本・書籍
2017/6/25 13:00

これって死語? その一言からあなたの年齢バレてます!

大人になると、なかなか相手の年齢って聞きにくいものだ。たとえば、子ども同士は同級生でも母親の年齢はかなり幅広く、見た目では判断しかねる。だが、会話に出てくるほんの一言から、同世代なのか年上なのか、はたまた自分よりかなり若いのかが露呈してしまうことがある。

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ソフト麺、知りませんか?

息子の学校の給食試食会でのこと。その日は食パンがメニューのひとつだったのだが、一人の母親が「いまは1枚しか出ないんだね。私の頃は食パン2枚だったよ」と言い出した。すると、もう一人の母親も「確かに! うちも2枚だったわー」と同調。正直、私は枚数なんてまったく記憶にない。
「そうだったかな……ソフト麺ならよく覚えてるんだけど」と言うやいなや、「ソフト麺? いつの時代!(笑)」と別の母親に笑顔で突っ込まれた。
あれ、最近の若い子って、給食にソフト麺出なかったの?(っていうか、「いつの時代!」とか失礼だな!)

 

気になって調べてみると、確かに徐々に消えつつある、いわゆる「昭和の給食」らしい。(地域差が大きく、まったく給食に出なかったエリアもあるらしいが)
なんだか悲しい。ソフト麺は、死語になりつつあるのか!

 

リズミカルで可愛らしい、愛すべき昭和の名言たち

かつてはみんなが使っていた「流行語」も、時代の流れに伴って「死語」になってしまう(いや、死語ってのも、もはや死語なのか!?)。そんな、今では使われなくなった言葉や生活道具、なかなかお目にかかれない光景をまとめた『ニッポン絶滅種辞典』(ニッポン放送・編/学研プラス・刊)には、思わず懐かしくなってしまう言葉たちが満載だ。

 

「余裕のよっちゃん」、「許してちょんまげ!」「冗談はよし子さん」「モチのロン」「ヨッコイショウイチ」「合点承知の助」……どれも軽快なテンポの言葉ばかりで、発するだけで気分が明るくなるから不思議だ。これも昭和という時代を反映しているのだろうか。

 

子どもを取り巻く環境も「絶滅種」が増えてきた?

本書の中には、すっかり見かけなくなった遊びも載っている。たとえば、「あぶりだし」や「おしくらまんじゅう」。「ケイドロ(ドロケイ)」なんてのも、最近はやらないのだろうか。子どもたちが昔ほど外で遊ばなくなった証なのかもしれない。

 

子どもに関する言葉でいえば、「鍵っ子」も近頃は使われなくなった。両親が共働きのため、首から鍵をぶら下げて帰宅していた子どものことを意味するのだが、今や母親が働いている家庭は珍しくない。「子どもが学校から帰るとき、親は家に居るのが普通」であった時代だったからこそ使われた言葉なのであろう。絶滅種は、時代背景をも物語っている。

 

一周まわって「流行語」になることも

お笑い芸人・平野ノラの「OKバブリー!」なネタを見て、子どもたちが携帯を耳にあてながら「しもしもー!」なんて言っているのを見ると、昭和と平成のコラボのような気がしてくる。

 

そういえば、映画『モテキ』の中で、長澤まさみが「ドロンしまーす!」と言ったシーンがかなり話題になった。あれを機に、いわば絶滅種だった「ドロンする」が再び陽の目を浴びた。使う人が使えば、絶滅種が一周まわって再び流行語になることもあるのだ。

 

使い続ければ、絶滅種をも越える!?

かつて働いていた会社の上司で、本書に載っていた絶滅種「バッチグー」ならぬ「グーバッチ」とよく言っている人がいた。そう使っていたのはその上司一人だけで、流行語とか絶滅種とかいうよりも、もはやその人独自の決め台詞として認識されていた。

 

また別の上司は、仕事を任せる際に「よろしくちゃん!」と言い、「お疲れちゃーん!」と言って去っていく。インスタントジョンソンのギャグが流行る以前から使っていたから、これもその上司ならではの決め台詞であったと思う。今でも、思い起こすと愛らしくて懐かしい。たとえ絶滅種となった言葉でも、使い続ければ、独自のアイデンティティとして浸透するかもしれない。

 

ちなみに、あと数年で40代に突入する私はというと、「もう無理!」というときについ「限界ラヴァーズ!」(SHOW-YAの名曲です)と言ってしまう。何かお願いするときに、無駄に「よろしくメカドック!」(アニメのタイトルです)と言ってしまうこともある。書いていてなんだか恥ずかしくなってきたが、使い続けていたら、絶滅種を超越する日が来るだろうか。

 

(文・水谷 花楓)

 

【参考文献】

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ニッポン絶滅種辞典

編集:ニッポン放送

出版社:学研プラス

ニッポン放送の朝番組「高嶋ひでたけのあさラジ!」の人気コーナー「ニッポン絶滅種辞典」が本になった!今では見られなくなってしまった光景、生活道具、暮らしの習慣、使われなくなった言葉など、おかしくて懐かしくて、どこか切ない「絶滅種」を紹介。

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