家電
2017/1/24 6:00

“コーヒーの味を決める9割”をパナソニックが追求! 2段階のたまらない香りが堪能できる「The Roast」に期待が止まらない!

コーヒーのおいしさを決める要素は、豆選びで7割が決まり、焙煎で2割が決まるといわれています。抽出の技で左右されるのは、実は1割に過ぎないんですね。そして、良い豆を選んだり、豆の特性に最適な微妙な焙煎加減はとても難しく、どちらもプロの技の領域。一般の好事家が焙煎機だけ手に入れても、プロの技には到底及ばず、家庭でおいしいコーヒーにたどり着くことは極めて難しいことでした。

 

豆選びから焙煎までトータルで提供する新サービス

さらに自宅焙煎する消費者がほとんどいないため、生豆の流通は業者や専門店向けがほとんど。1kg未満の単位での小売はあまりなく、気軽に楽しめる環境とは言いがたい状況だっだのです。その事実を覆し、豆選びから焙煎までトータルで提供することで、「家庭で本当においしいコーヒーを実現しよう」というのが、パナソニックの新サービス、「The Roast」です。

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まずはサービスの概要を見ていきましょう。The Roastは、焙煎機だけ販売して「あとはご自由に」というものではなく、専用スペシャルティ豆と焙煎プロファイルを定期頒布するサービスです。サービス開始は4月上旬の予定。焙煎機本体である「スマートコーヒー焙煎機(家庭用)」は、同社のショッピングサイト「Panasonic Store」にて購入できます。本体価格は10万円(税抜)。

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↑「スマートコーヒー焙煎機」の本体は、家庭用のコーヒーロースターを開発するイギリスのIKAWA社と技術提携して開発。同社のサイクロン技術の応用で、雑味の原因となる生豆表面の皮(チャフ)の自動分離を実現しました。●サイズ/質量:W130×D238×H342mm:4.6kg

 

また、本サービスでは、本体と同時にこの焙煎機で焙煎する生豆(なままめ)を、1年間の契約で購入するのがミソ。「生豆パック:3種セット」か「生豆パック:2種セット」のどちらかから選択でき、年間で12回定期的に頒布されます。3種セットが月額5500円、2種セットが月額3800円です。

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生豆のパッケージにはQRコードが印刷されており、スマートフォン(発売当初はiOS端末のみに対応)の無料の専用アプリでQRコードを読み取ると、その生豆に最適な3種類(浅煎り、中煎り、深煎り)のプロファイルが読み込まれます。好みのものを選ぶとBluetoothで焙煎機にプロファイルデータが転送されます。

 

スマートフォンを使うのはここまで。あとは本体に豆を入れ、スイッチを入れて待つだけです。予熱2分、焙煎10分、冷却3分で生豆の焙煎が完了。焙煎の専門知識がなくても、プロが焙煎するのと同じクオリティで焙煎できるというわけです。

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↑本体は、焙煎のプロファイルに合わせて、熱風温度や風量を制御します

 

焙煎の鮮度が保てて香りが2段階で楽しめる!

もうひとつ、本サービスの大きなメリットは、焙煎の鮮度を自在に保てること。豆の鮮度は「収穫からどれだけ経過したか」より、「焙煎してからどれだけ経過したか」の影響を大きく受けます。例えば、コーヒー豆は、焙煎から3日ほどで炭酸ガスが抜けて劣化しはじめ、1か月も経つと脂浮きや油脂の酸化が起きて、おいしさが損なわれてしまうのです。

 

豆の鮮度は、コーヒーを挽いてドリップしたときによくわかります。新鮮な豆はドリップすると粉全体がドーム状にふっくらと膨らみ、コーヒーのうまみと香りを一気に放出します。一方、鮮度の落ちた豆ではこの膨らみが小さく、うまみと香りがしっかり抽出されないのです。

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また、生豆から焙煎して挽くと、フレグランスと呼ばれる新鮮な香りが漂います。コーヒーの香りの6割は挽いたときに出ると言われ、コーヒー好きにはたまらない瞬間です。ドリップ時に漂う香りはアロマと呼ばれ、コーヒーの味わいを引き立てます。自宅で焙煎すれば、このフレグランスとアロマの2段階の香りが堪能できるわけですね。

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↑後藤直紀氏

 

さらに今回、プロの焙煎士として開発に参加した2013年焙煎世界大会のチャンピオン、後藤直紀氏(豆香洞コーヒー)によると、コーヒーの旬が楽しめるのも魅力とのこと。コーヒー豆は日本に輸入されてくるタイミングが豆によって異なり、ブラジルなら春が旬、エチオピアなら冬が旬と、だいたい決まっているそうです。後藤さんは「The Roastで提供する生豆とプロファイルはこうした季節性も考慮しているので、ぜひ“コーヒーの旬の味”も意識して楽しんでください」と語ってくれました。

 

生産者や専門家との緊密な連携がカギ

なお、本サービスは、生産者や専門家との緊密な連携なくしては実現しませんでした。まず、良質な生豆を選別できる生産者として岩光商事と提携。生豆の特性に応じて最適な焙煎をチューニングする焙煎士として先述の後藤直紀氏に協力を仰ぎ、焙煎のソフトウェアの部分をクラウド経由で焙煎機に伝えることで、プロの焙煎の再現に成功したのです。

 

サービス開発の背景には、コーヒー界に「フォースウェーブを起こしたい」とのパナソニックの野望があります。日本では1960年代以前、1990年前後、2000年代以降で大きな波があり、業界ではそれぞれファーストウェーブ、セカンドウェーブ、サードウェーブと呼んでいます。サードウェーブは豆にこだわって自家焙煎を提供する専門店を指す言葉で、一時ブームとなっていたため、聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。そして、自家焙煎を一歩進め、「自宅焙煎」というムーブメントを起こしたいというのが、The Roast投入の背景になっています。果たして狙い通りフォースウェーブは起こるのか? 定かではありませんが、このクオリティならもしや……と大いに期待させてくれる内容でした。

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