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歴史
2018/1/11 13:00

ラビオリも餃子なのか…2000年以上の歴史を持つ「世界食」餃子の歴史に迫る!

先日、日本食が大好きだという外国人に会いました。
イギリスで生まれ、アメリカで育った方です。
てっきりお寿司とかてんぷらかと思ったら、答えは意外なものでした。

 

「teppanyaki、鉄板焼き」だというのです。それも、神戸ビーフの…。
ま、確かに、神戸ビーフの鉄板焼きはおいしいだろうけれど、それを日本食と呼ぶのかどうか…。

84565842 - the japanese dumplings at table 2016

 

 

私が好きな中華料理は焼き餃子

私は私で、中国人の知り合いに「暁子さんは、中華料理なんて食べるの?」と、聞かれ、「大好きよ。特に餃子が!皮はパリッとしていて、中身がジューシー。もう最高!」と、答え、

 

「中国では餃子は焼かないですよ」と、笑われました。

 

確かに中国を旅行中に食べる餃子は、そのほとんどが水餃子で、焼いたものは見かけません。何故なのでしょう。不思議です。

 

 

なぜ日本では焼き餃子?

私は餃子が好物と思ってはいましたが、餃子についてあまり知りません。
そこで、『餃子のひみつ』(山口育孝・著、青木萌・イラスト/学研プラス・刊)を読んでみて、あまりに知らないことだらけで、自分でも驚いています。

 

中国で餃子といえば水餃子というのは、餃子がゆでた小麦粉料理である「湯餅(タンピン)」の仲間とされていたからだそうです。

 

ではなぜ今の日本では、餃子と言えば焼き餃子になったのでしょうか?

 

それにはいくつかの説がありますが、主に次の3つが有力だそうです。

 

① 中国の屋台で焼いていた「鍋貼(ゴーティエ)」の作り方を、日本人が持ち帰ったのが始まり

② 戦後の日本では食料が不足していたので、できるだけ少ない原料で作るために、皮を薄くし、腹もちがいいように油で焼いた

③中国の水餃子は皮が主食で中身がおかず。日本にはごはんという主食があるので、餃子はおかずとして食べる。その時、油をひいた鉄板で焼いた方がおかずとして食べやすい。

 

どれも正しいような気がしますが、私的には③かな~と、思ったりしました。

 

 

それぞれにそれぞれの餃子

餃子は小麦粉を水で練って皮を作り、中にいろいろなものを包みます。我が家でもよく作りますが、中身の好みは家族それぞれです。

 

夫は豚肉とエビを叩き、茹でたキャベツを細かく切って入れるのが大好きです。タレは酢醤油かニョクマム。餃子そのものを楽しむ派と言えましょう。息子はひき肉とニラを入れ、下味を濃くしたもの。それを白い炊きたてのご飯と共に食べるのが好きでした。おかずとして食べていたわけです。

 

私はといえば、中身はなんでもいいのですが、皮がぱりっとしていないと嫌で、失敗したときは泣きたくなります。タレはラー油で、キーンと冷えたビールを飲みながら食べ、食べながら飲み…。つまみですね、結局。

 

 

餃子に歴史あり

餃子は、私にとって、今日の夕飯にも食べたい、まさに現在進行形の食べ物です。けれども、な、なんと、紀元前6世紀にはすでに存在していたというではありませんか。
唖然とするほど、長い歴史のある食べ物だったようです。

 

紀元前6世紀の春秋時代の遺跡から、餃子と思われる食べ物が発見されているといいますし、漢の時代には、書物に餃子のことが記されているそうです。さらには、新疆ウイグル自治区のトルファンにあるアスターナ古墳群からは、唐時代の小麦料理の化石が発見されています。

 

餃子の化石!! 見てみたいような、そうでもないような…。微妙です。いすれにせよ、餃子は長い長い歴史を通じ、人々に愛されてきた稀有な食べ物だったのです。

 

 

日本に餃子が伝わったのは

日本で餃子が好まれるようになったのは、第二次世界大戦後のことだといいます。

 

戦後、中国から帰ってきた人たちが、日本の各地に中国の餃子を広めていき、次第にそれぞれの地域独特の餃子も誕生しました。面白いことに、現在、餃子をいちばん好んで食べているのは、栃木県の宇都宮市。次に京都、群馬県の前橋と続きます。

 

ちなみに、私の実家では餃子は外食で食べるもので、家では作りませんでした。神戸に住むようになった1985年頃に、突如、我が家の食卓に餃子が頻繁に登場するようになったのです。

 

なぜそうなったのか、私にもわかりませんが、餃子という食べ物は、それぞれの土地に持ち込まれるや、自由に変化を遂げ、「これこそが餃子だ」と、マイブームに似た発展を遂げるような気がしてなりません。

 

 

世界に広がるわれらの餃子

餃子は中国にその源を持つものかもしれませんが、世界にも小麦粉を練って伸ばした生地にいろいろな具材を包んだ料理があります。
その土地によって、それぞれの変化を遂げた「餃子たち」です。

 

①ポーランドにはピエロギ
中身は炒めたタマネギやジャガイモ、チーズ、肉と塩漬けしたキャベツなど。フルーツやチョコレートなどをつめたデザート餃子もあるとか。
イチゴ大福のような不思議な組み合わせ…。食べたいような食べたくないような。

 

②イタリにはラビオリ
いまやおなじみとなった料理ですね。生地をギザギザのローラーで切り分け、具はお好みで。

 

③韓国にはマンドゥ
具にはひき肉、大根、キムチや春雨を入れることが多いといいます。鍋の具としても好まれます。

 

他にもウクライナにはヴァレーヌィク、グルジアのヒンカリ、ウズベキスタンのマントゥなど、バリエーションの豊さに驚かずにはいられません。

 

 

学会まである? 餃子の世界は深いのね

日本で「餃子の町」としてPRしているところが10か所以上あるといいます。ホームページなども作られていて、日本人の「餃子愛」を感じないではいられません。

『餃子のひみつ』に挙げられているホームページは以下の3つ

 

餃子の王将  http://www.ohsho.co.jp/
宇都宮餃子会 http://www.gyozakai.com/
浜松餃子学会 http://www.hamamatsugyouza.com/

 

中国で生まれ、世界各地に伝わった餃子。
そして、我が家には我が家でしか作ることができない餃子があります。
餃子を食べる度に日記をつけ、「私の餃子ダイアリー」を作ってみたら、楽しいかもしれませんね。

 

【著書紹介】

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餃子のひみつ

著者:山口育孝(著)、青木萌(イラスト)
出版社:学研プラス

ラーメンにチャーハンに餃子、中華料理の人気メニューだよね。でも、餃子って、いつごろから食べられていて、本場の中国と日本ではどう違うのか? 餃子と同じような食べ物は他の国にもあるのか? みんなの知りたい餃子のひみつを、この本でよくわかるよ。
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