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2022/5/13 18:45

置き方に合わせて音を変える! ボーズの賢いBluetoothスピーカー「SoundLink Flex」レビュー

春を迎えて、いよいよ外出できる機会も増えてきました。いまこそポータブルスピーカーを色んな場所に持ち歩いて、音楽を楽しむのによい頃合いです。

 

ボーズからインドアで音楽を聴く時に便利な自動サウンド補正機能「Bose PositionIQ」や、コンパクトなボディにIP67に準拠した防水・防塵性能と“水に浮く”構造を採用したBluetoothワイヤレススピーカー「Bose SoundLink Flex」が発売されました。新製品を試した筆者が本機の特徴を解説したいと思います。

↑ボーズの最新Bluetoothワイヤレススピーカー「Bose SoundLink Flex」(スモークホワイト)

 

スピーカーの置き方に合わせて音を最適化

SoundLink Flexは質量が約580g、長辺が約20cm。持ち運びに適したサイズのポータブルスピーカーです。写真のホワイトスモークのほか、ストーンブルーとブラックの3色が揃っています。価格は1万9800円(税込)。

 

背面はソフトシリコン、フロント側はさらっとしたパウダーコーディングを施したスチールグリルです。厚み約5cmのフラットな形状で手に馴染みやすく、ユーティリティループと名付けられたカラビナ等が付けられるナイロンバンドが本体に固定されています。ユーティリティーループは強い力で引っ張っても、バンドが裂けたり、本体からちぎれないように強度・耐久試験を重ねているパーツです。

↑本体はフラットなデザイン。フロント側はスチールグリル仕様

 

↑本体に固定されているユーティリティループ

 

いまはアウトドアでの使用を想定した防水対応の安価なBluetoothスピーカーが数多くありますが、Bose SoundLink Flexの「ならでは」といえる大きな特徴がふたつあると筆者は考えます。

 

ひとつがボーズのBluetoothスピーカーに初めて搭載された自動サウンド補正機能「Bose PositionIQ」です。これはスピーカーの向きを自動で検知して、サウンドの聞こえ方を常に一定に保つように最適化する機能。本体に搭載する傾きセンサーがスピーカーの設置状態を「平置き」「横置き」「吊り下げ(縦位置)」の3種類から判別して、それぞれの置き方にベストなサウンドパターンへ瞬時に調整します。

 

Bose SoundLink Flexのように内蔵バッテリーで駆動するワイヤレススピーカーは、自由に置き場所を変えながら楽しめるのがメリットですが、置いた場所によって音質が大きく印象を変わってしまう場合もままあります。そういった影響を抑え、どこに置いてもいい音で楽しめるようにしてくれるのが「Bose PositionIQ」なのです。

↑本体を平置きにしても音のバランスが崩れません

 

筆者も自宅で試しました。仕事机やキッチンカウンターでは平置き・横置きに。ベランダに近い部屋では、読書と音楽を同時に楽しめるように壁面のフックにスピーカーを吊り下げました。

↑金具にユーティリティループをかけて吊り設置。低音のバランスを補正しながら力強いサウンドを再生します

 

Bose SoundLink Flexは、どのスタイルで設置した場合もサウンドのバランスが崩れず、一定の強さと広がりを再現します。また置き方を変えて補正機能が切り替わる瞬間をユーザーが意識することもなく、常に一定のいい音に保たれる自然なリスニング体験が得られました。

 

Bose PositionIQは、置き方によりスピーカーの再生周波数と指向特性を最適化しますが、スピーカーの周囲にある壁や置き物などを検知したり、スピーカーを置いた平面の音響特性などを測定するわけではありません。例えば剛性の弱いカラーボックスの上などに置いて再生を始めると、低音が不要に響いてだぶつきます。音の聞こえ方が安定しない場合は、スピーカーの置き場所を変えてみたり、スピーカーの下に振動を抑えるためのボードなどを敷いてみたりすると、本領が発揮されるでしょう。

 

水に浮く本体。真水以外の濡れにも強い

Bose SoundLink Flexはアウトドアスピーカーとして十分に高い防水・防塵性能を備えています。それだけでなく、水に浮く構造とした点がとても魅力的に感じられます。スピーカーを水に浮かべながら音楽を聴くためというより、むしろアウトドアでボートを漕ぎながら音楽を聴きたい時などに、スピーカーが誤って水中に落ちてしまい見つからなくなる、といった事態を避けられる機能としてとてもユニークだと思います。

↑本体は雨にも強いIP67等級の防塵・防水対応です

 

一般的な防水試験は真水を使って実施されることが多いのですが、ボーズでは石けん水も使ってBose SoundLink Flexの防水テストを行っているそうです。あまり積極的に真水以外にさらすことはおすすめできませんが、例えばスピーカーを風呂場やキッチンに持ち込んだ時に、石けんや洗剤の成分が混じった水をうっかりかけてしまった場合でも、拭き取れば故障が避けられます。海水が付着した場合もまた、真水ですすぎ洗いをすれば故障が避けられる仕様としています。

 

本体に内蔵するバッテリーにより最大約12時間の連続リスニングに対応します。充電用のUSB-C端子もキャップレス防水仕様。バッテリー残量がゼロの状態から約4時間で満充電が完了します。

 

明るく開放的なサウンド

筆者はiPhone 13 Proにペアリングして、Bose SoundLink Flexのサウンドをチェックしてみました。iOS/Android対応のアプリ「Bose Connect」からスピーカー本体の設定、および簡易な音楽プレーヤー機能が使えます。

↑iPhoneとペアリングしてSoundLink Flexのサウンドを確認しています

 

↑SoundLink Flexの設定はBose Connectアプリから行います

 

Bose SoundLink Flexにはカスタムデザインのドライバーが1基と、低音を増強させるパッシブラジエーターが前面・背面向きに1基ずつ、合計2基搭載されています。本機もまたボーズのスピーカーらしい、エネルギッシュで明るく開放的なサウンドを特徴としています。

 

ボーカルや楽器のメロディがとても鮮やかで抑揚に富んでいます。コンパクトなボディでありながら低音の肉付きもよく、アタックが鋭く立ち上がります。高音域は透明感が高く伸びやかです。音楽のスケール感を広々と描けるので、大編成のジャズバンドやオーケストラの演奏もホールで聴くような雄大さを感じることができました。解像度が高く、細かな音の粒立ちもきれいです。ゲーム音楽やダンスミュージックなど情報量が多い打ち込み系の音楽は、大満足の立体感が味わえました。

 

もう1台のBose SoundLink Flex、または片側はBose Connectアプリに対応するボーズの別のBluetoothスピーカーを組み合わせて、2台のスピーカーによるステレオ再生や、同じ音源を2台それぞれで再生する「パーティモード」も選べます。モードの設定はBose Connectアプリからセットアップ可能です。

↑2台のスピーカーによるパーティモード/ステレオモードも搭載しています

 

音楽の再生操作は天面のユニバーサルボタンから再生/一時停止、曲スキップ、Siriなど音声アシスタントの起動などが一通りできます。操作はとてもシンプルなので迷うこともありません。アプリからマニュアルでイコライザーを動かして、ユーザーが好みのサウンドにもっと近づけられる機能もあれば歓迎されそうですが、まずは何より「シンプルに、いい音が楽しめる本格派Bluetoothスピーカー」として、Bose SoundLink Flexは多くの方に勧めやすい選択肢だと思いました。

↑スピーカー天面にユニバーサルボタンなどリモコンを配置しています

 

本体に内蔵するマイクは、ペアリングしたスマホとの組み合わせによるハンズフリー通話や、音声アシスタントを呼び出す用途に使えます。PCによるオンラインミーティングも、こちら側が複数名のグループ単位で参加する場合には、スピーカーとマイクをシェアできる本機のようなハンズフリー通話対応のワイヤレススピーカーがあると便利です。きっとビジネスシーンでもBose SoundLink Flexは活躍してくれるでしょう。

 

外観がボーズのスピーカーらしく上品なので、毎日音楽を聴く環境に自然と馴染むはず。長く安心して使えるBluetoothワイヤレススピーカーとして「お得感」をかみしめられる、よき買い物になると思います。

 

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