スポーツ
2017/9/3 21:30

こんなに面白いとは! ヘディングで卓球をするニュースポーツ「ヘディス」がアツい

8月20日日曜日、第1回全日本ヘディス選手権が、東京・西葛西の東京スポーツ・レクリエーション専門学校で開催された。まずは下記の動画をご覧いただこう。同大会決勝の模様だ。

 

これが「ヘディス」というドイツ発祥の新しいスポーツだ。動画を見ていただければ一目瞭然! 卓球台を使って、ヘディングでボールをラリーする。いわば「ヘディング卓球」。誰もがなんとなくイタズラ気分でやったことありそうな遊びを、本当の競技にしてしまった感がある。実際、ルールもほぼ卓球と同じ。卓球台をそのまま使用する(ネットはヘディス専用があればなおよい)。違うのは、ボールは柔らかめのヘディス専用ボールを使用。そして使うのはラケットではなく、文字通り「アタマ」である。

 

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↑大会には元日本代表・秋田豊さんも駆けつけた。ヘディングといえば秋田さんということで、早速ヘディスを体験。サッカー経験者だけに強いかと思いきや、実はそううまくはいかないところがヘディスの面白いところ。実際に秋田さんも練習ラリーで負けてしまうこともあった
↑大会には元日本代表・秋田豊さんも駆けつけた。ヘディングといえば秋田さんということで、早速ヘディスを体験。サッカー経験者だけに強いかと思いきや、実はそううまくはいかないところがヘディスの面白いところ。実際に秋田さんも練習ラリーで負けてしまうこともあった

 

この日は、全国5会場で行われた予選を勝ち抜いた11人の精鋭たちが集結。さらには、当日行われたワイルドカード選手権を勝ち抜いた1人を加え、合計12人で記念すべき第1回日本チャンピオンを目指し、アツい戦いが繰り広げられた。

 

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ヘディスでは、台に乗り出してスマッシュも可能。ゲームが盛り上がりを見せる瞬間だ。ただし、乗り出しっぱなしはNGで、1ラリーごとに台から手を離さなくてはならない。タイミングを見計らって繰り出せば、相手に心理的ダメージも与えられる必殺ショットだ。しかし、カウンターを喰らうと身動き取れずにボールが脇を通過していく。ダメージを倍返しされてしまう危険性もある。

 

全国大会とはいえ、まだまだ日本では始まったばかりのスポーツ。参加者たちのヘディス経験も1、2か月がいいところ。それでも、大会はおおいに盛り上がった。サッカー経験者がある程度は有利かもしれないが、初心者でもコツさえ覚えてしまえば5分もたたないうちにラリーができるようになる。ラケットスポーツよりもはるかに参加障壁は低く、誰もがカンタンに始められるのが、ヘディスなのだ。

 

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こちらはヘディス日本普及ディレクターの中村元樹(げんき)さん。ご存じの方もいるかもしれないが、日本人で初めてアフリカのサッカーリーグで選手としてプレーする現役プロサッカー選手でもある。ということで、中村さんにヘディスをプレーする際のコツについて聞いてみた。

 

「基本的に、おでこでボールを捕らえるということが一番大事です。そのためには、ヒザを使うことです。ボールは平面(おでこの前、額の部分)に当ててしまうと、下に落ちてしまいます。なので、下から上、下から上をイメージしてもらって、ヒザを曲げてボールの下に入ることを意識してもらえれば、簡単にラリーができるようになるでしょう。そこからラリーを続けてもらって、そのうちに低いバウンドのボールも打てるようになってきます。まずはヒザを使う、ステップを使ってボールの下に入ることをイメージしてもらえれば、すぐにヘディスを楽しめるようになるはずです」(中村さん)

 

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なるほど、当初は卓球台が小さいしボールを前に送ろうとしてしまいがちだが、実はボールを上に飛ばすことが必要で、そのためには低い姿勢からボールの下に入り、上に向かって打つというわけだ。

 

「本格的にやり始めると、1試合やっただけでも足がパンパンになります。それだけ足の筋肉を使いますし、打つときに腹筋も使うことになるので、けっこうハードです。とはいえ、動く量はたいして多くなくて単にステップの量ですから、レベルに応じて年齢に関係なく大人も子どもも男性も女性も誰でも楽しめるスポーツなんです」(中村さん)

 

第1回全日本ヘディス選手権に集まった選手たちは、早くもそんなヘディスの魅力にはまった人たちともいえる。

 

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決勝は東海大会の決勝の再現となる、平野伸幸選手(東海第1代表)と十川和也選手(東海第2代表)との東海対決に。

 

ここでもう一度冒頭の動画を見ていただきたい。使っているのはアタマだけだがショットは多彩で、相手をサイドに振ったり、ときには乗り出して打ち込んだりと、攻め方もバラエティに富む。回転サーブが思いのほか変化していることに、驚いた方もいるのではないか。

 

そして、栄誉ある初のヘディス日本チャンピオンに輝いたのは、平野伸幸選手。大会に出ることが決まってから、1人で夜中にサーブを磨いた成果とか。その独特の回転がかかった投げ上げサーブは、相手選手も手を焼いていた。そして、優勝した平野選手は今冬に開催されるドイツでの国際大会に日本代表として参加するという。

 

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予想以上にハイレベルな試合が展開され、さらなるシーンの盛り上がりを期待させた第1回ヘディス選手権。では、ぜひこれからヘディスを「やってみたい」と思った方はどうすればよいのか。いまから始めれば日本代表になれるかもしれない!

 

「ヘディスを導入してくれているお店がお近くにあるかもしれないので、まずはヘディスの公式サイトに来てみてください。なかった場合は、近くに卓球場があればヘディス用の台を入れていただけるようお願いしてみるという手はあると思います。あるいはボールだけでも買っていただいて(※公式サイトから購入で可能)、適切な場所でラリーするのもありです」(中村さん)

 

さすがにまだ本格的にやれるところは東京と大阪の一部にしかないが、卓球台は全国どこにでも用意されているはず。専用のボールさえ入手できれば、すぐにでも始めることはできそうだ。主催者も今後、各所で体験会やこうした大会を通じて、ヘディスの日本での普及を促進していきたいとしている。

 

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10月には東京で体験会も予定しているとのこと。また、高校ヘディス選手権や全日本オープン大会も開催予定というから、ますますヘディスに注目が集まっていきそうだ。詳細については、ヘディスの公式サイトでご確認を。

 

【URL】

ヘディス公式サイト http://headis.jp/