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2021/5/1 10:30

超高コスパの噂はリアルか? 「realme」のワイヤレスイヤホン3種の良い/悪い

アジアを中心に急成長を遂げているスマートデバイスブランド「realme(リアルミー)」が日本上陸し、第1弾として5アイテムがリリースされました。まず、4月15日にワイヤレスイヤホン「realme Buds Q」「realme Buds Air Pro」と、スマートウォッチ「realme Watch S」が発売。5月以降にワイヤレスイヤホン「realme Buds Wireless Pro」とモバイルバッテリー「realme 20000mAh Power Bank 2」が発売される予定です。これらの製品のうち、ワイヤレスイヤホン3機種をいち早く使ってみる機会を得ました。

 

realmeは「同じ価格帯で最も競争力のある製品」をめざし、すでにローンチしている国・地域では、若い世代に熱く支持されているようです。ワイヤレスイヤホンは多くのメーカーが競合するレッドオーシャン。本当にコスパは高いのか? まだ日本では無名のブランドながら「欲しい!」と思うほどの魅力はあるのか? じっくり使ってみました。

 

初めてのワイヤレスイヤホンに最適な「realme Buds Q」

realme Buds Qは3モデルのなかでは最も安い3480円。「ワイヤレスを、かっこよく」をコンセプトに、世界的に著名なジョゼ・レヴィ氏がデザインを手掛けています。川辺の小石をモチーフにしたという充電ケースは、手のひらにスッポリと収まるほどのコンパクトさ。

↑充電ケースはシンプルなデザイン。カラバリはブラックとホワイトを用意

 

↑充電用のUSBケーブルと2サイズの交換用イヤーチップを同梱。説明書には日本語表記はナシ

 

ケースが約28.2gで、イヤホンを収めても約35.4g。非常に軽く、手にしたときにイヤホンが入ってないのでは? と思うほど。プラスチックで、ややチープな質感で、そこは “お値段なり” という印象。充電用のUSB端子は、最近主流のType-Cではなく、減少傾向にあるmicroUSBです。そこも、ちょっと残念なポイントです。

↑左右それぞれのイヤホンにrealmeの「R」ロゴがデザインされていて、そこがタッチセンサーになっている

 

イヤホンはカナル型で、片耳が約3.6g。イヤーチップは3サイズから自分の耳にフィットするものに付け替えられます。装着感は非常によく、軽いので長時間の使用にも適しています。

↑カナル型で、片耳がわずか約3.6g

 

↑耳の穴をピタッと塞ぐように装着でき、ランニング時にも安定感があった

 

筆者はAndroid(OPPO Find X2 Pro)とiPhone 11 Proとペアリングして、音質をチェックしました。Androidは「YouTube Music」、iPhoneは「Apple Music」で音楽を聴き、どちらもNetflixで映画の音声も聴いてみました。

↑OPPO Find X2 Pro(左)とiPhone 11 Pro(右)とペアリングして、音楽や動画の音声を聴いてみた

 

プレスリリースでは10mmのダイナミックドライバーを搭載していることが強調されていましたが、音質はそんなにダイナミックではありません。ボリュームが小さいと不明瞭な音があり、ボリュームを大きくしても、さほど厚みがなく、ズンズンとして心地よい響きは得られません。高音域は細くなり、若干シャカシャカするのも気になりました。好きな音楽を大きめの音量で聴いてテンションを上げたいという人は物足りなく感じるかもしれません。

 

しかし、Netflixで映画やアニメを観ると、BGMとセリフがバランスよく聴こえて、3000円台でこの音質なら十分! と思ったのも事実。音楽を聴くよりも、動画配信サービスの音声を聴いたり、ビデオ通話に使ったりするのに向いているかもしれません。

 

電池持続はケース利用で最大20時間。ノイズキャンセリングは非搭載。上位のBuds Air Proには装着を検知する機能があり、片耳を外すと自動で一時停止しますが、このBuds Qは装着検知には非対応。最大の利点は、なんといっても3480円という価格でしょう。できるだけコストを抑えたい人や、子どもに使わせる初めてのワイヤレスイヤホンとしても良さそうです。

 

ノイズキャンセリング搭載の「realme Buds Air Pro」

realme Buds Air Proは1万3800円。realme Buds Qの約4倍のお値段ですが、最大35dBのノイズキャンセリング機能を備えています。10mmのダイナミックドライバーを搭載し、充電ケース使用で最大25時間再生できます。

↑realme Buds Air Proの同梱品。交換用イヤーチップは3サイズで、合計4サイズから選べる

 

丸い充電ケースは光沢仕上げで、ツルツルとして気持ちいい触り心地。多くのメーカーが採用するベーシックなデザインではありますが、ハイグレードの製品という印象で、いいですね。

↑充電ケースはラウンドフォルムで光沢仕上げ。重さは約39g。カラバリはブラックとホワイトから選べる

 

充電端子はUSB Type-C。側面にBluetoothのペアリングボタンも備えています。なお、Androidのスマホでは、一度ペアリングするとGoogleアカウントに紐づけるように導かれて、ほかのデバイスでも簡単に接続できるようになりました。ただし、機種やOSのバージョンによっては挙動が異なるかもしれません。

↑Androidスマホの場合、このような画面が出て「接続」に導かれる。また、バッテリー残量が減った場合も、画面に表示された

 

イヤホンはカナル型で、軸は短くはないが気になるほどの長さでもなく、アップルのAirPods Proの軸を少し長くした感じ。重さは片耳約5gで、装着時の安定性も良好。軽い運動では外れる心配はなさそうですが、マスクを外したり、シャツを着替えたりする際には多少の注意は必要です。

↑左がrealme Buds Air Proで、右がAirPods Pro。realme Buds Air Proのほうが軸が少し長い

 

↑イヤーチップは4サイズから選べるので、自分の耳にぴったりフィットする

 

軸の上部にタッチセンサーが搭載されていて、ダブルタップで一時停止・再生、トリプルタップで次の曲にスキップ。2秒ほど長押しするとノイズキャンセリングモードとトランスペアレンシー(外音取り込み)モードを切り替えられます。左右どちらをタップしても操作でき、左右を同時に長押しするとゲームモードに切り替わります。電話の着信時はタップで応答でき、ダブルタップで着信拒否または通話を終了できます。

 

音質はrealme Buds Qに比べると “段違い” といっていいほど良く、音に厚みがあり、それぞれの楽器の音が明瞭に聴こえます。J-POPやK-POPはボーカルもクリアに聴こえて、コーラス部分が立体的に再生されます。

 

ノイズキャンセリングの効果も、はっきりと実感できるレベル。とくにiPhoneで聴いたときに、強く効果を感じられました。ゲームモードは、おそらく低遅延になるかと思われますが、筆者が試した範囲では、その効果をさほど実感できませんでした。

 

realme Buds Air Proは音楽を聴くにも、映画を観るにも、通話時にも有効に使える印象。1万3800円なら、かなりコスパは高いといえるでしょう。個人的には、もう一声安いといいのになぁ……と思ったのが本音です。

 

「realme Buds Wireless Pro」も音質は上々

5月以降発売予定のrealme Buds Wireless Proは、左右のイヤホンがつながったネックバンド型のワイヤレスイヤホン。13.6mmのダイナミックドライバーを搭載し、ハイレゾ相当の音質もワイヤレス再生できるLDACコーデックにも対応しています。最大35dBのノイズキャンセリング機能も利用可能。realmeのブランドカラーである黒と黄色でデザインされ、スタイリッシュな印象で、若者だけでなく幅広い世代にフィットしそうです。価格は9980円。

↑色はイエローのみ。交換用イヤーチップは2サイズを同梱

 

左右のイヤホンは使わないときはマグネットで密着する仕組みで、それによってオフになり、離すとオンになります。

↑使わないときは左右のイヤホンがマグネットでくっつく仕様

 

↑装着感はきわめて良好

右側にリモコンを備えていて、カチッと押せる物理ボタンで操作できることが利点。「+」「-」で音量を調整でき、その間の「○」(マルチファンクションキー)を1回押すと一時停止・再生、2回押すとスキップ、3回押すと頭に戻せます。電話を着信した際は1回押すと応答でき、長押しで着信拒否または通話を終了できます。また、マルチファンクションキーの長押しで音声アシスタントを起動可能。AndroidではGoogleアシスタント、iPhoneではSiriが起動することを確認しました。

↑リモコン部に2つの物理ボタンを搭載。音量キーとマルチファンクションキーは一体化。右の長い線が記されたキーでノイズキャンセリングのオンオフが可能

 

ノイズリダクションボタンは独立していて、押してノイズキャンセリングモードとトランスペアレンシー(外音取り込み)モードを切り替え可能。また、長押しするとゲーミングモードに切り替えられます。

 

音質は、低音がしっかりと響き、高音もクリアに聴こえます。ノイズキャンリングモードにすると音に厚みは出るものの、音質に雑味が混じり、再生する楽曲によっては音の透明感が薄れるように感じました。個人的にはゲーミングモードの音質が好みです。ノイズキャンセリングの効果というより、はっきりと音質が変わる3つの再生モードから選択できることが1番のメリットに思えました。

 

アプリは日本語非対応なので注意が必要

筆者が使って唯一気になったのは、「realme Link」というアプリが一部日本語に対応していなかったこと。同梱のユーザーガイド(説明書)には、Android端末と接続させて使う場合、「realme Link」というアプリをインストールすると、細かい設定ができたりするようなことが書かれているのですが、利用にはアカウント登録が必要で、そこが日本語に対応しておらず、日本のユーザーには使いにくいように感じました。realmeの日本法人に確認したところ「現在、日本語対応できるようにシステム改修に取り組んでいる」とのこと。

 

とはいえ、ワイヤレスイヤホンの設定・操作に複雑なことはないので、アプリを使わなくても困ることはなさそうです。realmeは日本に上陸したばかりのブランドですから、まだ使っている人が少なく “レア度” は抜群。コスパを重視し、なおかつ人と違うものを使いたい人は選択肢に加えるといいでしょう。

 

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