせられそうになり、陰謀が明らかになるあたりからぐっとサスペンス色もアップ。彼らを廃人に追い込もうとしている組織は何なのか? シーズン1では概要しか明らかにならないので、このあたりはシーズン2に期待ですね。

世界8都市でロケした映像がとにかく豪華!

8都市でロケをしているので、とにかく画が豪華でセンスがいい! 見たいものを見せてくれるのは、視聴者がスポンサーの配信だからこそでしょう。「センス8」は人間ドラマには欠かせないセック シーンもしっかり。映画やテレビと違い、窮屈なモラルコードやスポンサーの顔色を伺う必要もないので、クリエイターの思うままに作られるのが配信の素晴らしいところだと思うのです。ウォシャウスキー姉がトランスジェンダー(男→女)なせいか、男×男や女×女もあり、リンクしているせいで結果的に乱交になってしまうシーンには、生々しさを通り越してちょっと笑ってしまいますが……。

今後はハリウッドの人気監督の作品も続々登場予定!

そんな面白く豪華なNetflixオリジナル作品は、今後も続々登場予定。アメリカではすでにマーティン・スコセッシ(「タクシードライバー」「グッドフェローズ」)やデヴィッド・フィンチャー(「セブン」「ドラゴン・タトゥーの女」)、ギレルモ・デル・トロ(「パシフィック・リム」)といったハリウッドの人気監督も配信ドラマに参入。2016年2月現在、日本での配信は未定のようですが、これらはぜひ見たいですねー。

 

かたや日本では逆を行くように、4Kテレビは「コピーネバー」、つまり録画不可になるという噂が……つまり、地上波の番組はリアルタイムで見るしかないと……なんだそれ!? 送り手が、スポンサーと視聴者のどちらを向いているか? それは確実に作品のクオリティに現れます。そこらへんを気に留めながら見比べるのも一興かもしれませんね。

 

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文/上杉久代:イラストレーターなどとして活躍。最近の日本エンタメ界には山城新伍成分が足りないのではないかと危機感を抱いている中年女子。