本・書籍
2015/12/16 0:00

海外のガイドブックに書かれている意外な日本

主に中国人観光客が大量に商品を購入することに用いられる言葉「爆買い」が、2015ユーキャン新語・流行語大賞に選ばれた。日本を訪れる中国人は増加しており、10月だけでも前年同月比99.6%増の44万5600人が日本にやって来ている。

 

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そんな中国人観光客の多くは「自国で発行された日本の観光ガイドブック」を手にして訪日するという。しかし、そのガイドブックの中には私たち日本人からすると「?」と思ってしまうことや、中国からみた日本独特の文化が記されている。

 

『ニッポンのトリセツ』(ゴーシュ・著/立東舎・刊)では、丸々一冊こうした外国人向け日本観光ガイドブックの興味深い内容に迫っている。中国からみた意外な日本の姿を見ていこう。

 

 

日本で気をつけること

 

日本人と話をするとき、相手の年齢、既婚未婚の状況、給料はいくらかなど、プライベートな内容を尋ねてはならない。

(『ニッポンのトリセツ』から引用)

 

初対面で上記のことを聞かれた場合、個人的に年齢・既婚かどうかまでは普通に答えられるが、給料を聞かれたらさすがに表情が固まってしまうかもしれない。しかし、中国ではこうしたプライバシーに関する質問は当たり前のようだ。その方が親近感があると思われているらしい。給料についても「相手の収入はいくらか?」と詮索する意味ではなく、自分がもらっている給料が妥当かどうかを確かめるためだそう。

 

日本人が親指と人差し指で作った○にうなずくと、あなたがお金を支払わなければならない雰囲気になる。

(『ニッポンのトリセツ』から引用)

 

中国でのお金のジェスチャーは中指と人差し指をくっつけて、それを親指でこするとお金をせびる意味になるという。お金を数える時のしぐさから来ているのだろうか。誤解を招かないためにも、お互いジェスチャーを使う際は気をつけた方がよさそうだ。

 

 

中国人からみた日本人

 

多くの日本のテレビのドラマでは出演者が食事をするとき、「いただきます」、食べ終わると、「ごちそうさまでした」と言う。

(『ニッポンのトリセツ』から引用)

 

日本人からすると当たり前な食事での挨拶だが、中国では「いただきます」や「ごちそうさま」という習慣がまったくない。なので日本人のこうした食事の挨拶を中国語に翻訳するのはとても苦労するそうだ。

 

日本人の喜ぶ図案は、松、竹、梅、アヒル、亀などである。

(『ニッポンのトリセツ』から引用)

 

「アヒル?」と思った方も多いだろう。これは本著いわく「鶴」の誤りではないか、とある。ちなみに中国では、金が余るに通じることから「金魚」や子だくさんの象徴である「ざくろ」、豊かさの象徴の「牡丹」などの図案が喜ばれるそうだ。

 

この他『ニッポンのトリセツ』には中国だけでなく、アメリカや韓国で刊行されている日本のガイドブックの内容も紹介されている。日本では当たり前の習慣や文化が、海外のガイドブックには新鮮な視点で書かれていて面白い。
日本人が知らない日本は、こうした海外のガイドブックに潜んでいるのかもしれない。

 

 

(文:フムフム編集部)

 

【文献紹介】

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ニッポンのトリセツ
著者:ゴーシュ
出版社:立東舎

日本人の知らないNIPPONが紹介されていた! 日本にやってくる外国人旅行者は年々増加しています。体感的にも最近彼らとよく出会うと感じられるのではないでしょうか。そんな彼らの多くは、観光ガイドブックを参考にして、旅行プランを練ったり行動を決めたりしています。では、そのガイドブックにはどんなことが書いてあるのでしょう? 本書では、外国人旅行者の大半を占める英語圏、中国語圏、韓国語圏で発行されている日本観光ガイドブックを調査し、日本におけるマナーやしきたり、日本のルールについて書かれている部分を抽出。「外国人にはこれが新鮮に映るんだ」というものから、「日本人ってこんなふうに見られていたの?」と思う記述までたっぷり400本を紹介。「外国人から見た日本」を理解することで、日本の良い点、悪い点を再発見できるはずです。

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