文房具
2017/10/16 16:22

80年代再び。一世を風靡したプチ文具セット「チームデミ」が甦る!?

【きだてたく文房具レビュー】懐かしさと便利さが同居した文房具セット

 

ここしばらく、「80年代(エイティーズ)」がちょっとしたキーワードになっている。ざっくり言えば、団塊ジュニア世代……いま40代半ばの我々が、小中高と多感な時代を過ごした1980年代を懐かしんでいる、というムーブメントだ。

 

例えば’83年に発売されたファミコンだが、昨年には往年の名タイトル30本を内蔵した“ミニファミコン”が発売され、世界的に爆発的大ヒット。つい先月には“ミニスーファミ”が発売されたが、これまた早くも在庫薄で、入手困難となっている。筆者も予約をミスったせいでまだ買えてない。悔しい。

 

これに対して、20代の知人から「単なる熟年ノスタルジーですよね」と言われたが、どうせお前らだって20年後に“ミニプレステ3”とか“ミニWii”とか出たら、現物求めて狂奔するにきまってる。っつか、なんだ熟年ノスタルジーって。椎名林檎の新曲か。

 

80年代と言えば、文房具にも大きなブームがあった。あの当時もっとも人気だった文房具と言えば、間違いなくプラス「チームデミ」だろう。

↑’84年に発売された伝説のチームデミ。今でもたまにネットオークションなどで出回ることはある
↑’84年に発売された伝説のチームデミ。今でもたまにネットオークションなどで出回ることはある

 

ハサミ・カッター・ステープラー・のりなどが専用ケースに入ったセット文具なのだが、文房具ひとつひとつが非常にコンパクト。このちんまりした可愛らしさがまず、OLさんたちにウケ、それが最終的には社会現象かというレベルで広まった(そのせいで、当時はアジア圏で作られた偽物も大量に出回った)。またノベルティとして配られることも多かったので、皆さんの実家にも、どこでもらったか分からないようなチームデミがひと揃い、転がっていたのではないか。

 

で、そのチームデミを懐かしがる世代にグッとくるのが、デザインフィル「XSステーショナリーキット」。専用ケースにぎっちり詰め込まれた、コンパクトでかわいく、かつ使いやすい文房具セットだ。

↑デザインフィル「XSステーショナリーキット」全4色 各3240円
↑デザインフィル「XSステーショナリーキット」全4色 各3240円

 

↑セミハードケースを開けると、小さな文具が密度高く詰まっている
↑セミハードケースを開けると、小さな文具が密度高く詰まっている

 

中身は、ハサミ・ステープラー・修正テープ・テープのり・カッター・メジャーの6アイテム。実はこの6つすべて、「XSステーショナリー」というシリーズで以前より発売されていたのだが、このほどようやく、待望の「専用ケース入りセット」として発売されたというわけである。

↑中身は従来のXSステーショナリーシリーズ。小さくても使いやすさを考えて作られている、優秀なヤツら
↑中身は従来のXSステーショナリーシリーズ。小さくても使いやすさを考えて作られている、優秀なヤツら

 

もちろん、デザインフィルとしては「チームデミっぽくしよう」と考えて作ったわけではなかろうが……たぶんないとは思うけど、手にした我々側としては、メーカーは違えどやっぱり「チームデミ2017だ!」と思ってしまうのだ。

 

だって、丸みを帯びたケースにパッキリとしたカラー。そして中に詰まった小さい文房具。うん、これチームデミだ。いや、チームデミよりさらに小さいから、チームデミデミ(デミはフランス語で“半分”の意味)かもしれない。

↑チームデミ(左)とXSステーショナリーキット(右)。XSのほうがひと回り小さいが、やはり雰囲気は似ている
↑チームデミ(左)とXSステーショナリーキット(右)。XSのほうがひと回り小さいが、やはり雰囲気は似ている

 

XSステーショナリーキットは、ケースの中が文房具の形に仕切られており、それぞれが所定の位置に収まるようになっている。

 

そうだよ、これこれ。やはり文房具セットはこうあって欲しいのだ。チームデミも、ケースの中のウレタンがそれぞれ文房具の形にくり抜かれていたのがいかにも「専用!」という感じでうれしかったのだ。

 

なにより、ケースを開けた時に文房具が所定の場所にキチッと揃って配置されていると、「よし、じゃあ使おうか」という気分にもなるだろう。また、ケースの中に専用置き場があれば、何かをしまい忘れたとしても気づきやすい。小さいツールだけに、道具を紛失する危険性が減らせるというのはありがたい。

↑それぞれ文房具の形に仕切られているので、小さくてとっさに見つからない、なんてことはない
↑それぞれ文房具の形に仕切られているので、小さくてとっさに見つからない、なんてことはない

 

そもそも、ステープラーやメジャーなどをあまり使わない人の場合、いざ必要な場合に「あれどこにしまったっけ?」と探しがち。筆記具よりも利用頻度が落ちるツールは、こうやってセットになっていてくれた方が散逸せずにありがたいし、なによりケース丸ごとでも非常にコンパクトなので、持ち歩きにも便利なのだ。

↑直方体の状態に畳むことで収納性がアップするステープラー
↑直方体の状態に畳むことで収納性がアップするステープラー

 

中の文房具は、小さくても実用性充分。個人的には、打ち出し刃をスライドさせてコンパクトにたためるステープラーと、指でつまめるサイズでも1.5mまで測れるメジャーには長年お世話になっており(彼らはもう20年近くのロングセラーだ)、使いやすさは折り紙付きだ。

 

また、ハサミもコンパクト系の中では刃渡り4㎝と大きめ。ハンドルもがっちりと握れるので、このサイズなのに段ボールだって切ることができる、という優れものである。

↑折り畳み系のハサミとしてはトップクラスの頑丈さ・剪断力
↑折り畳み系のハサミとしてはトップクラスの頑丈さ・剪断力

 

高性能な文房具がぎゅっとコンパクトに詰まって、専用ケースで持ち歩きやすい。チームデミが懐かしいノスタル熟年はもう間違いなく買うとして、特に懐かしさを感じない若人だって、これは買っておいて損はないはずだ。便利だし。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。