ライフスタイル
2016/9/24 12:45

リビングを秋色に変える発想の転換とは? スタイリスト窪川勝哉が秘訣を伝授

そろそろ皆さんの住まいにおいても、秋冬のシーズンに備えて模様替えの計画を考えている方も多いのでは? お部屋を大胆にリノベーションしたり、持っている家具を全部買い替えたりはできないけれど、ちょっと工夫するだけでお部屋が驚くほどスタイリッシュになり、居心地よく秋の夜長を過ごせる方法があるんです! そんなコスパもセンスも抜群によい、秋の模様替えテクニックを人気インテリアスタイリストの窪川勝哉さんにアドバイスしていただきましょう。

 

面積の大きなファブリック類を替えてあげると部屋の雰囲気はガラリと変化します

@Living:そろそろ秋に向けて模様替えを考えている読者も多いと思います。手軽にできる秋らしい模様替えのテクニックを教えていただけますか?

 

窪川さん:実は、模様替えを季節に限定してしまうと、テクニックってそんなにないと思うんですね。例えばわかりやすく夏らしい模様替えで考えてみると、寝具を替えたり、麻っぽいラグに替えたりするくらいしかないんです。もしも季節感を感じる家具があったとして、一度部屋に置いてしまったら季節ごとに入れ替えることはできないでしょ。だからぼくは家具はなるべくベーシックで長く使えるものを買って、他の物で部屋のコーディネートを模様替えしていくのがいいと思うんです。

 

@Living:その模様替えコーディネートテクニックって具体的にどんな方法ですか?

 

窪川さん:部屋の雰囲気がすごく変わる効果的なテクニックとして広い面積を替えることをオススメします。今日撮影しているぼくのウチも、床に敷いたカーペットに特徴があるから変わった部屋に見えると思うんです。でもカーペットを全部敷き替えることはなかなかできない。それを簡易的にできるのがラグマットなんですよね。

 

カーテン、ラグ、クッションカバーを替えればリビングは変わります

@Living:他にも広い面積を替えられる場所はありますか?

 

窪川さん:あとは、カーテンもそうだし、ベッドカバーもそうですね。ファブリックは変化率が高くって一番模様替えしやすいところです。

 

@Living:模様替えって、てっきり季節感の強い家具を増やすことなのかと勘違いしていました。

 

窪川さん:家具はスタンダードなものを買っておいて長く使う。そこをファブリックでアレンジしてあげるとどんなスタイルにでもできるからいいと思いますよ。だって夏だからといって夏らしいブルーの椅子に買い替えるかというと、そんな人はあまりいないでしょ。じゃあ夏が終ったらどうするんだよってなっちゃう。

 

でも多分夏っぽい敷物を敷いて、夏が終ったら毛足の長いラグに替えてという人は現実的にいると思う。今日はウチのソファも大き目の布を掛けて、クッションカバーも替えて色的には秋っぽくしているんですけど、夏っぽいスタイリングにもすぐできます。だから効果的な模様替えはファブリックをうまく使いこなして季節感を出すというのが一番いいかな。

 

@Living:どんな色にすると季節感を演出できますか?

 

窪川さん:夏は青空とか、海とかを思わせる涼しげな色だとしたら、秋冬は温もりのある暖色系のアースカラーの優しい色合いが好まれます。

↑右と左の写真で違うのは、ソファに掛けたファブリックとクッションカバーのみ。大物家具はそのままでも模様替えの効果を感じます。光が透過しないシェードの付いたスタンドライトは壁に光を当てて陰影を出すことで部屋をシックな雰囲気に演出しています
↑右と左の写真で違うのは、ソファに掛けたファブリックとクッションカバーのみ。大物家具はそのままでも模様替えの効果を感じます。光が透過しないシェードの付いたスタンドライトは壁に光を当てて陰影を出すことで部屋をシックな雰囲気に演出しています

 

寝室の模様替えはベッドカバーを替えるだけで部屋が完全に変わります

@Living:寝室もファブリックでイメージが変わりますか?

 

窪川さん:ベッドルームの寝具も春夏に使う物と秋冬に使う物は増やしたり減らしたりあると思うので、それに合わせてベッドカバーを替えてみる。ベッドのヘッドボードの色や素材も多少は印象を左右するでしょうけど、ベッドカバーはそれ以上に見えている面積が大きいので部屋の印象を大きく変えることができます。

↑寝室はベッドカバーとクッションカバーを落ち着いた色のファブリックに替えるだけでこんなに秋らしく変化します
↑寝室はベッドカバーとクッションカバーを落ち着いた色のファブリックに替えるだけでこんなに秋らしく変化します

 

@Living:カーテンはあまり掛け替える人はいないと思いますが……。

 

窪川さん:本当は2種類くらい用意して、春夏と秋冬っぽい厚手の物を用意してあげた方いいですよ。部屋の保温効果も高まりますから。あとカーテンは外気を通すフィルターなので、やっぱり年に1回は掛け替えてクリーニングしたほうが部屋の空気がよくなります。同じカーテンをずっと掛けっぱなしだと汚れたフィルターを通して部屋に空気が入ってくることになるからです。

 

そういう意味でもカーテンは洗い替えを用意して掛け替えてあげたほうがいいですね。もし本格的なカーテンは高価でもう一枚には手が出しにくいということでしたら、カーテンクリップというアイテムをオススメします。挟むだけで簡易的にカーテンが付け替えられるので、ちゃんとしたカーテンでなくても、気に入った布を買ってきて吊るだけでも部屋の雰囲気が変えられるので便利です。

↑カーテンの代わりに普通の布地を挟むこともできるカーテンクリップというアイテムは手軽に部屋の雰囲気を変えられて便利
↑カーテンの代わりに普通の布地を挟むこともできるカーテンクリップというアイテムは手軽に部屋の雰囲気を変えられて便利

 

ライティングは模様替えの重要項目。小さな間接照明を1つ足すだけで雰囲気が変わります

 ↑ペンダントライトなどで手元さえしっかり明るく照らしていれば夜間の読書もできる。あえて部屋全体を照らさないことが部屋の表情を変えてくれる
↑ペンダントライトなどで手元さえしっかり明るく照らしていれば夜間の読書もできる。あえて部屋全体を照らさないことが部屋の表情を変えてくれる

 

@Living:「賃貸住宅に住んでいるので釘も打てないので模様替えできません」という人もいる気がしますが何かアドバイスはありますか?

 

窪川さん:それは少し先入観にとらわれ過ぎているのかもしれません。最近では貼ってはがせる糊や壁紙も発売されているので、そういった商品を活用するのも方法の1つです。とにかく日本人は壁の使い方、演出のしかたが下手ですよね。床は家具やラグなどを色々と置いてコーディネートが完成しているけれど、空間は立方体なので1つの床に対して複数の壁があるのですから、壁をデコレーションしてあげないと素敵な空間にはなりません。

 

@Living:壁紙を貼りかえるよりも簡単な方法で壁の演出を変えるテクニックはありますか?

 

窪川さん:壁を飾る方法として「影」で演出するのも手軽なテクニックといえますね。ウチのリビングの壁もスタンドライトで表情を出しているんです。トップライトと合わせて光源が2つになると部屋の表情が変わります。光が交わることで陰影が出てきますから、これから秋の模様替えにはオススメですね。

 

@Living:たしかに間接照明を買い足すだけなら手軽ですね。

 ↑大きなテーブルの上の置いたドライフラワー。ガラス製のケースに入れることで不思議と1段階ゴージャスに見える
↑大きなテーブルの上の置いたドライフラワー。ガラス製のケースに入れることで不思議と1段階ゴージャスに見える

 

窪川さん:秋冬は夜の時間が長くなることもあって、実際にインテリアショップなどでも照明器具が売れるそうです。肌寒くなるとちょっと温かみのあるものが欲しくなるからでしょうね。夏は外で遊んでいた人も、家で過ごすことが多くなるということもありそうです。手軽にという用途にはコードレスのLEDライトなどは色々なところに置けるのでオススメです。テラスに置いていた小さな照明を部屋のテーブルの上だとか、棚の上だとか、コーナーとかに置くだけもすごく雰囲気が変わります。小さなサイズのフラワーベースを置くよりも、同じくらいのサイズのLEDライトを間接照明として足すほうが部屋の模様替えの味付けとしては重要で効果的かもしれませんね。

↑窪川さん愛用のコードレスランプ「ambienTec Xtal ( クリスタル)」。生活防水型なので屋外でも室内でも使用できて場所を選ばず雰囲気も抜群。高さ 82mm×φ80mm、620g、¥19,440(税込)
↑窪川さん愛用のコードレスランプ「ambienTec Xtal ( クリスタル)」。生活防水型なので屋外でも室内でも使用できて場所を選ばず雰囲気も抜群。高さ 82mm×φ80mm、620g、¥19,440(税込)

 

@Living:ファッションのように今年の秋冬シーズンに流行しそうなものはあるんですか?

 

窪川さん:2016年の秋冬の傾向としては素材では真鍮とか銅とかのくすんだゴールドを使った小物が多いです。そういった小物をアクセントにしてみてもいいですね。ただし、インテリアの場合、基本的にメインアイテムはシーズンごとに買い替えられません。そこがファッションとは少し違います。

 

@Living:窪川さんのアドバイスのように好みのファブリックや小物で模様替えができるなら費用対効果も高いですね。

 

窪川さん:そうですね。ファブリック物や間接照明は家具のような大きなプロダクト物よりもそれほど高価格ではないですから、もしもお店で買った後に自分の部屋にコーディネートしてみたときにしっくりこなくても、畳んだりしまっておいたりしていつかまた使えばいいんです。上質な家具ならどんなファブリックや小物とも合います。それはたとえるなら、美味しいお米を炊いたご飯ならどんなおかずとも合うということに似ているかもしれません。

↑秋らしい色の食器をカウンターテーブルに置いたコーディネート。くすんだ金属シェードの小さなランプをアクセントに
↑秋らしい色の食器をカウンターテーブルに置いたコーディネート。くすんだ金属シェードの小さなランプをアクセントに

 

@Living:わかりやすいたとえですね。せっかくですから最後に家具選びについても一言アドバイスをお願いします。

 

窪川さん:そうですね。ソファやベッドのような体に触れる家具は見た目だけで選ばないようにしましょう。ソファはちゃんと座って座り心地を確かめて、ベッドなら横になってどんな風に身体を支えてくれるかを確かめて買うことが絶対大切です。家具はファッション感覚で買うと後悔するので、派手さ、華やかさ、デザイン性だけ選ぶのではなく、基本性能がしっかりしたものを選んだほうが長くつき合えるはずです。

 

 

■秋の模様替えにほしいオススメアイテム

○クッションカバー

☆Zara Home

20160924-a01 (11)

サンゴプリントリネンクッションカバー

― ゴールドサンゴが秋色コーデにピッタリ

100%リネン、400×400mm
¥3,590(税込)

 

20160924-a01 (12)

プリントリネンクッションカバー

― プリティピンクで恋愛運上昇

100%リネン、400×400mm
¥3,590(税込)

 

20160924-a01 (13)

ペイズリープリントベルベットクッションカバー

― ゴージャスな肌触りに癒される

50% リネン 50% ポリエステル、400×400mm
¥3,590(税込)

 

 

○LEDコードレスライト

☆ambienTec

20160924-a01 (14)

Bottled

― 重厚なガラスシェードから、柔らかさと艶やかさを併せ持つ透明感のある光を灯す

シェード:ガラス
ベース:アルミ
高さ250mm×φ100mm、1165g
¥31,320円(税込)

 

☆arktrading

20160924-a01 (15)

Pablo UMA

― Bluetooth搭載で何とスピーカーにもなります

ポリカーボネート(シェード)、スチール(スピーカー)、レザー(ハンドル)、シリコン(すべり止め)

充電時間:約2.5時間、ライト(high)と音(中音)の再生時間:約4時間、
1.3kg、最大190 ルーメン、スピーカー最大出力:12W(1.5W標準)、Bluetooth:Ver. 4.1
¥69,660(税込)

 

20160924-a01 (9)

Lumiosf

― 本を開くと幻想的光を放つLED

ウォルナット、メイプル
165 x 216 x 32 mm、4.4w、0.68 kg、高出力LED、500ルーメン、2700K (暖白色)、リチウムポリマー充電池、約8時間点灯
ともに¥31,968(税込)

 

 

○ラグ

☆Francfranc

20160924-a01 (10)

フロリー ラグ ラウンド

― ラウンド形はフローリング/カーペットともに相性抜群

グレー、ピンク
W1500×D1500mm、表地:アクリル100%、裏面:不織布(滑り止め加工)、洗濯可能。
¥16,200(税込)

 

取材・文=ナナイロ社 撮影=工藤ケイイチ(ブリッジ)

 

【Profile】

窪川 勝哉

インテリア&プロップスタイリスト。インテリアのみならずクラフトから家電までプロダクト全般に造詣が深いインテリアスタイリスト。雑誌やTVなどメディアでのスタイリングだけでなく、ウインドウディスプレイやマンションのモデルルーム、イベントのデコレーションなども手がける。2011年渡英。2013年より再び拠点を ロンドンから東京に移し活躍中。

 

【URL】

http://at-living.press