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イヤホン
2019/8/20 20:00

イヤホンの音、手軽に変えるなら「イヤーピース」から! 人気6モデルをレビュー

昨今、ポータブルオーディオ市場でトレンドのひとつになっているのは、パーツを取り換えて自分好みの音を追求する「カスタマイズ」です。ケーブルを交換して音の変化を楽しむ「リケーブル」をはじめ、フィルターやノズルなどのパーツを数種類同梱して、自由に音質を調整できる製品も増えてきました。

 

なかでも最も手ごろなのが、イヤホンの先端に取り付ける「イヤーピース」のカスタマイズです。イヤーピースは、イヤホンを耳の中で固定し、音漏れを防いだり外部の環境音の侵入を防いだりする役目があり、音質や装着感に大きく影響します。そのため、自分の耳に合ったサイズや製品を選ぶことで、より自分好みのサウンドに近づけることができるのです。

 

また、イヤーピースはケーブルなどに比べて価格が手ごろで、取り換えが簡単なのもポイント。お気に入りのイヤホンをカスタマイズする第一歩に最適といえるでしょう。

 

今回は人気のイヤーピース5モデルを、オーディオライターの山本 敦さんとGetNavi web編集部の一條の2名で試し、その使い勝手をレビューします。

 

【使用イヤホン】
山本さん:ゼンハイザー「IE 80 S」

一條:JVC「SOLIDEGE 01 inner(HA-FD01)」

 

【その1】

様々な耳の形を分析して開発されたイヤーピース

AZLA
SednaEarfit

実売価格1110円(S/M/Lサイズ各1ペア)

2年の月日をかけて788人の外耳道を分析し、様々な耳の形に合うように開発されたイヤーピース。素材に特殊な高品質シリコンを採用しており、共振による音質劣化を抑え、高域の表現力を最大限引き出します。

 

【山本コメント】

音の出口をホーン形状にしているので、ダイナミックなサウンドをスパッと歯切れよく鳴らしきる。オーケストラは広がり豊かな管楽器のハーモニーと、金管楽器のきらびやかな音色が楽しめた。中低域にメリハリを効かせたいロックやポップスのボーカル系楽曲にも最適。メロディの鮮度がグンと高くなる。粘りの効いたEDMのビートも魅力。

【一條コメント】

やや硬めの素材で、うまく耳にハマったときの安定感は抜群。内側の管の部分がしっかりしているので、イヤホンに装着・脱着しやすい点も◎。音はカラッとしたさわやかで抜けのよい方向に変化した。

 

【その2】

やわらか素材で耳にやさしくフィット

AZLA
SednaEarfit Light

実売価格1380円(S/M/Lサイズ各1ペア)

「SednaEarfit」の傘部(耳に接する部分)の柔軟性を高めることで、耳道への負担を軽減したイヤーピース。SednaEarfitの音質特性はそのままに、よりやさしい着け心地を実現しています。

 

【山本コメント】

ポップできらめくような高音域が魅力。鮮やかな音の広がりも感じられる。解像度も高く、オーケストラの演奏もクリアで見晴らしが良い。ボーカルの声がミントのようにすっきりとした爽快感を残す。SednaEarFitシリーズはどちらも装着感は抜群の安定感だが、Lightの方は耳になめらかにフィットして、優しく収まってくれる。初めての交換イヤーチップとしてわかりやすく「違い」が実感できる。

【一條コメント】

ノーマルタイプよりやわらかめで、耳あたりがやさしい。遮音性もこちらのほうがよいと感じた。音はノーマルと同様に、クセのないカラッとした音になる印象。耳穴が痛くなりやすい人はコチラがオススメ。

 

【その3】

高い遮音性が人気の定番モデル

コンプライ
T-400

実売価格1180円(1ペア)

粘弾性のあるポリウレタンフォームで構成されたフォーム型イヤーピースの定番モデル。体温によりやわらかくなる「ヒートアクティブフォーム」が、どんな耳穴の形にもフィット。耳の穴をしっかり塞ぐことで優れた遮音性を実現し、音漏れや騒音をシャットアウトします。

 

【山本コメント】

低音の密度感が明らかに向上するほか、遮音性も高くなるので繊細なニュアンスの変化も拾いやすくなる。ボーカルは少し声の質感がマイルドになって温かみを帯びてくるため、クラシックや落ち着いた女性ボーカルの楽曲をしっとりと聴きたい時にオススメ。フォーム素材を指でつぶしてから耳に挿入すると、中で膨らんで耳の形にピタリとフィットする。サイズやバリエーションが豊富で、充実したラインナップも魅力。

【一條コメント】

遮音性は今回試した6モデルのなかで最も高い。その分、人によっては圧迫感を感じるかも。音質的な変化では、低音が増強される分、中高域の解像度がやや甘くなる印象。とにかく遮音性を高めたいときや集中したいときにオススメ。

 

【その4】

これぞソニーのスタンダード

ソニー
ハイブリッドイヤーピース

実売価格390円(同サイズ4個入り)※SS/S/M/L/LLの5サイズをラインナップ

外側と内側で硬さの異なるシリコン素材を組み合わせた砲弾型のイヤーピース。ブラックとホワイトの2種類のカラーから選べます。サイズは5サイズで、自分の耳に合ったサイズを細かく選択可能。

 

【山本コメント】

ルックス、音への効果ともに最もオーソドックスなタイプ。バランスは中高域が豊かになり、低域は穏やかに添える印象。クラシックのオーケストラや落ち着いた女性ボーカルの楽曲と相性がよかった。声やアコースティック楽器の繊細なニュアンスが移ろう様子がよく見えてくる。装着感はややしっとりとしていて、耳の内壁にピタリとフィットする。一般的なイヤーピースよりも遮音性は高いと感じた。

【一條コメント】

Sednaシリーズのように耳に当たる側とイヤホンに接する側で素材が異なるタイプ。中高域が伸びやかでクリアな方向に音が変化する点もSednaシリーズに近いが、響きにツヤが出てしっとりした印象になる点が異なる。

 

【その5】

シリコンとフォームのいいところ取り

ソニー
トリプルコンフォートイヤーピース

実売価格1220円(同サイズ4個入り)※SS/S/M/Lの4サイズをラインナップ

硬さの異なるシリコン素材に、独自開発シリコンフォーム素材を組み合わせたイヤーピース。これまでにないやわらかさと追従性で、高い遮音性と長時間の快適な装着性を実現します。水洗いも可能。

 

【山本コメント】

フォームタイプのイヤーピースなのに、開放的でディティールの粒立ちにも富む。音のつながりがとてもスムーズで、おおらかに広がる音像は大輪のユリの花を連想させる。楽曲によっては立体感がもう少し強調されても良いと感じるところもあるが、キャラクターが異なる「ハイブリッドイヤーピース」と使いわけてもいい。フォームタイプのイヤーチップなのに装着感はさらっとしていて心地よい。耳の奥までぐっと挿入して装着すると、やや圧は強めに感じる。

【一條コメント】

フォームとシリコンのあいだのような素材で、遮音性と耳当たりの良さを両立している。低音がグッと締まり音の迫力が増すので、もう少し低音が欲しいと思うイヤホンと組み合わせるとよい。同社の「ハイブリッドイヤーピース」と比べて肉厚なので、ワンサイズ小さめを選ぶのがオススメ。

 

【その6】

とろけるようにやわらかい新素材を採用

JVC
スパイラルドット+

非売品(同社のイヤホンHA-FD01/HA-FW10000に同梱)

イヤーピース内壁にスパイラル状にドットを配置した「スパイラルドット」シリーズの上位モデル。肌に近い力学特性を持つ「SMP iFit」素材を採用しており、ナチュラルなフィット感を実現。内側のドットがイヤーピース内の反射音を拡散させ、音のにごりを抑えてクリアなサウンドを実現します。こちらは非売品ですが、単品販売向けとして、「SMP iFit」と高品質シリコンを組み合わせたハイブリッド構成の「スパイラルドット++」(実売価格2460円/同サイズ4個入り)が用意されています。

 

【山本コメント】

サイズとやわらかさが筆者の耳にはとても素直にフィットした。とにかく負担を感じさせない。音楽の芯を捉えてインパクトの強い音を立体的に前に出してくる。ディティールの描写も細やかで、ボーカルのニュアンスが移ろう様子を的確に捉える。低音はむやみに量感を膨らませるタイプではなく、音像をタイトに引き締めたまま肉付きがリッチになる印象。ジャンルや時代を問わず様々なタイプの音楽から旨味を引き出せるイヤーピースだ。

【一條コメント】

とろけるようにやわらかい素材で、耳にやさしくフィットする。今回試した6モデルのなかで1番耳が痛くなりにくいと感じた。音質的な変化は、低音の迫力が増して、音の密度がグッと上がるような印象。ぜひハイグレードモデルの「スパイラルドット++」も試してみたい。

 

手持ちのイヤホンを手軽にカスタマイズするなら、まずはイヤーピースを変えてみるのがオススメ。自分好みの音と装着感のイヤーピースを組み合わせれば、より一層ポータブルオーディオを楽しむことができます。

 

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