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2019/11/20 18:30

SpotifyもYouTubeも高音質再生! ストリーミングウォークマン「A100」の実力を徹底レビュー

ソニーは、ウォークマンAシリーズとZXシリーズを刷新し、新たにAndroid OSを採用した“ストリーミングウォークマン”として11月2日に発売しました。今回は、ハイレゾ対応のエントリーモデル「A100シリーズ」のレビューをお届けします。

↑NW-A105(レッド)/実売価格3万2000円(税抜)

 

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Android OSになってどう変わった?

なんといってもA100シリーズが従来のモデルと大きく変わったところは、Android OSを再び採用したところ。ウォークマンでは2013年発売の「F880シリーズ」および2015年発売のハイエンドモデル「ZX2シリーズ」を最後にAndroid OSの採用を見送ってきましたが、A100シリーズおよびZX500シリーズより再びAndroid OSとなりました。

 

その理由は、SpotifyやYouTubeといった他社のサービスを利用するため。独自OSを採用してきたこれまでのウォークマンは、基本的には内蔵メモリかmicro SDカードに保存した楽曲ファイルの再生がメインでしたが(FMラジオ聴取機能などは存在)、2018年に国内音楽市場の売上において初めてストリーミングがダウンロードを上回るなど、音楽リスニングのスタイルの変化に合わせてこのようなカタチになったと思われます。

 

Android OSに変わったメリットとしては、SpotifyやApple Musicなどの各種音楽ストリーミングサービスに対応したことに加え、Google Playで配信されている多くのアプリも利用できるようになったこと。YouTubeやHulu、Netflixといった動画配信サービスで動画を見ることもできますし、Google MAPで地図を確認することも可能。処理能力は高くないものの、ゲームアプリも楽しめます。

↑Android OSを採用したことで、アプリを追加して自由に利用することができるように

 

また、ストリーミングサービスの音楽やYouTubeのコンテンツなども、フルデジタルアンプ「S-Master HX」やアップコンバート技術「DSEE HX」といったウォークマンならではの高音質化技術によって、スマホ以上の音質で楽しめる点も大きなメリットでしょう。ただし、ワイヤレス機器を使用する場合はそのような音質設定が無効となるので、恩恵を受けるためには有線接続する必要があります。

↑DESS HXなどの高音質化技術を多数搭載

 

ストリーミング主体で使うならスマホが有利

A100シリーズは、スマートフォンのようにセルラー通信ができないので、ネット接続が必要なサービスを利用する場合はWi-Fi環境下にいるか、他の端末にテザリングする必要があります。そのため、ストリーミングウォークマンと銘打っていながら、どこでも手軽にストリーミングサービスが利用できるわけではないのが辛いところ。

 

Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスは、オンライン接続時に楽曲をダウンロードすればオフライン環境でも再生できる機能が用意されているので、自宅などであらかじめ聴きたい曲をダウンロードしておいて、外ではオフライン再生するというのが基本的な使い方になるでしょう。筆者は「今週の新曲」や「国内ヒットチャート」などのプレイリストを丸ごとダウンロードして聴いていましたが、最新のヒット曲をチェックするならこのスタイルで十分と思いました。

↑オンライン環境でダウンロードしておけば、オフライン時でも楽曲を聴くことができます

 

注意点は、Spotifyなど多くのサービスでは有料会員しかオフライン再生が利用できないことと、オフライン再生には再生可能期限があること。Spotifyの場合はダウンロードして30日間のオフライン再生が可能で、再生期限を延ばすためには一度オンライン環境でアクセスしなければなりません。そのため、ウォークマンのWi-Fiをずっとオフにしたままにしておいたり、サービスを退会してしまったりするとダウンロードした曲が聴けなくなるので注意が必要です。

 

筆者の場合は、10年以上の年月をかけてデジタル化してきたMP3楽曲や購入したハイレゾ音源ファイルをSDカードに移して聴き、ストリーミングは新曲のチェックに使うというように分けて使っていたので特に不自由とは感じませんでしたが、ストリーミング聴取やYouTubeなどの視聴をメインで使いたいなら、やはりセルラー通信ができるスマホの方が便利。MVNOサービスが普及し、なかには音楽ストリーミング時のパケット通信では“ギガ”を消費しないサービスを提供している業者も出てきているので、ぜひ次のモデルではセルラー通信に対応してほしいところです。

 

ノイキャン機能を使うならイヤホン同梱モデルがオススメ

ここでA100ならではの機能もチェックしておきましょう。まずAシリーズには、ZXシリーズなどのほかのシリーズにない特徴としてウォークマン自体にアクティブノイズキャンセリング機能を備えており、対応するイヤホンを組み合わせることで周囲の騒音を抑えるノイキャン機能が使えるようになります。

↑ノイズキャンセリング機能はフルオートAIのほか、シーンに合わせて選択することも可能

 

対応するイヤホンは「IER-NW510N」というウォークマン用の5極プラグを備えたもの。オプションとして購入する場合は約1万3000円前後となりますが、16GBモデルに同色のイヤホンをセットにした「NW-A105HN」という製品も用意されています。こちらはウォークマン単体と比べて値差が8000円くらいなので、本体のノイキャン機能を使いたいなら、セットで購入した方がお得。

↑「NW-A105HN」にはIER-NW510Nが同梱される

 

このIER-NW510Nは、前モデルNW500Nと比較して容積が約50%に小型化されており、ノイキャン機能に加えて新たに外音取り込みにも対応。イヤホンに角度がついて装着感が向上したほか、ハイレゾ再生にも対応しているという、付属イヤホンといえどもなかなかのハイスペックぶり。その音は、小型のボディに似合わず低音がしっかりしており、高域の伸びやクリアさがもう少し欲しいとも思うものの、なかなか聴かせるサウンドに仕上がっていると感じました。

↑前モデル比で50%小型化された超コンパクトなボディ

 

A100シリーズは、イヤホンが有線かワイヤレスかで再生時間が倍以上違ってきますので(連続再生時間は有線のNC ON時で約21時間、NC OFF時で約26時間、Bluetooth<SBC>送信時で約10時/いずれもMP3 128bps再生時)、この付属イヤホンを使うメリットはかなり大きいと言えます。

 

バランス接続には非対応。ワイヤレスメインなら問題ナシ

一方で、上位のZXシリーズと異なり、Aシリーズは有線イヤホンのバランス接続には対応していません。バランス接続に対応している機種なら、リケーブルや接続方式の違いによる音質の変化を楽しめるので、音質にこだわりたいならバランス出力も欲しいところ。

 

続いて、音質をチェックするために、筆者が普段使っている有線イヤホンJVC「SOLIDEGE HA-FD01」を使い、A100と2018年モデルのZX300(非Android)にアンバランス接続(3.5mmステレオ)でつないで音を聴き比べてみました。クラスが違う2機種を比べるのは酷な気もしますが、十分なドライブ力のあるZX300に比べ、A100は少しアンプのパワーが弱いなという印象。FD01のキレのあるパワフルなキャラクターが薄れ、やや締まりのないサウンドに聴こえました。

↑A100とZX300(右)で聴き比べ

 

前述したように、専用の有線イヤホンによるノイキャン機能は魅力的ですが、それ以外の有線イヤホンを使うなら、やはり上位モデルのほうが上手です。

 

続いて、これも筆者が日常的に愛用しているソニーのネックバンド式ワイヤレスイヤホン「WI-1000X」を使い、A100とZX300にLDACコーデックで接続して聴き比べてみました。ワイヤレスの場合、音質はイヤホン側のDACとアンプに依るところが大きいので、有線接続時のようにプレーヤーの性能による違いをほとんど感じません。A100は高音質コーデックのLDACやaptX HDもサポートしているので、ワイヤレスならかなり満足いく音質で音楽が楽しめます。

 

ひとつ留意しておかなければいけないのは、ウリであるDSEE HXやDCフェーズリニアライザー、バイナルプロセッサーなどの高音質化設定が、ワイヤレス接続時は無効になってしまうこと。イコライザーもNGです。

↑ワイヤレス接続時は音質設定が無効になります

 

懐かしさがこみ上げるスクリーンセーバー機能

もうひとつ押さえておきたい機能が、A100シリーズとZX500シリーズだけに搭載されたスクリーンセーバー機能。再生時にしばらく放置しておくと、なんと懐かしのカセットテープを再生している映像が再生されます。しかも、再生する音源に応じてカセットのデザインがノーマル→ハイポジ→メタル→メタルマスターと実際に販売されたテープデザインに変わるほか、インデックス部分にアーティスト名と曲名も表示されるという、遊び心を感じる仕様がうれしいですね。

↑ハイレゾ(PCM)再生時はメタルテープ

 

↑DSD音源を再生すると真っ白なメタルマスターテープが表示されます

 

期間限定で予約販売中のウォークマン40周年モデルに同梱される初代ウォークマンを模したソフトカバーと組み合わせると、まるでカセットウォークマンを使っているような気分を味わうことができます。この姿にグッときた方はいますぐ予約しましょう。予約受付は12月15日までとなっています。

↑ソフトカバーには小窓があり、そこからスクリーンセーバー画面が覗く仕掛け

 

A100シリーズはどういうユーザーにオススメ?

これまでチェックしたポイントをまとめると、A100シリーズがどのようなユーザーにオススメかが見えてきます。まず、Android OSに対応したことにより、各種音楽ストリーミングサービスやYouTubeなどの動画配信サービスが、ウォークマンならではの高音質化機能を使って聴けるようになったことから、そのようなサービスをよく利用する人にオススメといえます。ここに魅力を感じるならA100シリーズを、いや自分は所有している音楽ファイルを聴くだけでいいという方は併売されるA50シリーズを選ぶとよいでしょう。ただし、セルラー通信ができないため、あらかじめWi-Fi環境下でダウンロードしておく必要がある点は注意。

 

続いて、専用の有線イヤホンでノイキャン機能を使ってみたい人や、ワイヤレスでのリスニングがメインという方にもA100はオススメです。専用イヤホンIER-NW510Nは小型ながら音質がよく、装着性も良好。A100と組み合わせることでノイキャンが使えるなど、そのポテンシャルを最大限に引き出せます。また、DACやアンプまわりの弱さも、ワイヤレスメインで使うなら気になりません。

 

逆に、バランス接続を試したい、有線イヤホンで高音質に聴きたい、という方には上位モデルのZXシリーズの方が向いているでしょう。2019年モデルのZX500シリーズなら、A100と同じくAndroid OS採用により、ストリーミングサービスが利用可能です。価格差はA100シリーズの16GBモデルが3万2000円、64GBモデルが4万7000円なのに対し、ZX507(64GB)は8万円(いずれも税抜)。およそ2倍という価格差と、バランス接続や有線接続時の音質を天秤にかけて、どちらを優先するか検討してみてください。

 

【ギャラリー(GetNavi webでご覧いただけます)】

 

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