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2020/8/21 20:00

やっぱり老舗は“上質さ”がひと味違う! ノイキャン機能付き完全ワイヤレス「ATH-ANC300TW」レビュー

2020年はアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホンが特に注目を集めています。老舗オーディオメーカーであるオーディオテクニカからも、初めてのアクティブ・ノイズキャンセリング機能搭載機である“QuietPoint”シリーズの完全ワイヤレスイヤホン「ATH-ANC300TW」が発売されました。高品位なサウンドとハイレベルな通話品質、スムーズなモバイルアプリ連携によりノイズキャンセリングとヒアスルー機能を使い分けられる利便性など、ATH-ANC300TWの魅力に迫りたいと思います。

 

上質なたたずまい。中身のテクノロジーは最先端

ATH-ANC300TWはオーバーヘッドタイプのヘッドホン「ATH-ANC900BT」、ネックバンドタイプのイヤホン「ATH-ANC400BT」に続く“QuietPoint”シリーズの3番目のラインナップです。落ち着いた日常の装いに溶け込むブラックを基調としたデザインとしながら、オーディオテクニカが誇るポータブルオーディオのための最先端テクノロジーを詰め込んだ挑戦的なシリーズです。

↑オーディオテクニカの完全ワイヤレスイヤホン「ATH-ANC300TW」(実売価格2万7280円)

 

完全ワイヤレスイヤホンのATH-ANC300TWは本体とケースのカラーを上品なネイビーブルーとして、既存のシリーズ製品から少し変化を付けてきました。イヤホンの側面にオーディオテクニカのブランドロゴを配置しています。

↑ケースのサイズはコンパクト。フタを開けると左右のイヤホンが縦に装着されています

 

コンパクトなイヤホンには5.8mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載。厚みのある中低域に加えて、煌びやかでクリアな高音再生を実現するため振動板にDLC(Diamond Like Carbon)コーティングを施して、全帯域に渡ってスムーズでつながりの良いサウンドに整えています。人の声がとても自然に再現されるので、ボーカルものの音楽再生が心地よいだけでなく、ハンズフリー通話の音声まで聴きやすく感じられます。

 

バランスの良いノイズキャンセリング機能

ノイズキャンセリング機能は本体シェルの外側に向けて搭載したフィードフォワードマイクと、ノズルの内側にも超小型のフィードバックマイクを内蔵したことにより、リスニング環境周囲のノイズをモニタリングしながら、音楽再生の邪魔になるノイズ成分だけをきれいに消去するハイブリッド・デジタルノイズキャンセリング技術としています。

↑側面にオーディオテクニカのブランドロゴを配置

 

↑ハウジングの内側向き、外側向きにノイズキャンセリング用のマイクを内蔵しています

 

ノイズ成分を集中的に消せるだけでなく、再生している音楽と周囲の環境音を自然にミックスして聴けるヒアスルー機能のバランスも良好です。騒音を消して音楽再生に集中したい時と、周囲の音に気を配りながら街歩きなどで気軽に音楽をBGMとして鳴らしたい時の両方に効果があります。

 

アプリやリモコンの操作性も快適

スマホとの接続前後の設定はiOS/Androidに対応する専用モバイルアプリ「Connect」で行います。Connectアプリ自体はQuietPointシリーズをはじめオーディオテクニカの他のワイヤレスオーディオ製品も共通して使うオーディオテクニカ純正アプリ。ATH-ANC300TWをスマホにペアリングしてアプリを立ち上げると、ノイズキャンセリングやヒアスルーの強度調節をはじめ、本機専用のメニューが画面に表示されます。ATH-ANC300TWはaptXとAAC/SBCの3つのBluetoothオーディオのコーデックに対応しているイヤホンですが、それぞれの接続状態の確認とコーデックの切り換え選択、バッテリーの残量チェックなどができます。

 

アプリは完全ワイヤレスイヤホンは初めてという方でも直感的にすぐ使いこなせるよう、とてもシンプルなユーザーインターフェースにしています。探している機能に素速くたどり着けます。ノイズキャンセリング機能は強く効果がかかるAirPlaneから順にOn The Go/Office-Studyまで、切り換えて効果を確認しながらリスニングシーンに合ったシーンが選べます。

↑Connectアプリからイヤホンの各機能を操作・設定します

 

左右イヤホンのシェルの上側に、音楽再生とハンズフリー通話の際に使うリモコンボタンがあります。確かなクリック感が得られるボタンなので押し間違い発生しにくいのが良いところ。音量のアップダウンも含めて、スマホをポケットやバッグから取り出さなくてもオーディオの音量がイヤホンから変えられる所も優れています。左利き・右利きの違いによって、リモコンのキー配置をA/Bふたつのパターンから選択できます。

↑リモコンはボタン式。確実な操作性を実現しています

 

イヤーピースによるカスタマイズも可能

オーディオテクニカのATH-ANC300TWを完全ワイヤレスイヤホンの初心者の方にもおすすめする理由は、とてもナチュラルなサウンドバランスを実現しているから。ノイズキャンセリング機能をオンにすると、静かな環境の中で音楽リスニングに集中できるぶん、特定の帯域にバランスが偏ったチューニングは目立って聞こえる場合があります。偏ったバランスのサウンドはやはり長く聴き続けていると疲れてくるのです。

 

ATH-ANC300TWは特定の帯域を強調しないフラットバランスにチューニングされていて、ノイズキャンセリング機能をオンにした時の静寂の純度がとても高いイヤホンです。山の湧き水で淹れたコーヒーを味わうように、ジャンルやカテゴリーの区別なく、どんな音楽を聴いてもアーティストの存在がすぐ側に感じられ、楽器の音の生々しさ、演奏空間のスケールが真に迫る描写ができることも本機の特徴です。筆者は特にボーカルやアコースティック&エレキギターをハイライトした音楽が好みなので、それぞれのディティールが自然に浮き立ち、アーティストの熱気を近い距離で感じさせてくれるATH-ANC300TWに脱帽しました。

↑aptXにも対応するATH-ANC300TW。原田知世さんのシルキーな歌声もそのまま再現してくれます

 

ノイズキャンセリング機能のレベルを一番強い「AirPlane」に設定しても、音楽再生を邪魔しないナチュラルバランスで耳にストレスを感じない自然な消音効果もお見事。本機を飛行機の中で試したことは残念ながらまだありませんが、地下鉄に乗りながら動画を視聴する場面で使ってみたところ、セリフを明快に聞き取るためにはもう少し強い消音効果が欲しいと思うことがありました。

 

製品のパッケージには純正のシリコンイヤーピースのほかに、Comply製のフォームイヤーピースも付属しています。後者を選択するとパッシブな遮音性能が高められるのでおすすめ。また本体のノズルが汎用性の高い形状なので、サードパーティ製のイヤーピースに交換して音の違い、装着感のアレンジもできます。

↑シリコン製と低反発フォーム製のイヤーピースを同梱。サウンドやフィット感が調節できます

 

↑サードパーティ製のイヤーピースを装着して、音のカスタマイゼーションを深めることもできます

 

aptX再生に対応するスマホとペアリングして、アプリからAAC/SBCの各コーデックを手軽に切り換えながら好みの音を探りつつ楽しめるところも本機の魅力です。aptX接続で聴くサウンドは楽曲によってボーカルの艶っぽさ、生楽器の音色の鮮やかさが引き立ち、音場の広がりも一段と豊かになります。ふだん聴き慣れた楽曲も、ATH-ANC300TWで聴けば新たな発見があるかもしれません。

 

高機能マイク内蔵により通話品質も高い

今年は春から少しずつ、オフィスを離れてテレワークスタイルで仕事をこなせる環境を整えてきた方も多いでしょう。ワイヤレスイヤホンを使うと、周囲が賑やかな場所でも音が聞こえやすくなるので音声コミュニケーションのストレスが格段に減らせます。オーディオテクニカのATH-ANC300TWは高性能な通話用マイクを搭載したほか、周囲の環境ノイズを抑制するクアルコムのcVc(Clear Voice Capture)テクノロジーにより、ハンズフリー通話の際にはユーザーの声をクリアに相手へ届けることができます。本体の落ち着いたデザインとカラーはビジネススーツにもフィットするので、リモートワークのビデオ会議で使うと相手に“できるビジネスパーソン”の印象を与えるでしょう。

 

ノイズキャンセリング機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホンの人気が高まってきて、今年の後半には1万円前後の製品も様々なメーカーから発売されにぎわいそうです。もちろん高価な製品であることが、イコール上質な体験を得られるイヤホンを意味しているわけではありませんが、オーディオテクニカのATH-ANC300TWのように、音質から装着感まであらゆる側面から抜かりなく「上質であること」を真面目に探求したイヤホンは、手に取って試してみるとすぐに違いがわかるものです。そして長く使うほどに飽きのこない魅力がにじみ出てくることを知り、「最高の買い物」ができたこと実感できるはずです。

 

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