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2018/2/16 19:00

【総まとめ】9万円以下で買える「高級コンデジ」7モデルの良い点・惜しい点

昨今、コンパクトカメラ市場では特に小型軽量ながら高画質と高機能を兼ね備えた“高級コンデジ”と呼ばれるモデルが人気を集めています。なかでも9万円以下で購入できる比較的リーズナブルな高級コンパクトカメラを比較する本企画。最終回となる今回はその撮影機能をチェックしながら、各モデルの特徴をまとめてみました。

第1回(概要&基本スペック編):掘り出し物の宝庫!! アンダー9万円の高級コンパクトカメラおすすめ7選

第2回(サイズ感・操作性編):画質は折り紙付き、では使い勝手は? 「実売9万円以下」の高級コンデジ7モデルの「サイズ感」と「操作性」を比較レビュー

第3回(画質編):高級コンデジ自慢の「画質」はホンモノ!? 「実売9万円以下」7モデルで実際に検証してみた

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↑上段左から、パナソニック「LUMIX TX1」、キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」、キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」、パナソニック「LUMIX LX9」、ソニー「Cyber-shot RX100M3」、リコー「GR II」、キヤノン「PowerShot G5 X」

 

【エントリー①】

キヤノン「PowerShot G5 X」

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左右のバランスが取れた一眼風デザインを採用した1型センサー機。レンズは開放値F1.8-2.8の光学4.2倍ズームで、撮像素子には有効2020万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「DIGIC 6」で、感度はISO125~12800に対応しています。実売価格は8万5030円(2018年2月時点)。

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↑天面に露出補正ダイヤル、背面にコントローラーホイールを装備

 

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↑バリアングル液晶を備え、カメラの横/縦位置を問わず自由なアングルで撮影できます

 

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↑前面や背面のダイヤル、ボタン類のカスタマイズができます

 

【連写性能】

1コマ目でピントが固定されるワンショットAF時で約5.9コマ/秒、ピントが連続的に合うサーボAF時で約4.4コマ/秒。最近の1型センサー機に比べて数値的にはやや見劣りしますが、特に遅いというほどではありません。ただし、記録ファイル形式にRAWまたはRAW+JPEGを選んだ場合は、連写速度は大幅に低下します。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は1920×1080/60pのフルHD記録に対応。動画撮影時の5軸手ブレ補正やマニュアル露出、自動水平補正なども可能です。そのほか、カメラ内で自動的に比較明合成が行える「星空」モードや、オートNDフィルター、MFピーキング、最短5cmのマクロモードなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・EVFを搭載しつつ、バリアングル液晶も備えている
・キヤノンの一眼カメラ「EOSシリーズ」用の外部ストロボやリモートスイッチが使える

●ココが惜しい
・撮影可能枚数が約210枚と少ない
・ピクチャースタイルが非搭載

●こんな人にオススメ!
・縦位置でのロー/ハイアングル撮影を多用する人
・外部ストロボを使いたい人

 

 

【エントリー②】

キヤノン「PowerShot G7 X Mark II」

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キヤノンの高級コンパクト「PowerShot G」シリーズの中位に位置する1型センサー機。撮像素子に1.0型有効2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「DIGIC 7」で、感度はISO125~12800に対応。光学4.2倍ズームを継承しながら画質とスピード、機能がさらに向上しています。実売価格は7万8580円(2018年2月時点)。

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↑天面に露出補正ダイヤル、背面にコントローラーホイールを装備

 

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↑液晶モニターを180度回転した状態。上方向だけでなく下方向にも動き、ロー/ハイアングル撮影時に役立ちます

 

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↑レンズ鏡胴部のコントローラーリングや背面のボタンは、割り当てる機能を選択できます

 

【連写性能】

ワンショットAF時で最高約8コマ/秒。ピントが連続的に合うサーボAF時は、最高約5.4コマ/秒となります。JPEG/RAWを問わず、スピーディな連写が楽しめます。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は1920×1080/60pのフルHD記録に対応。静止画をつなぎ合わせて動画に仕上げるタイムラプス動画や、5軸手ブレ補正、動画撮影時のマニュアル露出、自動水平補正なども可能です。

 

そのほか、被写体やカメラの動きを検知して最適なシャッター速度に自動設定できる「流し撮り」モードや、星の光跡が撮れる「星空」モード、オートNDフィルター、MFピーキング、カメラ内RAW現像、最短5cmのマクロモードなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・明るい光学4.2倍ズームと、薄型軽量ボディを両立
・EOSと共通したメニューUIと発色傾向

●ココが惜しい
・EVFは非搭載
・外部ストロボには非対応

●こんな人にオススメ!
・サブカメラとして使いたいEOSユーザー
・薄型ボディでもテレ端(望遠端)100mm相当は欲しい人

 

 

【エントリー③】

キヤノン「PowerShot G9 X Mark II」

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胸ポケットにすっぽり収まる薄型軽量ボディの1型センサー機。撮像素子に1.0型有効2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「DIGIC 7」で、感度はISO125~12800に対応しています。光学3倍ズームや外観デザインを前モデルから受け継ぎつつ、画質や手ブレ補正の性能を高めています。実売価格は5万5610円(2018年2月時点)。

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↑ボタンやダイヤルは最小限で、多くの操作は液晶タッチパネルで行います。慣れるまでやや違和感がありますが、スマホ世代のビギナーには取っ付きやすいかもしれません

 

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↑鏡胴部のコントローラーリングは、割り当て機能のカスタマイズができます

 

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↑今回のモデルのなかでは唯一、Bluetoothを内蔵。スマホやタブレットと常時接続ができ、Wi-Fiにも素早く切り替えられます

 

【連写性能】

ワンショットAF時は最高約8.1コマ/秒、さらにRAW撮影なら最高約8.2コマ/秒の連写が可能。ピントが連続的に合うサーボAF時では最高約5.3コマ/秒となります。JPEG/RAWを問わず、スピーディな連写が楽しめます。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は1920×1080/60pのフルHD記録に対応。静止画をつなぎ合わせて動画に仕上げるタイムラプス動画や、5軸手ブレ補正、動画撮影時のマニュアル露出、自動水平補正なども行えます。

 

そのほか、被写体やカメラの動きを検知して最適なシャッター速度に自動設定できる「流し撮り」モードや、簡単に星の光跡が撮れる「星空」モード、オートNDフィルター、MFピーキング、カメラ内RAW現像、最短5cmのマクロモードなどを搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・圧倒的な薄さと軽さ
・実売5万円台で購入できる価格

●ココが惜しい
・十字キーがなく、タッチパネル主体の操作
・ワイド端は24mmではなく28mm相当

●こんな人にオススメ!
・携帯性を最優先する人
・タッチパネルで操作したい人

 

 

【エントリー④】

ソニー「Cyber-shot RX100M3」

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人気機種「RX100」シリーズの3代目として2014年に発売された1型センサー機。撮像素子に1.0型有効2010万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「BIONZ X」で、感度はISO125~12800に対応。レンズは開放値F1.8-2.8の光学2.9倍ズームを装備します。実売価格は7万7330円(2018年2月時点)。

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↑天面にモードダイヤル、背面にコントローラーホイールなどを装備

 

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↑ポップアップ式の有機ELビューファインダーを搭載。側面のスイッチを押すと上にはね上がり、さらに接眼部をつまんで少し引き出して使用します

 

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↑同社製品でおなじみの「PlayMemories Camera Apps」を搭載。同社サイトにアクセスし、さまざまな機能を追加できます

 

【連写性能】

ピントと露出が1コマめで固定される速度優先連続撮影モード時で最高約10コマ/秒。通常の連写モードの場合は約2.9コマ/秒となります。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は最高で1920×1080/60pのフルHD記録に対応。電子補正を併用した強力な動画手ブレ補正「インテリジェントアクティブモード」や、XAVC S形式とMP4形式の同時記録、120pのハイフレームHD撮影、全画素超解像ズームなども利用できます。

 

そのほか、光量を抑えて明るい屋外でも開放絞りでの撮影を可能にするオートNDフィルターや、自分撮りセルフタイマー、スイングパノラマ、ステップズーム、瞳AF、最短5cmのマクロなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・小型のEVFと上下に動くチルト液晶を両立
・軽量ながら24mmスタートの明るいレンズを搭載

●ココが惜しい
・タッチパネルは非搭載
・テレ端70mm相当はもの足りない

●こんな人にオススメ!
・薄型軽量ボディでもEVFが欠かせない人
・アプリを入れて機能拡張を楽しみたい人

 

 

【エントリー⑤】

パナソニック「LUMIX LX9」

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明るいレンズを搭載した高級コンパクト「LUMIX LX」シリーズの新モデルとして2016年に発売。レンズには開放値F1.4-2.8の光学3倍ズームを、撮像素子に1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「ヴィーナスエンジン」で、感度はISO125~12800に対応します。実売価格は8万2480円(2018年2月現在)。

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↑天面にモードダイヤルや動画ボタン、後ダイヤルを搭載

 

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↑鏡胴部には絞りリングを備え、絞り値をダイレクトに調整できます

 

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↑30コマ/秒の高速連写に相当する4Kフォト機能を搭載。被写体の動きに応じて、3種類の4Kフォトモードが選べます

 

【連写性能】

1コマめでピントが固定されるAFSモード時で最高約10コマ/秒、ピントを合わせ続けるAFCモード時で最高約6コマ/秒に対応。電子シャッター使用時は、約50コマ/秒の超高速連写が使用できます。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は最高で3840×2160/30pの4K記録に対応。カメラを動かさずに映像に動きを与える「4Kライブクロップ」や、フルHDでのスローモーション撮影、5軸ハイブリッド手ブレ補正などの機能も利用できます。

 

そのほか、AF測距点を自由に設定できるカスタムマルチAFや、星空AF、顔・瞳認識AF、最高1/16000秒の電子シャッター、最短3cmのマクロなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・ワイド端F1.4を誇るレンズ開放値の明るさ
・薄型軽量ながら4K動画に対応

●ココが惜しい
・EVFは非搭載
・テレ端72mm相当はもの足りない

●こんな人にオススメ!
・レンズの明るさを重視する人
・4K動画が撮れるチルト液晶搭載機を求める人

 

 

【エントリー⑥】

パナソニック「LUMIX TX1」

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高倍率コンパクト「LUMIX TZ」シリーズと同等の薄型軽量を維持しながら、センサーの大型化を図った「LUMIX TX」シリーズの第1弾。撮像素子に1.0型有効2010万画素MOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「ヴィーナスエンジン」で、感度はISO125~12800に対応します。レンズは光学10倍ズームを装備。実売価格は6万6560円(2018年2月現在)。

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↑天面にモードダイヤルや動画ボタン、後ダイヤルを搭載

 

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↑背面の左上に0.2型のライブビューファインダーを装備。アイセンサーによって液晶モニターとの自動切り替えができます

 

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↑本体に4か所、タッチ画面上に5か所のファンクションボタンを搭載。好きな機能を割り当てられます

 

【連写性能】

連写性能はLUMIX LX9とほぼ同等で、1コマめでピントが固定されるAFSモード時で最高約10コマ/秒、ピントを合わせ続けるAFCモード時で最高約6コマ/秒に対応。電子シャッター使用時に約50コマ/秒の超高速連写が使用できる点も同様です。

 

【動画/そのほかの機能】

動画は最高で3840×2160/30pの4K記録に対応。4Kで撮影しながらフルHD動画に切り出し、パンやズームイン/アウトの効果を加える「4Kライブクロップ」や、フルHDでのスローモーション撮影、5軸ハイブリッド手ブレ補正などの機能も利用できます。

 

そのほか、EVF使用時に液晶をなぞって測距点を動かすタッチパッドAFや、カスタムマルチAF、星空AF、顔・瞳認識AF、最高1/16000秒の電子シャッター、最短5cmのマクロなどの機能を搭載しています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・テレ端250mm相当になる光学10倍ズーム
・高倍率ズーム+EVF搭載ながら小型軽量ボディ

●ココが惜しい
・液晶モニターは固定式
・視度調整ダイヤルが不用意に動きやすい

●こんな人にオススメ!
・広角だけでなく望遠でも撮影したい人
・4K動画が撮れるEVF搭載機を求める人

 

 

【エントリー⑦】

リコー「GR II」

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28mm相当の単焦点レンズを搭載したAPS-Cセンサー機。撮像素子にAPS-Cサイズの有効1620万画素CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは「GR ENGINE V」で、感度はISO100~25600に対応。レンズやセンサー、薄型ボディを前モデルから継承しつつ、Wi-Fiの内蔵など撮影機能の強化を図っています。実売価格は7万3800円(2018年2月時点)。

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↑背面には、各種機能を呼び出すためのADJ.レバーや、AFファンクション切り替えレバーを搭載

 

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↑フルプレススナップの設定画面。ピント位置を事前に設定した「スナップ時フォーカス距離」に瞬時にセットできます

 

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↑マイセッティング登録機能では、カメラの各種設定の状態を登録し、必要に応じて素早く呼び出せます。マイセッティングに名前を付けたり、SDカードに書き出したりもできます

 

【連写性能】

連写は約4コマ/秒に対応。JPEGで999コマまで、RAWで10コマまで続けて撮影できます。今回取り上げた他機に比べてやや弱いという印象はぬぐえません。

 

【動画/そのほかの機能】

動画については最高で1920×1080/30pのフルHD記録に対応。連写や動画のスペックは他機に比べて少々見劣りしますが、そもそも「GR」シリーズでは連写や動画の機能はあまり重視されていません。

 

それよりも、薄型ボディと単焦点レンズを生かして軽やかにスナップ写真を撮るための機能が充実しています。例えば、フルプレススナップ機能では、シャッターボタンを一気に押し込むと、AF作動がキャンセルされ、事前に設定した距離で素早く撮影ができます。また自分の撮影スタイルに応じて、ボタンやダイヤルの割り当て機能を細かくカスタマイズすることも可能です。

 

そのほか、カメラ内で比較明合成ができるインターバル合成機能や、最大5枚の画像を重ねて記録する多重露光、最短10cmのマクロ、オプションの外部ストロボによるワイヤレス発光などの機能を備えています。

 

【まとめ】

●ココがうれしい
・APS-Cセンサー&単焦点レンズが生み出す高画質
・外部ストロボや外部ファインダー、ワイコンなどに対応

●ココが惜しい
・手ブレ補正は非搭載
・暗所ではAFが合いにくい

●こんな人にオススメ!
・単焦点レンズによるストリートスナップを楽しみたい人
・四隅までのシャープでクリアな描写を求める人