文房具
2016/12/5 19:45

シャーペンに求める真の快適さって? 転がらない、太い、挟みやすい……便利な特殊シャーペンたち

つい先日も折れないシャープペンシル「デルガード」の新製品を紹介したばかりだが、とにかく現在のシャーペンシーンは“芯が折れない”というのが主戦場であり最前線。「折れないシャープペンシルでないと売れないんだよねー」と文房具店関係者が言っちゃうぐらいの状況なのだ。

 

しかし、あえていま言っておきたい。「それだけか?」と。シャープペンシルの価値ってそれだけなのか? と。たしかに芯が折れないのは便利だ。書いてる最中に芯がポリッと折れたらそれだけで“ウヘェ”と萎えるし、集中力も切れてしまう。芯が折れないのは明らかに正義だ。

 

でも、ちょっと若かりし時代の記憶を掘り起こしてほしい。自分がいままでの人生で気に入って使ってたシャープペンシルって、どこがお気に入りポイントだった? 例えばクリップが胸ポケットに挟みやすかったとか、ノックの感触が良かったとか、意外とそういうレベルの話じゃないだろうか? ということで、今回はあえて「芯が折れない以外の部分に価値がある」使って便利な特殊シャープペンシルをご紹介したい。

 

独自機構で机から落ちにくいゆらゆらシャープペン

勉強中にふと一息ついて手を休めているとき、うっかりシャープペンシルを机から転がして落としてしまったとかないだろうか? で、落とした衝撃でなかの芯がポキポキに折れてたりすると、またショックが大きい。

 

じゃあ、机の上で転がりにくいシャープペンシルがあればありがたいんじゃないか。そんなものがあるのかというと、ちゃんとあるのだ。トンボの“ゆらゆらシャープペン”こと「ユラシャ」がそれだ。

 

20161205-a05 (1)

トンボ ユラシャ 324円

クリップがついていようが、しょせんシャープペンシルは円筒なので、転がってしまう。転がったら結果として、机から落ちるのは当然である。もちろん転がらない三角柱のシャープペンシルというのも存在するが、自分の持ち方に合わないと握り辛いことから、どうしても人を選ぶ。

 

じゃあ、一見太めの円筒形でよく転がりそうなフォルムのユラシャがなんで転がらないかというと、中に重りが入っているから。ペン軸が偏芯した、おきあがりこぼしのような仕組みになっているのだ。

↑ユラシャの断面図。揺れても元に戻るので転がらない
↑ユラシャの断面図。揺れても元に戻るので転がらない
↑机の端に置いても、ゆらゆら揺れるだけで転がり落ちる心配が少ない
↑机の端に置いても、ゆらゆら揺れるだけで転がり落ちる心配が少ない

 

なので、どれほど転がそうとしても、ゆらゆらと揺れるだけで元に戻ろうとするわけだ。また、この偏芯させるための重りが適度にずっしりしているので、握ったときに手の中での収まりが良いというのもメリットのひとつだ。

 

マークシートに強いシャープペンシルは物理的に折れない

シャープペンシルの芯の太さについては、好みがそれぞれあることだろう。細いのが好きな人には芯径0.2mmという、極細かつ芯が折れないぺんてる「オレンズ」という人気商品があるので、ぜひそちらを使って欲しい。逆に、太いのが好きという人には各メーカーとも0.7mmとか0.9mmといったものをラインナップしているので、探せば好みのものが見つかるだろう。

 

そこで問題となるのは、0.9mmでもまだ足りない人だ。そういう人にオススメなのがコクヨ「鉛筆シャープ1.3mm」である。

 

20161205-a05 (4)

コクヨ 鉛筆シャープ タイプS 1.3mm(※) 324円

太芯はメモを取るなど滑らかな早書きに良いし、考えごとをまとめるための落書きスケッチ的な使い方にマッチする。0.5mmの書き味に慣れていると、1.3mmはヌルヌル、スラスラとした滑らかさが本当に面白い。

※)0.7mm・0.9mタイプもあり

 

↑描線でいうとこれぐらい違う。とにかく太い
↑描線でいうとこれぐらい違う。とにかく太い
↑左が0.5mmで右が1.3mm芯。丸太かというぐらいの太さだ
↑左が0.5mmで右が1.3mm芯。丸太かというぐらいの太さだ

 

この太芯のスラスラ感を味わいたいなら、1.3mmの2B芯がベスト。そして、この組み合わせにB5サイズノートでは狭すぎる。できれば大きめのスケッチブックを使って、手の動くままに自由に書き殴って欲しい。これが、アドレナリンが出るぐらい気持ちいいのだ。

 

また実用面でいうと、1.3mmはマークシートの記入に最適。長方形タイプのマーク欄なら1回シャッと線を引くだけだし、楕円タイプでも塗りつぶしはあっという間だ。芯の太さで単純に考えれば、0.5mmシャープの2.6倍スピーディーに塗れる計算である。

↑楕円形マークシート欄も驚くぐらい早く塗りつぶせる
↑楕円形マークシート欄も驚くぐらい早く塗りつぶせる

 

また、もうひとつ太芯の優位性がある。折れないシャープペンシルを使うまでもなく、芯に物理的に強度があるため折れないのだ。グイグイと荷重をかけてもびくともしない頼もしさも、太芯シャープの醍醐味である。ちなみに、さらに太い1.4mmシャープも海外製品でいくつか存在するが、ベストマッチな2B芯が存在しない。なんともったいないことだろうか。

 

細かすぎて伝わりにくい、最強クリップ搭載シャープペンシル

筆箱に入れずにシャープペンシルを持ち歩く、というシーンはたまにある。そういうとき、ペン軸についてるクリップというのは便利なもの。ジャケットの胸ポケにひっかけたり、バネ内蔵のクリップなら手帳の表紙を挟んで固定するという使い方もある。

 

とはいえ、「使ってみると便利だな」ぐらいで、普段はほとんど気にすることのないクリップだが、そこに特化したシャープペンシルというのも存在する。三菱鉛筆「CLiFTER」は、特殊な“支点スライド式クリップ”を搭載したクリップの存在感が強すぎるシャープペンシルだ。

20161205-a05 (8)

三菱鉛筆 CLiFTER 108円

支点スライド式クリップというのは、挟むものの厚さによってクリップの支点が上下に動くようになっている。サラサクリップなどでお馴染みの板バネ内蔵クリップがさらにパワーアップしたものと考えて欲しい。

 

↑クリップの支点が楕円の穴の中をスライドすることで、より厚いものを挟むことができる
↑クリップの支点が楕円の穴の中をスライドすることで、より厚いものを挟むことができる

 

この支点スライドのおかげで、厚いものを挟んでもクリップの奥までくわえ込むことができるため、挟む力が安定し、高い保持力を発揮できるのだ。

↑厚さ5mmだと、クリップの奥までがっちりと挟める
↑厚さ5mmだと、クリップの奥までがっちりと挟める

 

メーカー公称は「5mm厚のものが奥まで挟める」とあるが、最終的にはその倍の1cmぐらいならなんとか挟み込めるようだ。(板バネに負担がかかるので推奨はしないが……)

↑厚さ1cm強の文庫本でもこのとおり。ペンのクリップとしての実力は現時点で世界最強だろう
↑厚さ1cm強の文庫本でもこのとおり。ペンのクリップとしての実力は現時点で世界最強だろう

 

例えばノートや手帳がカバンの中で開いて困る、という場合などは、このCLiFTERでがっちり挟んでしまうというのもひとつの手だろう。薄いノートでも厚い手帳でも保持力が変わらず安定して挟めるのも、支点スライド式クリップのメリットだ。