AV
オーディオ
2019/6/20 18:00

ハイレゾ入門プレーヤーとして実に万能! マランツ「M-CR612」でスピーカー接続の違いを聴く

これ1台でハイレゾ&ストリーミング生活がスタート!

ハイレゾ音源を聞くためにはPCにDAC+プリメインアンプ、そしてスピーカーが必要になります。前半部分を1つにまとめてくれるのが、マランツのネットワークCDレシーバー「M-CR612」です。本記事では、こちらの実力を掘り下げていきましょう。

↑M-CR612。カラーはシルバーゴールドとブラックの2色を用意し、価格は7万円(税抜)

 

「M-CR612」では、ネットワークプレーヤー機能を使ってスマホやタブレット、音楽データの入ったUSBメモリーやNASを接続してPCレスでハイレゾ音源を再生できます。ストリーミングサービスのAmazon Music、AWA、Spotifyにも対応、アップルが採用しているAirPlay 2も利用できます。さらにスマートスピーカー「Amazon Alexa」の音声操作にも対応。

↑スマホやタブレットをワイヤレス接続してストリーミングで音楽再生

 

ハイレゾ対応DACとプリメインアンプを内蔵しているので、あとはスピーカーを接続するだけでシステムが完成します。

↑小型2Wayスピーカーと組み合わせればネットワークオーディオシステムが完成

 

本機はネットワーク機能だけでなくCDプレーヤーも搭載、アナログライン入力もあり、FM/AMチューナーとインターネットラジオも内蔵しています。つまり、アナログからデジタルまで何でも接続できる多機能なレシーバーなのです。しかし、このシリーズの人気の理由はそれだけではありません。純粋に音がいいことも評価されています。オーディオ専業メーカーのマランツならでは音へのこだわり、そして、本機で5世代目となる音質追求の結果が音に出ています。クラスDアンプを使っているため、小型軽量化も実現、一昔前のフルサイズコンポを超える高音質がコンパクトサイズに凝縮されています。

↑スピーカー端子は2系統、デジタル入力3系統、USB入力1系統、アナログ入力1系統、有線LAN入力、ライン出力とサブウーハー出力を備える

 

【SPEC】●実用最大出力:60W+60W(6 Ω) ●音声入力端子:アナログ×1、光デジタル×2 ●音声出力端子:アナログ(固定/可変)×1、サブウーハープリアウト×1、ヘッドホン×1 ●その他の端子:ネットワーク×1、USB×1(リア)、FMアンテナ入力×1、AMアンテナ入力×1 ●サイズ/質量:W280×H111×D303mm/約3.4kg

 

面倒な設定はコンポに任せてワイヤレス再生開始

ネットワークプレーヤーでビギナーがつまずくのが初期設定です。自宅の無線LANのルーターにコンポを接続する必要がありますが、「M-CR612」はメニューの中に「かんたん設定」という項目があり、ここ選択すると面倒な設定は自動的におこなわれます。スマホとの連携もネットワーク用のアプリ「HEOS」を使うことで、カンタンにセットアップ可能。HEOSを使って、NASやPCに保存した音源、USBメモリーの音源などもまとめて管理でき、ストリーミングサービスとの連携もこのアプリで行えます。

 

スマホかタブレットをリモコン替わりにして、音楽データも一元管理、コンポの存在を忘れて、どの部屋にいても音楽を気軽に楽しめます。特にアルバムアートも含めた楽曲情報が表示されたり、音楽のタイトル別、アルバム別、ジャンル別、アーティスト別などの表示ができ、プレイリストの作成もラクラクです。また「アレクサ、井筒香奈江の曲をかけて」と言葉でリクエストもできます。

↑HEOSのミュージック画面、再生可能な音楽データが集められ、自動的に表示される

 

 

M-CR612の有機ELディスプレイにはアルバムタイトルと曲名などが表示されるので、いま何が再生されているのか本体側で確認することも可能です。こちらのディスプレイはサイドにLEDを備えており、そのカラーを変更することもできます。

↑ディスプレイに曲名などを表示可能

 

↑イルミネーションの色を変更可能。オフにもできます

 

↑物理ボタンで素早く操作できるリモコンも付属する

 

スピーカーの実力を引き出すパラレルBTL接続

ハイレゾ音源を受けて最後にスピーカーを駆動するのがパワーアンプの役割です。通常のプリメインアンプの中にはステレオアンプが入っており、右chと左chの音を増幅します。「M-CR612」の場合は、まず左右で独立したクラスDアンプを搭載。さらに高音と低音を独立したスピーカーケーブルで接続するバイワイヤリング接続に対応するため高音用と低音用のアンプを搭載しています。つまり合計4ch分のモノラルパワーアンプ内蔵しています。これによってハイレゾ音源の持つ音場感や空間表現をリアルに再現できます。

 

今回搭載された新機能に「パラレルBTL」があります。これはバイワイヤリング接続非対応のスピーカーを使う時に余ってしまう2ch分のアンプを左右のアンプに並列つなぎすることで4ch分すべてのアンプを使って駆動するモードです。アンプを並列に接続した場合、出力は上がりませんがスピーカーを駆動する力は増強されます。

↑シングルワイヤリングの場合、アンプモードは「標準」を選択

 

↑バイワヤリング接続をする場合は「バイアンプモード」を選択

 

↑バイワイヤリング接続できないスピーカーを使う時はパラレルBTLが選択できます

 

低音に効くパラレルBTL、高音に効くバイワヤリング

それでは実際に接続方法による音の違いを聞いてみよう。バイワイヤリング対応スピーカーとして「SUNVALLEY Reference35」を接続しました。バスレフ型よりも低域の再生限界が伸びるが、アンプにドライブ能力が求められる密閉型の小型スピーカー。ウーハーは5インチ(12cm)で振動板は透明なポリプロピレン。ツイーターはソフトドームで1インチ(2.5cm)の2Wayで、能率は85dBです。

 

シングルワイヤリングで聞く、Diana Krall「The Girl In The Other Room/Sotp This World」(96kHz/24bit)はイントロからボーカルにツヤがあってなまめかしい。低音は量感たっぷりで、ゆったりとした雰囲気が漂う。これがパラレルBTLに切り換えると、フォーカスがシャープになり、楽器の輪郭がクッキリします。ボーカルは音像が小さくなって左右のスピーカーの間にぽっかりと浮かび上がります。ゆるかった低音はタイトになり反応良くドライブされています。これが密閉型、本来の鳴り方です。

↑バイワイヤリング対応スピーカー「SUNVALLEY Reference35」を使用。上下のスピーカー端子を連結して下側にスピーカーケーブルを接続

 

それではバイワイヤリング接続ではどうでしょう。今度は高音のS/N感が向上します。空間が広がりスケール感が出てきます。ボーカルは鮮明になって、細かい音が再生されるようになって、息継ぎの感じがよく分かるようになりました。ピアノの音は刺激が抑えられて、ハイハットも刺々しさがなくなりました。低音に関しては目立った変化はありませんでした。バイワイヤリングは高音用のツイーターを低音用のウーハーの悪影響から守るのが目的です。やや刺激的だったツイーターの音がバイワイヤリングで、このスピーカー本来の音色に戻ったと推測できます。フルレンジスピーカー1個でバスレフ式の「Ishida model」でもパラレルBTLを試してみましたが、音のキレ味が良くなって、全体的に反応がいいハイスピードな音に、そして低音の再生限界が伸びたように感じました。

↑2組のスピーカーケーブルを使ってツイーターとウーハーを別々に接続。これがバイワイヤリングです

 

マランツ「M-CR612」はハイレゾ入門機として、多機能、高音質なモデルとしてオススメ。また音楽好きな人が面倒なセッティング不要で、より良い音で音楽を楽しむための最初で最後のコンポとしてもイチオシです。本機と小型スピーカーの組み合わせでストリーミングからハイレゾまで、納得の高音質で再生できるので、新規でオーディオシステムを揃えようかと考えている方はもちろん、すでに一式持っている方もM-CR612にアップデートしてみてはいかがでしょうか。

 

マランツ

ネットワークCDレシーバー M-CR612

実売価格5万6785円

 

【ギャラリー(外部配信先からご覧の方は、本サイトで見られます)】

 

【関連記事】

“まだCDも聴きたい”派にオススメ! これ1台で色々聴けるマランツ「M-CR612」