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2017/2/26 22:29

飲みの席で気が利くヤツが出世する! 飲食店経営の酒豪レスラー矢野通が語る「飲み」の流儀

GetNavi web×新日本プロレス コラボ連載

酒好きプロレスラー・矢野通選手がお酒と飲食店経営を語る!

今回の新日本プロレスとのコラボ連載では、矢野通選手にインタビュー。矢野通選手といえば、敵を翻弄する変幻自在のヒールスタイルで熱狂的な支持を集めている選手。お酒好きとしても知られ、「鬼殺し」「裏霞」など、お酒にまつわる技を多数持つことでも知られています。また、東京・水道橋でスポーツバー「EBRIETAS(エーブリエタース)」を営む経営者としての一面も。これだけお酒にまみれた人生を送っているのなら、面白いエピソードも多数あるのは間違いありません。そこで、第1回となる今回は、現在の新日本プロレス所属選手のお酒の飲みっぷり、矢野選手が飲食店を始めたきっかけなどについてうかがってみました!

 

PROFILE

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矢野 通(やの・とおる) 矢野選手のTwitterはコチラ

東京都荒川区出身。新日本プロレス所属。第51代、第59代IWGPヘビー級タッグ王者。新日本プロレスを代表する曲者として知られ、「Y・T・R」「崇高なる大泥棒」「酒飲み日本代表」などのニックネームを持つ。身長186cm、体重115kgの体格を生かした得意技は鬼殺し、裏霞、赤霧、黒霧島、大吟醸など酒に由来するものが多い。お約束のポーズは、自らの頭を両手親指で指す「Y・T・Rポーズ」、両手のひらを見せて肩をすくめる「デニーロポーズ」など。反則技を繰り返すヒールスタイルだが、そのキャラクターが熱狂的なファンに支持されている。自らスポーツバー「EBRIETAS」を経営するなど実業家としても手腕を振るう。

 

【今回訪れたお店】

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EBRIETAS

矢野さんが経営する東京・水道橋のスポーツバー。大型スクリーンが設置され、プロレスをはじめとするスポーツを楽しむにはもってこい。提供する料理は、生ハムとサラミの盛り合わせ(1000円)、おでん盛り合わせ(650円)、肉の塊・牛肉(500g 3200円)など。握手や写真撮影など、矢野選手と交流できるのも魅力です。

住所:東京都千代田区三崎町2-11-12 アイロン三崎町ビル2F

営業時間:19:00 ~ midnight 不定休

 

レスリング部と違い新日本プロレスは意外に普通

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――矢野選手といえば、「酒豪」のイメージを持つ方も多いと思います。やはり、お酒はよく飲まれるんですよね?

 

矢野 毎日飲んでますね。でも特に飲んでいたのは大学時代。当時は1日に2~3升は飲んでました。

 

――矢野選手は日大のレスリング部出身ですよね。

 

矢野 レスリング部は先輩たちに言われたら飲まなきゃいけないみたいなところはあるから。当時は本当にむちゃくちゃなことばっかりやっていました(笑)。

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――そんな飲みまくりの大学時代から、2002年に新日本プロレスに入門して変わりましたか?

 

矢野 いや相変わらずです。入門からいままで、ほぼ毎日飲んでますね。10日にいっぺん休肝日があるぐらいで。

 

――新日本プロレスといえば、昔は選手が酔って暴れたとか、お酒にまつわるとんでもないエピソードがたくさんありますよね。先輩レスラーにもそういった方が多いんですか?

 

矢野 僕も入るまではそう思ってたんです。でも入ってみたらそんなでもなくて。けっこうみんな普通に社会人なんだな、と。

 

――今の新日本ではそんなに酒グセが悪い人はいないんですか?

 

矢野 そうですね。でも酒が強い人は多いです。たとえば昔、タッグを組んでいた飯塚高史は強いですね。昔の人の飲み方っていうか。普通にみんながビールを頼んでるときに、どんどん強い酒を飲んでいくんです。焼酎をロックで飲むんですよね。そのうち、ずっと透明なものを飲んでるなと思ったら、ウォッカに変わっていたとか。そういう飲み方じゃないと、酔わないんだそうです(笑)。でも飲んでるときも、相変わらず何もしゃべらない(笑)。

 

酔うと面白い人は僕と同じユニットCHAOS(ケイオス)の邪道さんですかね。酔っているのがわかりやすくて、この間も2~3段しかないものすごく短い階段で転びそうになってました(笑)。

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↑飯塚高史選手 ©新日本プロレス
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↑邪道選手 ©新日本プロレス

 

酒をリングに持ち込んだら吹っ切れた

――ちなみに、お酒好きなことはプロレスに生かされている部分はあるんでしょうか? 矢野選手は以前、一升瓶を抱えてリングに入場する酒飲みキャラとして活躍されていましたよね。

 

矢野 あれは信念があったわけではなくて。短絡的に「酒が好きだからリング上で酒を飲んじゃえ」と始めてみただけなんです。実際にやってみたら、差し入れでお酒がもらえるし(笑)。あと、いい意味でリラックスできるんですよね。

 

――自分を解放できるというか。

 

矢野 プロレスも一緒で、それまでは「プロレスラーってこうじゃねえかな」という型を自分のなかで設定していたんです。それじゃあ面白くないですよね。でも、酒を飲んで試合に出てみると、「ひとり無礼講」みたいな状態になるんです。あれをやってから、いい意味で吹っ切ることができるようになりましたね。

 

――矢野選手の得意技には「鬼殺し」や「裏霞」など、日本酒の銘柄から名前を取ったものが多いです。

 

矢野 実はそれもまったくこだわりがなくて(笑)。技の名前を考えたときも飲んでいるとき。パッとまわりを見たら酒が並んでいて、使えそうな名前があったから、そのままでいいや、と。それだけの話なんです。

 

「魅せるときに魅せる」はプロレスと一緒

――ちなみに最近は何を飲まれるんですか? やはり日本酒ですか?

 

矢野 いまはビールか焼酎、あとレモンサワーが多いですね。日本酒も飲むんですけど、まわりで飲む人が少ないので、最近はあまり飲まないです。日本酒の勉強はしたいんですけどね。そういえば、CHAOSの選手だとロッキーが日本酒を飲むんですよ。

 

――タッグチーム・ROPPONGI VICE(ロッポンギ・ヴァイス)のロッキー・ロメロ選手ですか?

 

矢野 そう。あの顔で「熱燗…」とか頼んでます(笑)。他の選手はあまり日本酒は飲まないですね。一時期、オカダがハマってましたけど、あいつもそんなに強くないから、いつの間にか頼まなくなりましたね。最近はゆずはちみつサワーとか、カワイイものを頼むんですよ。外道さんは飲めないからジュース、邪道さんはビールとハイボールだけですね。僕はワーって飲むときは2~3本ビールを頼んだら、そのあとはレモンサワーしか頼まない。一気に何杯か頼んでおいて、残り2杯ぐらいになったらまた頼むという形です。

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↑ロッキー・ロメロ選手 ©新日本プロレス

 

――1杯をどれぐらいのペースで飲むんですか?

 

矢野 普通の人が見たら、かなり早いですね。普通の中ジョッキだと、飲み始めたら20秒ぐらいです。

 

――手に持ってから次に置くときには空っぽという……。ちなみに、本気で飲むときはどんなときですか?

 

矢野 地方に行ったとき、「矢野は飲む」というウワサを聞いて、お客さんから「一緒に飲んでみたい」と言われることがあって。そういうときは〝ウワサに違わぬ〟ところを見せています。それを1回やっておくと、「とんでもなく強い」というイメージが定着するわけで(笑)。

 

――そこはやはりプロレスラーとしてのイメージを保つためですか?

 

矢野 いや、酒飲みのイメージを保つためです(笑)。でも、絶対負けたくなワケじゃないんですよ。昔、学生の頃に、六本木のクラブに行ったとき、力士の小錦さんがいたんですよ。そうしたら「そこのあんちゃん、でけえな、来いよ!」とVIPルームに呼ばれて入っていったら、小錦さんはペットボトルのお茶を飲むみたいに、ブランデーをラッパ飲みしていた。さすがに、そこで挑もうとは考えませんでした。本当にスゴイ人を目の当たりにして、「玉砕しよう」とか、「俺のほうが強い」とかいう気持ちはないんです。ただ、一般の人たちには、見せるときは見せないとね(笑)!

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飲みの席で「うまい」と思うのは現チャンピオンのオカダ選手

――上下関係が厳しい世界でお酒を楽しく飲み続けるために、気をつけていることはありますか?

 

矢野 気配りですね。たとえば先輩のお酒を作るタイミングをきっちりとする。それだけで先輩は気持ちいいですから。たとえば、人によって1割残しているところで、「何を飲みますか?」と聞かれたい人と、全部飲んでから聞かれたい人がいますよね。それは見て覚えるようにするとか。

 

――今、新日本プロレスの後輩で、そういった気配りのできる選手はいますか?

 

矢野 オカダ・カズチカはすごいですね。15歳でこの世界に入っているので、相当厳しくされたんじゃないでしょうか。特に、第三者がいる酒の席だと、それがすごくわかるんです。たとえば飲み会だと、オカダはスターなんで、「オカダさん、オカダさん」と注目を浴びる。そういうときも、周囲にはスター性を保ちつつ、こっちにも気を使えるというか。

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↑現IWGPヘビー級チャンピオン、オカダ・カズチカ選手 ©新日本プロレス

 

――具体的にはどういうことでしょうか?

 

矢野 このチャンピオン、ちょっとかわいいところもあるな、という絶妙なところに着地できる。たとえば先輩に「ぜんぜん飲んでないじゃないですか! ドリンク作りましたよ!」と来るから、周りからしたら気を使っているのか、仲が良いだけなのか、よくわからないはずです。その加減がうまいんですよね。

 

――そういうさりげない気使いが、社会では大事だと。

 

矢野 一般のサラリーマンの方々は特にそうだと思うんです。先輩に対して「え~っと~、なに飲みますか?」じゃ、わざとらしくて白けちゃいますから。それを自然にうまくできるやつが社会で成功するんじゃないですかね。プロレスではわからないですけど(笑)。

 

ファンの声が聞けるのが飲食店経営の最大のメリット

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――2012年に、本日の取材場所でもあるここ「EBRIETAS(エーブリエタース)」をオープンされたわけですが、飲食店をやろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

 

矢野 きっかけは……たぶん、嫁さんは読まないからいいか(笑)。結婚しても「付き合いがあるから」って毎日飲んでたんですよ。そしたら嫁さんが、「いい加減にしなさい」と怒り出して。何とか打開策はないか? となったときに、仕事にするというのを思いついたんです。収支がプラスになるのであれば、文句も出ないじゃないですか。あとは引退したら、酒を飲みながら居酒屋でもやりたいなというのを漠然と思っていました。起業している大学の先輩に話したら、「やるなら早い方がいいぞ」と言われたのもきっかけのひとつです。

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――新日本プロレス所属の選手では、他に飲食店を経営している選手はいないんですか?

 

矢野 当時はいなかったです。だけど会社はあっさりOKしてくれました。まあ、僕がうまくいけば、「他の選手がなにかお店をやるときにモデルケースにもなるから」ということは言われましたね。プロレスラーには“引退したあとの生活をどうするか”という問題がありますから。

 

――新日本プロレスの巡業があるときは店を閉めて、東京にいるときだけ開店するというスタイルで営業されていますが、やってみていかがでした?

 

矢野 僕は飲食店でもバイトしたことがないので、いろいろ苦労がありましたね。備品や食材のストックの管理や材料の発注も自分でしなきゃならないから、仕事が多岐にわたるんです。続けてやっているときは大丈夫なんですけど、巡業に出て久しぶりに東京に戻ってきたときはちょっと気持ちの面でキツいときがありますよね。でも、「やっててよかった」と思うことも多くて。

 

――たとえばどんなことですか?

 

矢野 近いところでファンの声が聞けるのがいちばん大きいですね。「あの試合、面白かったです」といった声は、なかなかダイレクトに聞けないじゃないですか。「面白い」という試合が世代や個人によって違うのも興味深い。お客さんも飲んでいて本当の意見を言ってくれるから、上辺のリサーチじゃなく、根っこの部分のリサーチができるんですよね。それはレスラーとして強みだと思ってます。

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その言葉の通り、今回のインタビューの合間にもお客さんとの記念撮影や会話にも気兼ねなく応じていた矢野選手。その姿から、旺盛なサービス精神をうかがい知ることができました。さて、次回からは矢野選手が「自分のお店に置きたい日本酒」を探すべく、10種類の銘柄をグビグビと試飲。へべれけレビューを2回にわたって掲載します!

 

【試合情報】

戦国炎舞 -KIZNA- Presents 旗揚げ記念日
日時:3月6日(月) 17:30開場 19:00開始
会場:東京・大田区総合体育館

 

戦国炎舞-KIZNA- Presents SAKURA GENESIS 2017
日時:4月9日(日) 14:30開場 16:00開始
会場:東京・両国国技館
※最新情報は新日本プロレス オフィシャルサイト

 

撮影/石上 彰