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2017/4/1 10:00

GWは台北から気軽に行ける台湾のパワースポット「北投温泉」へ行こう!

パワースポットといえば日本各地の名所が有名ですが、もちろん海外にもパワースポットと呼ばれる場所は存在します。ここでは最も身近な旅行先である台湾のパワースポットを編集者の吉田さんが紹介。これを読めば、台湾にこれから行ってみたいという人はもちろん、何度も行っている人も一味違った台湾観光を楽しめること間違いなし。

※本記事は航空会社・バニラエアの機内誌「バニラプレス 2017年4-6月号(創刊号)」に掲載された内容の完全版となります

 

台北駅からMRT(地下鉄)で約30分、新北投駅の改札をくぐればもう硫黄の匂いが漂ってきます。北投温泉は台湾の温泉文化発祥の地。なだらかな坂道に沿って、高級旅館やリゾートホテル、ひなびた公衆浴場が並んでいます。硫黄成分の異なる源泉が3つもあり湯量が豊富、泉質のレベルは間違いなく高いです。しかし今回は特に「パワースポット」としての北投温泉(ぺいとうおんせん)に注目してみます。

 

注目されている健康効果。その源はパワーストーン・北投石

この地では「北投石(ほくとうせき)」というラジウム放射性をもつ独特の鉱石が発見されています。世界でもほかに秋田県・玉川温泉でしか産出しない希少な石。放射能というと物騒なイメージもありますが、温泉にまつわる健康思想では、適量の放射線は身体を活性化させ、抗ガン作用など健康につながるとの考え方もあります。日本やドイツという温泉大国にて多くのラジウム泉・ラドン泉が人気となっているのが、その好例でしょう。

 

北投石とは、いわば天然ラジウム泉の湯の花の結晶、温泉文化におけるパワーストーン。そんな石を産むような湯を噴出する、北投温泉という土地そのものもまた、強力なパワースポットといえます。

 

北投石のパワーをまずは、温泉街の博物館で

では、実際にこの温泉街を散策してみましょう。1894年、ドイツ人のオウリーによる源泉の発見からすぐ、大阪の商人・平田源吾らによって北投温泉街は開発されていきました。20年後にはアジア最大級の公共浴場も建設され、その建物は現在、北投公園内の「温泉博物館」として残されています。

 

和洋折衷の館内にはさまざまな資料が展示されていますが、なによりの目玉は800kgもの巨大北投石。1cmの結晶化に130年もかかるため、北投石は小さな石でも希少で人気が高く、天然記念物に指定されています。秋田県・玉川温泉では盗掘事件が起こったほど。

 

800kgともなると、数億円の価値はあるかもしれません。そのパワーを館内にいる間だけでも感じ取っておきましょう。

 

温泉街の坂道にはさまざまな旅館やホテルが並んでおり、各々の施設によって青硫黄(天然湧泉で強酸性)、白硫黄(火山ガスと地熱による人工温泉で弱酸性)、鉄硫黄(鉄分を含み中性)など、泉質も異なります。

 

石川県・和倉温泉から来た「加賀屋」のような、高級旅館の日帰り入浴を試し、素敵なホスピタリティとともに湯を楽しむのもよいでしょう。しかし、まず、最初に訪れてもらいたいのが、現存する最古の公衆浴場「瀧乃湯」です。

 

歴史ある公衆浴場「瀧乃湯」で、北投石の湯船につかる

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↑北投温泉にある銭湯、瀧乃湯(たきのゆ)。台湾の多くの銭湯は水着が必要ですが、ここは裸で入浴が可能。

 

瀧乃湯(たきのゆ)は、百十年の歴史を持つだけに建物はレトロで情緒たっぷり。ただしそのぶん設備が古びており、脱衣所と浴室が一体なので浴客の目の前で服を脱ぐことになったりもします。泉質も強酸性の青硫黄で44度とかなり熱めで、少しハードルは高いかもしれません。

 

とはいえ常連のオジさんオバさんも外国人観光客に慣れているので、怖がる必要はありません。ゆっくり浴槽に体を入れ、少しだけ熱さを我慢すれば、不思議と肌が馴染んでいきます。ラジウムと青硫黄のハーモニーを心ゆくまで楽しみましょう。といっても効果が強すぎるため、5分以上入ってはいけないらしいのですが……。

 

この瀧乃湯、実は北投石の発見とも強い関係があります。1905年、地質学者・岡本要八郎がこの源泉に入浴後、目の前を流れる川で見つけたのが北投石なんです。そんな場所だけに、浴槽の一部にはなんと北投石が使われているという贅沢さ。玉川温泉では北投石の岩盤浴が行われていますが、この石で作られた湯船に入る体験など、瀧乃湯以外ではとてもできないでしょう。

 

そもそも北投の地は、台湾先住民のケタガラン族が住んでいた土地。彼らも自然湧出する温泉に身を浸し、心身ともにリフレッシュしていたことでしょう。太古からのエネルギーを味わう貴重なパワースポット、それが北投温泉なんです。

 

【文/編集者・吉田悠軌さん……怪談サークル「とうもろこしの会」会長、『怪処』編集長。編著書に『ホラースポット探訪ナビ』(学研)、『恐怖実話 怪の足跡』(竹書房)、『怪談現場 東京23区』(イカロス出版)、共著『考える珍スポット』(文芸社)など。月刊「ムー」(学研プラス)にて、ミステリースポット探訪レポートを連載中)

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