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2017/3/26 17:00

男は「賢者タイム」こそ愛を語るべし――女にとっての本番は男にとっての本番後である

覗けば深い女のトンネルとは? 第16回「女は本番後の態度で愛情を測る」

 

大人の女の間で、密かに口伝されていることがあります。それは「溜まってる男はどんな嘘でもつく」です。

 

嘘をついている気はないのでしょうが、猛烈に口説かれて一夜を過ごしてみたら、その後男性に賢者タイムがやってきて態度が豹変した、みたいなのはよく聞きます。行為を愛の表現だと思っていた女にとっては、これはけっこう痛いです。なので女は、繰り返し繰り返し男性の気持ちを確認したがります。

 

少女マンガはもちろん、エロが目的のティーンズラブコミックスでさえ、ふたりの愛が成就したあと、女は「この人は私に本気なのかしら」とか心配し出します。読んでる方が「うるせえ!」と思うくらいです。それまで単行本何巻もかけてさんざん、男子の求愛がこれでもかこれでもかと描かれてきたにもかかわらず、愛が成就したらしたで、まーたぐだぐだと「私の身体が目当てじゃないのかしら」とか悩み始めるんです。で、まーた男子はこれでもかこれでもかと求愛をさせられるハメになるわけです。人気作品で連載が長引くと、だいたいこのループになります。少年マンガで敵がどんどん強くなるのと同じパターンですね。

 

しかしこれはもう女の本能なのです。女は、自分が孕んで子育てしている間、ほぼ社会的な活動ができません。その間、稼いで餌を運んでくれる男性を選ばないと、生きていけないのです。男性が自分の世話をしてくれるかどうかを測る手段が、自分に対する愛情の深さなのです。まー、もしかして社会保障が充実して、女がひとりで産んで育てられる社会が浸透したら、女はこうした面倒なやり取りを求めなくなるかもしれませんけど(少女マンガに引っ掛けて軽く社会批判)。

 

そう、だから女は、一夜を過ごす前の男性の態度ではなく、終わったあとの態度で自分への愛情を測るんです。平安時代、関係を結んだ女性に男性は「後朝<きぬぎぬ>の文」を送り、結婚するときは連日嫁のところに通ったらしいですね。これはわかりやすいです! 行為前の男はどんな嘘でもつくのだから、女は終わった後にこそ自分に気があるかどうかを聞きたい。遊びじゃない証拠に毎日自分のところに通って欲しい。女がしてほしいことがちゃんと儀式になっています。

 

以前、雑誌で連載していた恋愛心理学の連載が面白かったので、男友達に勧めたことがありました。そうしたら「女性が気に入る言動のあれこれとか、全部覚えてられないよ」と言われてしまいました。

 

いや、おまえは高身長のイケメンで国内トップレベルの技術を持ったスポーツマンだからいいかもしれないけどな! ってか、女が喜ぶ行動なんて、そんな難しくないぞ! 個々のシチュエーションごとに対応しようとするから難しいんであって、根本を理解しちゃえばいいだけの話だ! と叫びました心の中で。現実で彼に叫ぶほど仲良くなかったんで。

 

だけど、平安時代みたいに「終わったら後朝の文を送りましょうね」「三日間は通って餅食いましょうね」と決められていたら、男性は悩まずそれを実行するだけでいいんです。これは楽ですね。

 

ところがですよ、AVや男性向けのエロ媒体では、行為のあとのシーンが描かれていなかったり、女がやけにあっさり去って行ったりするんです。「楽しかったわ、おじさま、じゃ!」みたいな。おいおいおい、なに言ってんだそこの女子。女にとって本番はこれからですけど!!! (で、男性の本心が「後腐れなくやりたい」なんだなと思うと非常に不愉快になるわけですが)

 

ティーンズラブコミックで、行為の終了と共に話が終わるパターンはひとつもありません。いいですか、ひとつもです!! 女にとって大事なのは、その前後。どう心を通わせて2人が結ばれるか、そして結ばれた後にどうなるのか。現実の場合、行為の前の男の言動は信用ならんのだから、男性が賢者タイム以降どう自分を扱うががポイントになってくるんです。ここで手を抜くと、女からの信用を失います。好意のある女性に対しては、男性にはぜひ穏やかな賢者タイムにむち打って、もうひとがんばりしていただきたい。

 

余談ですが、賢者タイムを聖者タイムと言い間違えたことがあります。微妙な違いだけど、聖者だったら女子はみんな幸せですね。