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カメラ
2018/11/6 21:10

【撮影旅】これぞ一眼カメラの醍醐味! パナのミラーレス&交換レンズを駆使して青梅線沿線を撮り歩く旅

“旅”と“写真撮影”は切っても切れない関係にある。

 

だが、旅と撮影のどちらにウエイトを置くかによって、選択すべき使用機材(カメラや交換レンズなど)は変わってくる。旅を満喫することに主眼を置くなら、楽に携行できる小型軽量タイプのカメラが良いだろう。必然、交換レンズの数も最小限に抑えたい(1、2本)。しかし、絶好の被写体や風景を求めて旅をするなら、できるだけ高性能なカメラボディや交換レンズを選びたくなる。

 

今回はJR東日本の青梅線沿線を訪れる。そして“高性能で本格的な機材”を選んで、沿線の豊かな自然美を存分に撮影したい。

 

【今回の旅の相棒】

パナソニック
LUMIX G9 PRO(20万4400円/ボディ)ほか、交換レンズ3本

 

撮影旅の必要装備とその理由

青梅線は、東京都の立川市から奥多摩町まで続く鉄道路線である。始発駅の立川から東青梅くらいまでは、遠くに山並は見えても、沿線は街中の様相を呈している。しかし、次の青梅になると山並は一気に近くになり、一気にローカルな雰囲気が漂うようになる。

 

今回旅の相棒に選んだカメラは、パナソニックのミラーレス一眼「LUMIX G9 PRO」。優れたAFや高速連写機能を搭載し、進化したボディ内手ブレ補正機能も搭載する、LUMIX Gシリーズのハイエンドモデルである。

 

そして、あわせる交換レンズは、高品位な作りで仕様や性能もハイレベルな「LEICA DG VARIO-ELMARIT」銘柄から、広角ズーム8-18mm、標準ズーム12-60mm、望遠ズーム50-200mmの3本を選択。この3本のズームレンズで、35mm判換算で16mm相当の超広角から400mm相当の超望遠域まで切れ目なくカバーできる。また、3本とも「防塵・防滴仕様」になっている点も心強い。

 

このように、今回はボディも交換レンズもハイスペックな製品を選んだ。しかし、マイクロフォーサーズ規格の製品なので、よりセンサーサイズの大きい35mm判フルサイズやAPS-Cサイズの製品と比べると、かなりコンパクトで軽量なシステムを組むことができる。

 

そのほか、下記の機材を用意した。

<テレコンバーター>

LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.に対応する、1.4xテレコンバーター「DMW-TC14」(実売価格5万290円)。全長約22mm・質量約120gのコンパクトなレンズアクセサリーで、防塵防滴の仕様になっている。これを装着することで「560mm相当」の超望遠域までカバーできる。

 

<フラッシュライト>

LEDライト搭載フラッシュライト「DMW-FL200L(GN20)」(実売価格2万3230円)。高さを抑えたコンパクト設計ながら、垂直方向90度までのバウンス機能を搭載する。携行性に優れるので、旅のお供に最適。

 

<三脚>

今回の撮影旅は、基本的に“手持ち撮影”を想定。だが、もしかしたら、低速シャッターを使った撮影もあるかも……ということで、中型のカメラバッグやザックに装着できる、脚部反転収納式のコンパクトな三脚(ベルボンのウルトレックシリーズ)も持参した。

 

<モバイルバッテリー>

旅の撮影で心配なのは、カメラのトラブル……よりも“バッテリー切れ”である。予備のバッテリーを用意するのがベストだが、LUMIX G9 PROは、スマホなどで利用されるモバイルバッテリーからのUSB給電が可能(カメラ付属のUSBケーブルを利用)。これは心強い仕様である。今回はアンカーの「PowerCore 10000」(実売価格2799円)を持参

標準ズームで街並みや鉄道をスナップ!

立川駅から青梅線の電車に乗り、まず最初に降り立ったのは「青梅駅」。この青梅の街には、往年の名作映画の看板が数多く掲げられていて“昭和レトロ”の雰囲気が満喫できる。

※【2018年11月8日編集部追記】2018年10月、老朽化などの理由により、映画看板は一部を除いて撤去されました。本記事に掲載されている写真は2018年9月に撮影したものです

 

ということで、このあとの奥多摩の自然撮影の前に、まずは街スナップを楽しんでみたい。なお、この街スナップでは、主に標準ズームの「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」(実売価格9万7810円)を使用した。

↑広角24mm相当から望遠120mm相当までカバーする、高倍率で汎用性の高い標準ズーム「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」。ボディ側とレンズ側の手ブレ補正を連動させて高い手ブレ補正効果が得られる「Dual I.S.2」に対応

 

昭和レトロな街並みは、そのまま普通に撮影しても絵になるが、好みの色調や画質(コントラストや彩度など)が設定できる「仕上がり設定(パナソニック LUMIXだとフォトスタイル)」などを調整することで、よりレトロな雰囲気にできるだろう。

 

次の写真では、往年の白黒写真をイメージして、ハイコントラストでダイナミックなモノクロ描写が得られる「L.モノクロームD」の設定を使用した。

パナソニック LUMIX G9 PRO LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.(14mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/60秒 ISO320

 

続いては、温かみのある色調にするため、まずホワイトバランスを「日陰」に設定。そのうえで、レトロな雰囲気が得られるフォトスタイルを探る。いろいろ見比べた結果「シネライクV」が良い雰囲気。さらに、色褪せた感じに仕上げるため、彩度を「-5」に調整した。

パナソニック LUMIX G9 PRO LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.(60mmで撮影) 絞り優先オート F4 1/320秒 WB:日陰 ISO200

 

↑こちらが調整前(ホワイトバランス「オート」、フォトスタイル「スタンダード」で撮影)。悪くはないが、まあ、ごく普通の“無難な仕上がり”である

 

そして、青梅の街並みを散策したあとは、再び青梅線の奥多摩行きに乗車した。

 

青梅駅を出発し、奥多摩方面へ移動中。車窓から見える“流れる周囲の木々”を低速シャッターで撮影し、列車の疾走感を表現した。

パナソニック LUMIX G9 PRO LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.(12mmで撮影) シャッター優先オート F8 1/8秒 WB:オート ISO200

 

そうこうしているうちに、電車は目的の沢井駅に到着。ホームに降り立ち、標準ズームの広角域で、木製の案内板と乗ってきた列車を写し込んだ。

パナソニック LUMIX G9 PRO LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.(12mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/60秒 WB:オート ISO200

 

沢井駅から多摩川沿いに出て、吊り橋を渡って対岸の寒山寺へ。そこから、いま渡ってきた吊り橋の「楓橋」を入れながら渓谷風景を撮影する。

パナソニック LUMIX G9 PRO LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.(12mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/60秒 -0.3補正 WB:オート ISO320

望遠ズームで遠景近景の自然美をクローズアップ!

続いて、多摩川沿いに続く御岳渓谷遊歩道を歩きながら「沢井~御岳」間の、自然豊かな渓谷風景をじっくりと撮影する。

 

遊歩道は川の両側にあって、沢井~御岳間には3本の小さな橋が架けられている。周囲の景観に応じてその橋を渡り、遊歩道周辺の植物や、対岸の渓谷風景を的確に切り取ってみたい。

 

そして、対岸の渓谷風景や渓流の一部分を切り取るには、中望遠から超望遠域までカバーできる望遠ズーム「LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」(実売価格19万710円)が威力を発揮する。

↑400mm相当の超望遠域までカバーする、小型軽量設計で機動性の高い望遠ズーム「LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」。望遠域でも十分な手ブレ補正効果が得られる「Dual I.S.2」に対応

 

通常、400mm相当の超望遠域ともなると、三脚を使用しないと構図の安定が保ちにくいし、不用意なカメラブレも発生しやすくなる。だが、この高性能な望遠ズームは、LUMIX G9 PROボディとレンズの手ブレ補正を連動させる「Dual I.S.2」に対応。だから、望遠域でも十分な手ブレ補正効果が得られる。そのため、三脚を使用しなくても、快適かつ高画質な“望遠~超望遠撮影”が可能なのだ。

 

また、この50-200mm望遠ズームは、ズーム全域で0.75mまで接近でき最大撮影倍率も「0.5倍相当」と非常に高い。それを生かし、遊歩道の近くに咲いていたヒガンバナを少し離れた位置から望遠端の画角で切り取る。ピント位置に迷う被写体&切り取り方だが、ここでは画面内で目立つシベの先端部にピントを合わせた。周囲の木々による暗めの背景で、花の色鮮やかさやフォルムが強調される印象的な1枚に仕上がった。

パナソニック LUMIX G9 PRO LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.(200mmで撮影) 絞り優先オート F4 1/40秒 +0.7補正 WB:晴天 ISO800

 

↑同じシーンで100mm相当の中望遠域を使ってごく普通にヒガンバナを撮影したもの。花の特徴はよくわかるし、周囲の状況や雰囲気も悪くない。だが、作品としてのインパクトや印象は弱い

 

続いて、沢井~御岳間の3つの小さな橋のなかで、いちばん御岳駅に近い「御岳小橋」の上から、渓流のなかの岩場を切り取る。だが、普通に撮影すると平凡な描写になりがちだ。そこで、低速シャッターで川の流れや波頭を大きくぶらして、岩場の存在感と流れの動感を表現してみた。

パナソニック LUMIX DC-G9 LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.(70mmで撮影) シャッター優先オート F13 1/8秒 -0.3補正 WB:晴天 ISO200

 

この御岳小橋は“吊り橋”なので、橋の上にいると足場が微妙に揺れているのがわかる。そのため、低速シャッターで撮影する際には、(極端な低速でない限り)三脚を使用するよりも、LUMIX G9 PROの強力な手ブレ補正機能を利用したほうがシャープに写せる可能性が高い。

広角ズームで目の前の光景をダイナミックに描写!

先ほど紹介した標準ズームの「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」も、24mm相当の広角域まではカバーしている。だが、これは一般的な広角なので、渓谷風景の奥行きを強調したり、吊り橋などをダイナミックに写すには、物足りなさを感じることも多い。やはり、超広角域をカバーする広角ズームが欲しくなる。

 

今回選んだ広角ズームの「LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.」(実売価格12万2020円)なら、広大な範囲が写し込めて、一般の広角とは違う遠近感の強調も期待できる。今回の旅では、広がりのある渓谷風景を写す際に、画面の手前から奥に川の流れを入れて遠近感を強調したり、近くの被写体に肉薄してダイナミックに見せたり、といったアプローチを試みてみたい。

↑16mm相当の超広角から36mm相当の広角域までカバーする、ズーム全域で優れた描写特性を実現した広角ズーム「LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.」。ダイナミックな遠近描写も自然な描写も得られる汎用性の高さや、レンズ前面にフィルターが装着できる構造などが魅力

 

渓谷遊歩道のすぐ脇に、滝……とまでは呼べない小さな水の流れを発見。被写体としては地味で目立たないものだが、流れの周囲に広がる苔むした岩肌が良い雰囲気だった。そこで、広角ズームの広角端を使って、小さな流れに接近しながら大きく見上げる。この大胆な間合いとアングル変化によって、水の流れを強調すると同時に、高い滝を見上げるような感覚を得ることができた。

パナソニック LUMIX DC-G9 LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.(8mmで撮影) シャッター優先オート F6.3 1/2秒 -0.7補正 WB:曇り ISO200

 

↑こちらは上の写真を撮影した状況写真。実際はこのように山肌の隙間をチョロチョロと流れ落ちる小さな水流だったのだが、上の写真では広角ズームの“遠近強調マジック”で、斬新な視覚効果を追求している

 

今回の撮影旅の終着点となる御岳駅。その駅に到着したときには、辺りはだいぶ暗くなっていた。しかし、その薄暗さによって、駅舎入口の照明の明るさや色味が美しく感じられる。そんな夕暮れ時の駅舎を、超広角の画角で真正面から切り取った。

パナソニック LUMIX G9 PRO LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.(11mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 0.3秒 WB:オート ISO800

 

軽量・スリムなコンパクトデジカメを使った旅も身軽でいいが、今回のように状況にあわせて交換レンズを駆使して撮影するのもまた、趣味としてのカメラの醍醐味。ぜひ自身の撮影スタイルにあったカメラと装備で撮影旅にでかけてみてはいかがだろう。