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2017/4/5 18:00

「※レイコップ調べ」の意識が激変する実験「イライザ」とは? 韓国の研究施設の中枢に日本メディアで初潜入!

レイコップをはじめとする「ふとんクリーナー」の目的は、ふとんを清潔にすること。とくに、ダニ対策をはじめとする、アレル物質の除去、アレルギー対策を目的にふとんクリーナーを購入する人も多いでしょう。たしかに、レイコップで掃除をすると、掃除したばかりのふとんからも「謎の白い粉ゴミ」がとれます。とはいえ、これで本当にダニ対策はできているのでしょうか?

 

↑2月に発売されたレイコップRX。ダニ対策だけではなく、なんとまくらの加齢臭対策もできるようになりました
↑2月に発売されたレイコップRX。ダニ対策だけではなく、なんとまくらの加齢臭対策もできるようになりました

 

日本メディアとして初めて韓国の研究開発施設を取材!

実は、レイコップの創設者であり、開発者でもあるリ・ソンジン氏は元医師。彼の研究・開発を重視する姿勢を反映してか、社内には「R&D(Reserch and Development)センター」を併設しています。ここには専門の研究者が常駐しており、日々ふとんに付着するダニや菌の観察・研究を重ねています。レイコップの技術の根幹をなす場所であり、ここを見れば自ずと技術レベルもわかるはず。というわけで今回、韓国のR&Dセンターを見学し、レイコップの「ダニ対策」レベルをチェックしてきました。実は、このR&Dセンターを取材するのは、日本メディアとしてGetNavi webが初めてとのこと。実に身が引き締まる思いです!

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↑さまざまな実験専用器具が並ぶR&Dセンター。専門スタッフが日々ダニや菌について実験を行っています
↑さまざまな実験専用器具が並ぶR&Dセンター。専門スタッフが日々ダニや菌について実験を行っています

 

生きたダニを使った実験の結果は?

最初にチェックしたのは「生きたダニ」を布に放し、レイコップで除去できるか確認する実験です。この実験は非常にシンプル。一定の大きさにカットした布に、生きたダニを50匹放してレイコップを1往復させるだけです。ちなみに、研究員がレイコップ使用前に、生きているダニをピンセットの先でつついてくれたところ、布にギュッとしがみつくのが分かりました。かなり活きのよい(?)ダニのようです。

 

ところで、この実験で重要となるのはレイコップを動かす速さ。ゆっくり動かせばその分有利になるため、レイコップを動かす速さは、全部の実験で「1秒20cm」と厳密に決められています。このため、実験エリアは20cmごとに線で分割。実験をする人は、携帯電話で1秒ごとに鳴るリズムを確認しながら、同じ速さでレイコップを動かします。

 

実験の結果、今回残っていたダニの数はなんとほぼゼロ。もちろんR&Dでは、この実験を何度も繰り返しています。幾度にもわたる実験の結果、パワフルモードならふとん表面のダニは95%以上除去できるという結果が実証されたそうです。

↑ふとんを模した実験台。上部に顕微鏡が用意されており、ダニの動きがリアルタイムで分かるようになっています
↑ふとんを模した実験台。上部に顕微鏡が用意されており、ダニの動きがリアルタイムでわかるようになっています

 

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↑R&Dセンターの一角から取り出されてきた「生きたダニ」。一見するとただの汚れのように見えます。ちなみに、ダニを元気なまま保管するのはかなり難しいのだそう。ちなみにR&Dでのダニの保持方法は「機密」だそうです
↑R&Dセンターの一角から取り出されてきた「生きたダニ」。一見するとただの汚れのように見えます。ちなみに、ダニを元気なまま保管するのはかなり難しいのだそう。ちなみにR&Dでのダニの保持方法は「機密」だそうです

 

↑一秒ごとに音が鳴る携帯を片手に、同じ速度でレイコップを動かします。決して電話でおしゃべりしながら実験しているわけではありません
↑一秒ごとに音が鳴る携帯を片手に、同じ速度でレイコップを動かします。決して電話でおしゃべりしながら実験しているわけではありません

 

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↑こちらが実験前の布(上写真)と実験あとの布(下写真)。実験前は布の上をノソノソと歩き回っていたダニが、レイコップ1往復でいなくなりました
↑こちらが実験前の布(上写真)と実験あとの布(下写真)。実験前は布の上をノソノソと歩き回っていたダニ(画面上で赤い粒に見えるもの)が、レイコップ1往復でいなくなりました

 

ダニよりも微細なアレル物質の有無はどうチェックする?

生きているダニが捕獲できることは確認できました。とはいえ、実はアレルギーの元となるのは「生きたダニ」よりも「ダニの死骸」や「ダニのフン」のほうが影響が大きいと言われています。ただし、ダニ本体でさえ顕微鏡がないと目視できない極小サイズ。このため、ダニのフンや死骸の破片は顕微鏡を使っても、数えることはほぼ不可能です。

 

そこで、レイコップで採用しているのが「ELISA(通称イライザ:Enzyme Linked Immuno Solvent Assay)」法と呼ばれる実験です。イライザ法とは酵素の反応を利用して、特定の抗原(アレル物質)を捕捉・検出し、そして抗原量の測定をすることができる実験のこと。こう説明すると少々難解に感じますが、シンプルに言えば、「目に見えないアレル物質の量を数値化する実験」です。

↑イライザ用の実験エリアの一部。遠心分離機や特定の薬剤を洗い流すだけの専用機器、イライザ専用のプレート読み取り機などがズラリと並びます
↑イライザ用の実験エリアの一部。遠心分離機や特定の薬剤を洗い流すだけの専用機器、イライザ専用のプレート読み取り機などがズラリと並びます

 

↑最初に、アレル物質が付着した布を5枚用意します。そのうち、3枚をレイコップで1往復掃除。のこり2枚は「レイコップを使わなかった場合の数値」を見るために、なにもしないで計測器にかけます
↑最初に、アレル物質が付着した布を5枚用意します。そのうち、3枚をレイコップで1往復掃除。のこり2枚は「レイコップを使わなかった場合の数値」を見るために、なにもしないで計測器にかけます

 

↑布をそれぞれ袋に入れて4℃で管理。袋を揉んで「アレル物質が溶け出した溶液」を作るところから実験開始。袋は50分ごとに揉む行為を3回繰り返します
↑布をそれぞれ袋に入れて4℃で管理。袋を揉んで「アレル物質が溶け出した溶液」を作るところから実験開始。袋は50分ごとに揉む行為を3回繰り返します

 

↑さまざまな工程を経ることで、最終的に「96ウェル」と呼ばれるプレートに、目的のアレル物質だけを青く反応させることができました。反応中は青色ですが、反応停止液を入れると黄色に変化します。色の変化は「The 科学実験!」というイメージそのもので見ていてわくわくします
↑さまざまな工程を経ることで、最終的に「96ウェル」と呼ばれるプレートに、目的のアレル物質だけを青く反応させることができました。反応中は青色ですが、反応停止液を入れると黄色に変化します。色の変化は「The 科学実験!」というイメージそのもので見ていてわくわくします

 

さて、気になる実験結果は「レイコップを使わなかった布」の平均値は1207.20。そして「レイコップのパワフルモードで1往復した布」の平均値が4.70。つまり、レイコップを使用した布は、なんと布表面のアレル物質を99.6%除去できているという結果となりました。これはアレルギーに苦しむ人にとって、なかなかうれしい数値ではないでしょうか。

↑最後にイライザ専用のプレート読み取り機にかけて、布に残っていたアレル物質の濃度を数値化します。基本的に色が濃いほどアレル物質が多かったということです
↑最後にイライザ専用のプレート読み取り機にかけて、布に残っていたアレル物質の濃度を数値化します。基本的に色が濃いほどアレル物質が多かったということです

 

枕についたアクネ菌を減らす効果も実証

見学中には、「ダニによるアレル物質の検証」以外にも、面白い実験が行われていました。そのひとつが「アクネ菌」の実験です。アクネ菌といえば、ニキビを引き起こす原因菌のひとつで、顔や頭皮の皮脂などに多く住んでいる常在菌です。このため、アクネ菌は枕に付着しやすい菌でもあります。

 

そこで、レイコップのR&Dではアクネ菌を溶かした溶液を布に均等に滴下し、レイコップのUVランプを使った場合と、使っていない場合の「アクネ菌の量」の差を調査していました。実験ではアクネ菌を同量付着させた2枚の布を使い、片方の布は、レイコップのUVランプを使用して1秒20cmの速度で布を1往復しました。そして、この「UVランプをあてた布」と「なにもしていない布」のアクネ菌をシャーレに伸ばして培養します。

 

培養して2日後のシャーレを確認すると、レイコップを使っていない布のシャーレには、点々と培養されたアクネ菌が発生していました。一方、レイコップを使用したシャーレには、ほとんどなにも発生していません。ちなみに、大腸菌で実験した場合もほぼ同じ結果になっており、ほぼ99%の除菌ができたそうです。

↑アクネ菌を溶かした溶剤を、2枚の布に均等に滴下します。滴下量が同量になるよう、実験用のマルチピポットを使用
↑アクネ菌を溶かした溶剤を、2枚の布に均等に滴下します。滴下量が同量になるよう、実験用のマルチピポットを使用

 

↑2枚の布を溶剤に入れて付着しているアクネ菌を溶かし、この溶剤をシャーレに伸ばします。2枚のシャーレを37℃に設定した培養器に2日間保存すると、レイコップを使わなかった培地にはカビのようなアクネ菌が確認できました(写真左)。一方、レイコップを使った培地(写真右)には菌の繁殖が見られません
↑2枚の布を溶剤に入れて付着しているアクネ菌を溶かし、この溶剤をシャーレに伸ばします。2枚のシャーレを37℃に設定した培養器に2日間保存すると、レイコップを使わなかった培地にはカビのようなアクネ菌が確認できました(写真左)。一方、レイコップを使った培地(写真右)には菌の繁殖が見られません

 

とにかく地道な作業に脱帽!

今回はレイコップのR&Dセンターで行われる実験の一部を見学しましたが、とにかく実験内容の複雑さに驚きました。「ダニの残量比較」や「アレル物質の残量比較」など、記事にするとシンプルな行程ですが、すべての実験にかなりの時間がかかっています。最大の理由は、実験結果の精度と正確性をあげるため。このため、ひとつの動作ごとに、実験器具を捨てたり、消毒したりといった手間が必要なのです。

 

特に、印象的だったのがイライザ法の実験。現地ではひと通りの行程を見学しましたが、とにかく手順が複雑です。まず、布から溶液にアレル物質を溶かし出す作業だけでも3時間近くを必要とします。さらに、溶液からアレル物質以外の不純物を取り除いたり、小さなプレートにアレル物質となるタンパク質を固相化したり、アレル物質の標識となる抗体を反応させたり、必要のない薬剤だけを専用機械で洗浄したり……と、ここでは書き切れない手順が必要。そして、薬剤の反応を待つ時間などを入れると、一回の実験がほぼ一日がかりの作業となります。正確なデータを取るため、これほどの作業を継続して行っているとは……ただただ驚くばかりです。実際のところ、同行した編集者は、実験の一部を見学しただけで、あまりの地道さに失神寸前となっていました。

↑厳密に実験をするため、溶液を入れ替えたり、薬液を入れたりするごとに、ピペット(スポイト)の先にある「チップ」を捨てます。一回のイライザ実験終了後には、写真左に見える赤い袋がチップで満杯になっていました。どれだけ大変な作業だったか、なんとなくイメージできるでしょうか
↑厳密に実験をするため、溶液を入れ替えたり、薬液を入れたりするごとに、ピペット(スポイト)の先にある「チップ」を捨てます。一回のイライザ実験終了後には、写真左に見える赤い袋がチップで満杯になっていました。どれだけ大変な作業だったか、なんとなくイメージできるでしょうか

 

使用する実験用の機械も含め、このイライザ実験にかけるコストを考えただけでも、レイコップのアレルギーの研究に対する本気度がうかがえますね。ダニ、菌などは、我々に重大なアレルギーなどの問題を起こしますが、普段は目で見ることができません。しかし、これらがしっかりした実験によって製品の有効性が確認されている点は、いち消費者として極めて心強く感じました。正直言って、いままではカタログの「※レイコップ調べ」という部分を「話半分」くらいの気持ちで見ていましたが、今回の取材で、その言葉の重みが変わったことは間違いありません。

 

工場と品質管理でもいちいち感心

また、今回は工場と品質管理のエリアも見学させてもらいました。工場はとにかく明るくてキレイ。ラインはひとつの製品だけでなく、すぐに別の製品に対応できる点がよく考えられているな、と感心しました。さらに、いままで問題を起こした部分を「Qポイント」というIDを与えて熟練のスタッフが確認し、再発を防止している点も合理的。また、基本的にラインのグループが固定されていて、それぞれのグループが不良品の少なさを競っている点もユニークです。確かに、競う相手が身近にいるとモチベーションが上がるのは当然のことです。すべてにいちいち感心させられた工場見学でした。

↑工場内の様子。部品の組立てラインを除けば、大きく3つのラインに分かれています
↑工場内の様子。部品の組立てラインを除けば、大きく3つのラインに分かれています

 

次に訪れた品質管理エリアでは、とにかく「管理工程が多いな」と感じました。モーター、電源からコードをはじめ、細かなパーツに至るまでテストされている点に驚かされます。しかも、テスト内容も多岐にわたっていて、コードの場合は引っ張ったときの強度や曲げたときの強度、モーターの場合は耐久テストから耐熱テストなど、様々なテストを行っていました。また、3次元測定器で延々とパーツ精度を確認している人がいた点にもびっくり。品質管理にも十分なコストをかけているな、と感じました。

↑細部のパーツ精度をモニターで確認するスタッフ
↑細部のパーツ精度をモニターで確認するスタッフ

 

↑電源コードの耐久テスト
↑電源コードの耐久テスト

 

↑パーツの耐久テスト
↑パーツの耐久テスト

 

↑モーターの耐熱テスト
↑モーターの耐熱テスト

 

とにかく、今回の韓国取材は驚きの連続でした。特に、同社がどれだけ正確を期してデータ収集を行い、どれだけ品質管理を徹底しているか、肌で感じることができたのは収穫です。特にあのイライザ法……あれほど地道な実験を繰り返している点を見れば、どれだけ真摯に製品と向き合っているか、その姿勢が自ずとわかるというものですね。みなさんも、ふとんクリーナーを選ぶ際は、背景にあるものにも目を向けて、製品を選んでみてはいかがでしょうか。