「ストレイン 沈黙のエクリプス」は、日本のロボットアニメへのオマージュがさく裂した映画「パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロ監督による初のテレビシリーズ。日本愛にあふれた監督の作品というだけで見逃すわけにはいかない1本です！ 内容も、ヴァンパイア（ゾンビ）＋アウトブレイク＋政治もの＋パニック＋家族愛と、ヒットの要素全部乗せの大変お得な仕上がりに（笑）。U-NEXTでは、すでにシーズン2も公開されているので、今のうちに追いついておきましょう！
飛行中の航空機の中で乗員206名が死亡！ その原因は……
物語は、ベルリンからジョン・F・ケネディ空港に着いた航空機の機内で、生存者4名を残し、乗員乗客206名が一瞬のうちに死亡するという謎の事故から始まります。どうやら、貨物として積まれていた、美しい彫刻が施された大きな木箱（通称「棺」）の中の”何か”が「人間を怪物に変えてしまう」ウイルスらしきものを持ち込んだ模様。危ぶまれるのは大都市ニューヨークでのパンデミック（感染症の流行）！
対策に乗り出した疾病対策センター（CDC）の疫学者エフラム・グッドウェザー博士（コリー・ストール）、同じく疫学者のノーラ、スタッフのジムの3人と、全貌を知っているらしい骨董店主・セトラキアン（デイビッド・ブラッドリー／ドラキュラの宿敵・ヴァン・ヘルシング博士を彷彿とさせるキャラ）は、その恐ろしい”何か”に立ち向かうことに。当然、隠蔽したい政府やFBIからも追われることになりますが、害虫駆除専門家のフェット、女敏腕ハッカーのダッチなどを仲間に加え、ゲリラ戦にうって出ます。
“愛”が物語の大きなテーマに
本編ではヴァンパイアは「ストリゴイ」（ルーマニアでの「ヴァンパイア」の呼称）とも呼ばれ、今回の惨劇のルーツは第二次世界大戦時のナチスドイツによるユダヤ人強制収容所にあるという設定になっています。そこが人類史上最大級のネガティブな感情が渦巻いていた場所だったからでしょう。愛（と憎しみ）がモンスターを産んでしまったということを頭に入れておくと、後々の展開も納得しやすいかと。
公式サイトによれば、タイトル「ストレイン」は“種族・血統・家系・菌株”を意味するとのこと。感染によるパニック描写を縦糸に、登場人物それぞれの家族関係を横糸に物語は進みます。離婚調停中で、愛する息子ザックの親権を得るにはどうすればいいか悩むエフ、痴呆の母親を持て余しているノーラ、末期ガンの愛妻の治療費を得るために裏切り行為を働いてしまうジム……。
途中で明らかになるのですが、感染して変性（ヴァンパイア化）した人間が襲う相手は無差別ではなく“愛する人”なんですね。ヴァンパイア側に立つ謎のドイツ人・アイヒホルスト（リヒャルト・サメル）の「愛のせいでがんじがらめになり、我が身を滅ぼす」というセリフが印象的です。そういえば、変性すると生殖器が無くなって、股間がツルツルになってしまうのですが、そこらへんは“愛”と関係あるんでしょうか？ シーズン2以降に答えが出るのか注目です。
デル・トロ監督の日本アニメ・特撮へのオマージュシーンを探す楽しみも
ヴァンパイア側のラスボスは、ストリゴイを世界に蔓延させようと企む「マスター」。さすがデル・トロ監督、ちゃんとクリーチャー化してくれています（むしろ「もっと早く出したかった」とインタビューに答えているほど）。好みが分かれる造形ではありますが、特撮魂は伝わってくるのは確かなので、ぜひその目でチェックしてみてください。
特撮といえば、第4話で、変性した人間を解剖するシーンは個人的にイチ推し！ 成人男性がまるまる一体特殊メイクで作られているのですが、人間にはない内臓や器官が作り込まれていて、「ほほー、口から触手が伸びるのは、喉がこういう仕組みになってるのね」と、一時停止して何回も観察してしまったほど。造形担当者はきっと楽しかっただろうな〜。ヌルヌルベトベトで超グロテスクなのも、「エイリアン」以降の伝統をふまえていて大変好感が持てます！
前述のように、日本のアニメ＆特撮好きで知られているデル・トロ監督ゆえ、あちらこちらに日本アニメへのオマージュが込められています。公式サイトでも取り上げているように、「寄生獣」「デスノート」「新世紀エヴァンゲリオン」っぽいシーンがちらほらと……。探せば他にもあるかもしれないので、繰り返し見るときは、そのピースを探しながら見るというのも面白いかもしれません。配信ならではの楽しみ方ってやつですね！
すでにシーズン5までの制作が決まっているという「ストレイン」。このシーズン1はあくまでもイントロダクションなのでしょう。シーズン2ではエフの息子・ザックを中心に物語が進むようですし、一大長編になる予感も!?
●PPV作品：200円/2日間
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