デジタル
2016/6/2 11:45

この夏必見のエンタメ大作! ピース・又吉 原作のドラマ「火花」を超速レビュー!

ピース・又吉直樹原作のあの芥川賞受賞作「火花」がNetflixにより初ドラマ化され、6月3日より全世界190か国で全10話が一斉配信されます。日本独自制作のオリジナルドラマが全世界一斉配信されるのはNetflix初の試み。今回は、その話題作の第1話から第5話までをいち早く見ることができたので、業界最速!? レビューとしてお届けします!

※:本記事は2016年4月28日に掲載した内容を再構成したものです。

 

関連記事
【動画】ピース・又吉直樹の芥川賞受賞作「火花」が初映像化! Netflixが6月3日に世界190か国一斉配信へ

 

先輩芸人・神谷との運命の出会い

若手芸人・徳永は(林 遣都)、売れない若手漫才コンビ「スパークス」のネタ作り&ボケ担当。簡単に売れる一発ギャグには背を向けて、正統派しゃべくり漫才で笑いを取ろうとする頑固さと、弱小事務所所属という恵まれないポジションのせいでなかなか陽の目を見ないデビュー2年目。そんな悶々としている時、仕事先のイベントで、無頼で天才肌の先輩芸人「あほんだら(というコンビ名)」の神谷(波岡一喜)に出会い、その場で弟子入りを志願するほど心酔してしまいます。

gn160428-03(2)
↑主人公・徳永(林 遣都) (C)2016YDクリエイション

 

全10話のうち、前半1~5話で描かれるのは、徳永と神谷の、まさに蜜月の日々。やっと巡り合えた同志と、時間や人目を忘れて、「お笑いとは何か?」について熱く語りあう中2病ぶりは、正直すっごくイタいんですが目が離せません。それどころか次第に、大人になるにつれて忘れてしまった心の奥の深い部分をチクチク刺してくるのです。「おまえ、何か忘れてきただろう?」と……。

gn160428-03(3)
↑先輩芸人・神谷(波岡一喜)と徳永 (C)2016YDクリエイション

 

脇を固めるキャストは、門脇 麦や染谷将太、温水洋一、小林 薫、田口トモロヲなど、日本映画の俊英がズラリ。これだけでも、いかにこの作品に力が入っているのか分かります。いわゆる原作レイプにおびえる愛読者のみなさまはもちろん、頑なに原作を読んでいないヘソ曲りな方たちにも十分楽しく見られる内容に仕上がっていると思います。

 

売れないお笑い芸人のリアルな世界が垣間見える

Netflixでは4K/HDR映像での配信に対応することが決まっていますが、映像はフィルムで撮られたような、ザラザラした生々しい質感。その画面に映るのは、吉祥寺の小汚い飲み屋、真夜中の青梅街道、若手芸人の処刑場のようなネタ見せ会場、あえぎ声が丸聞こえなボロアパートなどなど、売れないお笑い芸人のリアルな世界が描かれています。そこにパーツのようにはまり込んでいる、イケメンなのに負け犬臭がすごい(あくまでも演技ですよ)林 遣都と、やんちゃだけどどこか哀しさを内包している波岡一喜は、本当にぴったり。

 

さらに、徳永役でもおかしくない若手の精鋭・染谷将太が、今作では脇に回って、田口トモロヲがマトモに見えるほどの怪演を見せてくれるのも得した気分になります。こういうの、地上波のドラマじゃ無理なんだろうなぁ。神谷に献身的に尽くす恋人を演じる門脇 麦も、餃子を手作りするほど家庭的なのに、ファッションはやたらケバいという、ひと癖あるキャラ作りがいい感じです。(こういう女、追っかけにいるいる!)

 

徳永と神谷それぞれの相方を務めるのは芸人「井下好井」の好井まさおと、同じく「とろサーモン」の村田秀亮。この2人のツッコミのテンポの良さが劇中の漫才を本物にしていますし、あの板尾創路が脚本協力で参加するなど、吉本芸人が総出で協力している点も、お笑い好きには嬉しいところだったりします。

gn160428-03(4)
↑徳永と相方・山下(好井まさお) (C)2016YDクリエイション

 

漫才ステージのシーンは必見!

ただ、普段の生活シーン描写が充実するほど、その後に登場するであろうステージ描写への懸念が……。日本映画にありがちな"ライブ描写の嘘くささ"がそのまま出てしまったら、全てが台無しになってしまうんですもん(泣)。祈るような気持ちで見続けていると、とうとうそのシーンが前半のラストにやってきます。しかも、徳永のコンビ「スパークス」と神谷の「あほんだら(というコンビ名)」が参加するお笑いコンテストという、どストレートなカタチで。

 

でも、5話担当は安定の沖田修一監督! 空気や佇まいといった、"言語化できないもの"を的確に表現するセンスはトップクラスなので、両組ともほぼリアル尺の見事な漫才を披露してくれているうえ、実力ではどうにもならない"笑いの神"の残酷な采配まても、鮮やかに描ききってくれていました。このシーン必見です!

 

さて、5話のクレジットには「カンパニー松尾」「ハマジム」の名前があったのですが不覚にもその形跡を発見できませんでした(お色気シーンはなし)。彼らの作品「劇場版 テレクラキャノンボール2013」ファンには気になるところなので、配信が始まったら改めてチェックしたいと思います。

 

と、いうわけで、物語の“起”と“承”がじっくり丁寧に描かれた前半とは裏腹に、原作通りなら後半(6~10話)には意表をついた展開が待ち受けていることになります。神谷が示した徳永への弟子入りの条件は「俺の伝記を書くこと」。どんな物語が綴られるのか、続きは後編で!

 

 

【キャスト】
林 遣都/ 波岡一喜
門脇 麦/好井まさお(井下好井)/村田秀亮(とろサーモン)/菜葉菜/山本 彩(NMB48/AKB48)/徳永えり/渡辺大知/高橋メアリージュン /渡辺 哲/忍成修吾/徳井 優/温水洋一/嶋田久作/大久保たもつ(ザ☆忍者)/橋本 稜、俵山 峻(スクールゾーン)/西村真二、きょん(ラフレクラ ン)/染谷将太/田口トモロヲ/小林 薫

 

Netflixの無料体験の仕方はこちら!
VODサービスの比較記事はこちら!
Netflixの無料体験はこちら!

 

【URL】
Netflix「花火」公式ページ http://www.hibana-netflix.jp/