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2018/6/27 20:00

キヤノン最高峰の中望遠単焦点!! 「EF 85mm F1.4L IS USM」実写レビュー

F値の調整でさまざまなシーンに対応

ここからは、実写チェックを見ていこう。

 

まずは、F1.4の開放から1段刻みでF2.8まで撮影し、その背景ボケの違いをチェックしてみた。当然、最も明るいF1.4がいちばん大きくボケるので、被写体(手前のバラ)の近くにある花や葉もボケが大きくて被写体が目立つ。だが、開放付近だと「口径食(※)」の影響によって、画面周辺近くの遠方の木漏れ日が、円形ではなくレモン型に変形している。1段絞ったF2だと、変形の度合いはいくぶん弱まる。2段絞ったF2.8だと、画面周辺の木漏れ日も、かなり円形に近づいている。

※口径食:レンズに対して斜めに入射した光の一部が鏡筒やレンズの縁で遮られて、周辺部の光量が減少する現象

F1.4

 

F2

 

F2.8/共通データ:キヤノン EOS 5D MarkⅣ EF 85mm F1.4L IS USM 絞り優先オート WB:晴天 ISO100

 

F値の違いによる描写がわかったところで、次はそれぞれのF値をどんな場面で使うのか、具体的に紹介しよう。

 

≪F1.4(開放)≫最大のボケ効果を得る

木陰の手前に咲いていたアジサイ。背景が薄暗いぶん、花の形や色彩が際立って見えた。木漏れ日や点光源がない背景なので、口径食による不自然な描写は気にしなくてよさそう。そこで、F1.4の開放に設定して、最大のボケ効果を得ることにした。

キヤノン EOS 5D MarkⅣ EF 85mm F1.4L IS USM 絞り優先オート F1.4 1/1250秒 -0.7補正 WB:オート ISO100

 

≪F2≫背後の点光源を自然な形にぼかす

温室内に吊り下げられたベゴニアの花を、背景を大きくぼかして存在感を高めたい。だが、背景にはいくつかの光源(照明)が入るので、絞り開放(F1.4)だと口径食による“光源ボケの変形”が懸念される。だから、ボケ効果の大きさと変形の緩和のバランスを取って、1段だけ絞ったF2で撮影した。絞り羽根(重ね合わせ)の角が目立たない円形絞りを採用しているので、光源ボケの形(輪郭)も自然である。

キヤノン EOS 5D MarkⅣ EF 85mm F1.4L IS USM 絞り優先オート F2 1/320秒 WB:晴天 ISO100

 

≪F2.8≫近距離での不自然なボケを避ける 

ミントの群生を撮影中、1匹のアブの姿が目に留まった。そこで、そのアブにポイントを置いて、最短撮影距離付近で狙うことにした。近距離の撮影では、被写界深度(ピントが合っているように見える、ピント位置前後の範囲)が浅くなるので、わずかなピント位置のズレでピンボケになったり、奥行きのある物の一部分しかシャープに描写されなかったりすることがある。そこで、F2.8まで絞って不自然なピンボケを防ぎつつ、適度なボケ効果を得た。

キヤノン EOS 5D MarkⅣ EF 85mm F1.4L IS USM 絞り優先オート F2.8 1/2500秒 WB:晴天 ISO100

 

↑「EF 85mm F1.4L IS USM」の最短撮影距離は0.85m。85mmの中望遠レンズとしては一般的な値だが、F1.4の開放で撮影する際には、被写界深度の浅さによるピンボケや不自然なボケ具合に注意したい

 

≪F8≫奥行きのある風景をハッキリと描写

開放F1.4の大口径単焦点レンズだと、開放やその付近の絞り値で撮影することが多くなるだろう。しかし、遠方を狙った風景撮影などでは、適度に絞り込んで撮影したい(ここではF8に設定)。それによって、少し手前から遠方までシャープな“肉眼の印象に近い描写”を得ることができる。もちろん、Lレンズなので画質的にもハイレベルである。

キヤノン EOS 5D MarkⅣ EF 85mm F1.4L IS USM 絞り優先オート F8 1/160秒 -0.3補正 WB:晴天 ISO100
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