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2017/5/4 16:10

必要なのは策略だ! 近所の騒音トラブルを解決するために「孫子の兵法」を学ぶ

騒音の「隣人トラブル」に悩んでいます。相手は、70代男性のお年寄りです。

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わたしが住んでいる賃貸住宅は、とても壁が薄いので、住人たちはお互いに気をつかって暮らしています。

 

しかし、隣のお年寄りだけは、朝4時から夜に眠るまでのあいだ、大きな声の「ひとりごと」や「長電話」を繰り返して、ほかの部屋の住人に遠慮しようとしません。みんな迷惑しています。

 

ずっとガマンしてきましたが、もう耐えられません。隣りの騒音おじいさんに迷惑であることを自覚させて、安らかな生活を取り戻したいのです。

 

隣人は「筋金入りのクレーマー」

わたしは、隣りに住んでいる騒音おじいさんに対して、まだ一度も抗議行動を起こしていません。

 

なぜなら、騒音おじいさんがクレーマー気質であることを知っているからです。ほぼ毎日、訪問介護の会社や最寄りの小売店に対して、神経質な内容のクレーム電話をかけています。たちの悪い人間には、できることなら関わりたくありません。

 

壁が薄く、おじいさんの声が大きすぎるので、電話内容がはっきり聞こえます。「従業員の態度が悪かった」「安い商品が売り切れていた」などのクレームをしつこく繰り返して、かならず罵声を発してから通話を終えるのです。「誠意をみせろ」「慰謝料を支払え」という声が聞こえたこともあります。

 

隣人トラブルは「戦争」である

隣りに住んでいる騒音おじいさんは「筋金入りのクレーマー」であり、しかも昼間から飲酒していることが多く、まともな受け答えが期待できないため、対応を間違えると「全面戦争」になりかねません。

 

わたしが「静かにしてください」とお願いするだけでは、騒音が改善されないだけでなく、おじいさんに逆恨みされる可能性が高いです。

 

隣人トラブルとは、一種の「戦争」です。戦争をするときには「兵法」が役立ちます。

 

わたしは「カラー版 イチから知りたい!孫子の兵法」(松下喜代子・著/西東社・刊)を参考にして、騒音おじいさんに勝てるかどうかを検討してみました。

 

孫子の兵法とは

孫子は、戦う目的とは、単に勝利することではなく、その結果として「何らかの利益」を得ることだ、という前提のもとにこの兵法を書いている。

(『カラー版 イチから知りたい!孫子の兵法』から引用)

孫子の兵法では「利益が出ない戦いは避けるべき」とされており、「兵法なのに好戦的ではない」と評されます。わたしが期待する利益は「静かな住まいを取り戻すこと」です。

 

勝敗を決めるもの

一つは、勝敗は態勢〈形〉の優劣で決まるということ。
もう一つは、勝敗が分かれるのは、勝つ側に勝因があるからでなく、負ける側に敗因があるからだということ。

(『カラー版 イチから知りたい!孫子の兵法』から引用)

形勢は、わたしの分が悪いです。なぜなら、うるさい隣人を「静かにさせる」ための決め手に欠けるからです。

 

企業による騒音を取り締まる法律はありますが、個人の「ひとりごと」や「長電話」の声がうるさいという理由では、警察も裁判所もまともに取り合ってくれないでしょう。

 

わたしは当分のあいだ「引っ越し」という選択肢を取ることができません。わたしが「引っ越しできない」ことは、騒音おじいさんとの交渉で弱腰にならざるをえず、わたしの敗因になり得ます。

 

もしも、騒音おじいさんに周囲の迷惑を自覚させることに失敗してしまっても、わたしは呪われた場所から逃げることができません。精神をすりへらしながら、隣りに住んでいるおじいさんの騒音に悩まされ続けることになります。

 

敗北しやすい3つのケース

必死は殺さるるべし。
必生は虜わるるべし。
忿速は侮らるるべし。

(『カラー版 イチから知りたい!孫子の兵法』から引用)

必死(ひっし)とは、失敗をおそれないケースです。考えなしの行動は、かならず失敗します。騒音おじいさんは飲酒していることが多いため、まともな理屈が通じるわけがなく、強制力のある法的根拠(もしくは不動産管理会社による警告)を用意しなければ、あのような輩(やから)を黙らせることはできないと思います。

 

必生(ひっせい)とは、現状に執着するケースです。まさに、わたしの「当面のあいだ引っ越しできない」という現状のことです。騒音をやめさせるべく本気で交渉するためには「引っ越しも辞さない」という覚悟が必要です。

 

忿速(ふんそく)とは、感情任せに結果を急ぐケースです。騒音に耐えられないからといって、壁をドンッドンッと叩いたり、相手に向かって怒鳴ったりすれば、隣人との関係はますます泥沼化します。怒りに任せて一度でも「壁ドン」をやってしまうと、交渉のときに「うるさいのはお互いさま」という反論の機会を与えてしまいます。

 

どうやら、孫子の兵法をもってしても、隣人トラブルを解決するのは一筋縄ではいかないようです。本当につらいです。
騒音おじいさんの声を聞きたくないので、休日はなるべく外で過ごすようにしています。自分の住まいなのに、気持ちが休まる暇がありません。

 

なるべく早く「引っ越すしかない」という結論に達しました。

 

(文:忌川タツヤ)

 

【参考書籍】

20170504-i05 (1)

「カラー版 イチから知りたい!孫子の兵法」

著者:松下喜代子
出版社:西東社

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