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2020/5/21 18:00

シュアが最近凄い…今度は初のワイヤレスNCヘッドホン「AONIC 50」が登場。その実力、機能を早速レビュー

創立95周年を迎えたアメリカのオーディオブランド、SHURE(シュア)の進撃が止まりません。新シリーズのAONIC(エイオニック)から、今度は初のアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載するBluetooth対応ワイヤレスヘッドホン「AONIC 50」の登場です。

↑シュア初のワイヤレスNCヘッドホン「AONIC 50」が登場しました

 

スタジオグレードの音質にこだわった高機能なプレミアムヘッドホン。価格はオープンですが、本稿を執筆している5月中旬時点でAmazonでは4万8180円で販売されています。本体カラーはブラックとブラウンの2色をラインナップ。

↑カラバリはブラックとブラウンの2色(写真はブラック)

 

↑こちらはブラウン

 

キホンの「装着感」が心地よい

AONIC 50は耳を覆うアラウンドイヤースタイルのヘッドホン。ゆったりとした装着感を実現したイヤーカップの中には50mm口径の大型ドライバーユニットが搭載されています。柔らかなヘッドバンドとイヤーパッドによるパッシブな遮音性能と、側圧の強すぎないフィット感の最適なバランスを計算して作られているので、長時間ヘッドホンを装着していても疲れは感じにくいと思います。ソリッドなアルミニウム製のスライダーとアームのルックスも上品。

↑ゆったりとしたサイズ感のアラウンドイヤースタイル

 

↑スライダーとアームにはアルミニウム素材を採用しています

 

アクティブ・ノイズキャンセリング機能はイヤーカップの内外側に設けたマイクにより、環境音に含まれるノイズを自然に消去するハイブリッド方式により没入感を高めます。屋外で音楽を聴く時のために欠かせない外音取り込み機能も備えました。

 

強力でありながら自然な消音感

ノイズキャンセリングと外音取り込みなど、本体の細かな機能設定やイコライザーの操作などはiOS/Android対応のモバイルアプリ「ShurePlus PLAY」で行います。ノイズキャンセリングと外音取り込み、および両方の機能をオフにする3段階の設定切り替えは右側のイヤーカップ側面に搭載されている物理スイッチで操作します。

↑モバイルアプリ「ShurePlus PLAY」からノイズキャンセリングモードの選択、外音取り込みのレベル調整ができます

 

↑ノイズキャンセリングと外音取り込みのモード切替スイッチは本体に搭載

 

ノイズキャンセリングは強度を「最大」と「ノーマル」の2段階から選べます。最強を選択すると車の走行音も聞こえなくなるほどなので、屋外で使う場合はオフ設定から、この後に触れる外音取り込み機能を選んだ方がよいと思います。どちらのモードを選んだ場合でも音楽再生とのバランスを崩さない丁寧な消音バランスにチューニングされています。

↑アプリにはイコライザー機能も搭載。ユーザーが設定を決めたカスタム値も保存できます

 

外音取り込み機能は全11段階のレベルをアプリから調整可能。外音取り込みを最大すると、周囲の環境音がかなりクリアに聞こえてくるので、人に話しかけられた場合にも注意を向けられるようになります。外音取り込み機能を搭載するヘッドホンは、一般的にマイクの性能が不十分だと、機能をオンにした時にマイクに由来する不快なノイズが入る場合があります。AONIC 50を使ってみた限り、音楽再生を邪魔するようなノイズが気になることはありませんでした。ハンズフリー通話の際にも相手にクリアな声が届けられるでしょう。

↑イヤーカップの内側・外側にマイクを搭載するハイブリッド方式としています

 

LDAC対応でハイレゾ相当のワイヤレス再生が楽しめる

対応するBluetoothコーデックは、LDACにaptX HD、aptX Low LatencyにAACなど対応の幅がとても広いことが特徴です。特にハイレゾ相当のワイヤレス再生が楽しめるLDACにも対応した点が要注目。

↑ハイレゾ相当のBluetoothワイヤレスリスニングを可能にするLDACに対応しています

 

有線リスニングはアナログヘッドホンケーブルによる出力のほか、USB Type-C端子にケーブルをつないで、プレーヤー機器やPCとの間でデジタル接続によるサウンドが楽しめます。本機が搭載するドライバーの再生周波数帯域は20Hz~22kHzですが、シュアの独自設計によるDAC付きヘッドホンアンプを内蔵したことで、USB接続時にはヘッドホン単体で最大96kHz/24bitまでのハイレゾ音源をパワフルに鳴らせます。

 

内蔵バッテリーはフル充電から最大20時間の連続音楽再生に対応。15分の充電で約4時間の再生が楽しめるスピードチャージ機能も載せています。

 

3.5mmヘッドホンジャック対応のアナログヘッドホンケーブルのほか、USBケーブルをパッケージに同梱。ややサイズは大きめですが、正円形のキャリングケースに入れて旅行先などに持ち出せます。

↑ケーブルをまとめて収納できるキャリングケースが付属します

 

ソニーの新スマホ「Xperia 1 II」で有線・無線の音をチェックした

ソニーの新しいAndroidスマートフォン「Xperia 1 II」は久しぶりに3.5mmヘッドホンジャックが復活したハイレゾ再生対応機として話題を呼んでいます。今回はXperia 1 IIをリファレンスにして、LDACによるワイヤレス再生と有線接続の音質を聴き比べてみました。

↑Xperia 1 IIにAONIC 50をLDACでワイヤレス接続した状態で試聴

 

一聴してわかるのは、ボーカルの繊細な表情をリアルに引き出せるヘッドホンだということ。ノイズキャンセリング機能による違和感は微塵もなく、音楽のディティールにぐいぐいと引き込まれてしまいます。aikoの「カブトムシ」は筆者が何度も繰り返し聴いている曲なのに、AONIC 50で聴き直してみると声の輪郭に拡大鏡を当てて切なく移ろう様子に目をこらしているような錯覚を感じて、センチメンタルな音楽リスニングに深くのめり込んでしまいました。自然な人の声が再現する感情まで腹落ちするサウンドです。バンドの楽器による演奏も音色が自然で豊か。アーティストが演奏している情景が目の前に広がります。

 

3.5mmオーディオジャックにつないで聞いてみると、やはり解像度の高さは変わらないのですが、中高域の繊細なディティールの再現力に富むLDAC接続によるワイヤレス再生に対して、有線接続で同じ曲を聴くとボーカルのふくよかで甘い余韻、中音域の肉付きの良さが引き立ってきます。tofubeatsの「WHAT YOU GOT」を聴くと、空気のバネが効いた張りのある低音に体の芯を突かれる心地よい感覚が味わえました。テイラー・スウィフトの「Shake It Off」の軽快なパーカッションのリズムも絶妙です。

↑続いて付属のオーディオケーブルを使って有線接続で聴いてみます

 

スマホをGoogle Pixel 4 XLに代えてUSB接続のデジタル出しによる音楽再生を確認しました。LDAC接続によるワイヤレスサウンドと聴き比べてみると、どちらも情報量に富んだハイレゾらしさを引き出せていますが、USB接続で聴く音は中低域の立体感やインパクトの厚みに醍醐味が感じられると思います。

↑ヘッドホンに内蔵するDACとヘッドホンアンプによるパワフルなUSB再生も楽しめます

 

ワイヤレスや有線など、ヘッドホンとプレーヤー機器との接続スタイルを変えながら、ひとつの音源を様々な角度から聴き込む楽しさが味わえます。

 

また、試聴中にふと気づいたのは、当機がノイズキャンセリング機能を備えていたということ。その効果がとても自然なので、思わずノイキャンのことを忘れて聴き込んでしまいました。シュアのAONIC 50は、ワイヤレスタイプのノイズキャンセリングヘッドホンの新たなスタンダードに間違いなく仲間入りするモデルだと思います。これから“ノイキャンヘッドホン”の購入を検討している方は忘れずにチェックしてみて下さい。

 

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