本・書籍
2018/5/2 16:30

竜宮城から帰ってきた「浦島太郎」の前に「ピーターパン」が現れたら――『名作転生3巻 主役コンプレックス』

光の中の深い闇

ネタバレしないように気をつけながら、いくつかお話を紹介していく。第1話は「舌切り雀」をベースにした野球少年2人の物語『4』。「舌切り雀」は、強欲を戒める話だ。『4』もその恐ろしさについて述べられているのだが、原作とはまったく違う種類のファンタジー小説に仕上がっている。ラスト数行の描写は、光の中に潜む深い闇みたいなものが皮膚感覚で伝わってきて……。いや、もうこのくらいにしておこう。

 

ぜひアニメ化していただきたい。あだち充先生っぽい画調で。

 

 

長くリアルな夢

次のお話のモチーフは「眠れる森の美女」。舞台はとある学園。夢現のような状態の中、話が進んでいく。グリム童話版でもディズニー版でも、長い眠りから王女を目覚めさせるのは王子様のキスだ。この作品、眠りから始まってキスに至るまでの展開で描かれる情景は日常的なのに、不思議な感覚に満ちている。それまでの展開とは対照的な、切ないラストが記憶に残る。

 

実写版は、神木隆之介さんと高橋ひかるさんでお願いします。

 

 

ありえない共演

『正しい玉手箱の使い方』は、浦島太郎がピーターパンと出会うというシチュエーションで幕を開ける、これまたオリジナリティあふれるファタジックな物語。玉手箱を開けたらどんなことが起きるかは、誰もが知っている。それを逆手に取ったラストまで、スピーディーな文章で一気に走り切る。その過程でそれぞれのキャラクターの背景がひとつにまとめられていく展開に惹かれる。

 

実写版は、浦島太郎に佐藤二郎さん。ピーターパンはジャスティン・ビーバーかな。

 

 

私案:『TOP GUN: MARVERICK』

いらないよ、と言われるに決まっているのはわかっている。でも、いちおう聞いてほしい。筆者案『TOPGUN : MARVERICK』のストーリーラインを。

 

前作で非業の死を遂げたマーヴェリックの相棒、グースの息子――ブラッド・ピット主演の『フューリー』で好演したローガン・ラーマンがいい――が父親の跡を継いで空軍パイロットになり、トップガン入りしてマーヴェリックに師事する。卒業間際のある日、シリアで不穏な動きが。マーヴェリックはグースの息子と一緒に出撃。上空でロシアのミグに待ち伏せされピンチに陥るが、その時、こちらもトップガンの教官になっていたアイスマンが助けに来て、敵機を撃墜。

 

インド洋上に展開していた空母に帰還後、甲板を歩きながらハイタッチするアイスマンとグースの息子。それを頼もしそうに見つめるマーヴェリック。視線を移すと、水平線に沈んでいく夕陽。エンディングテーマはもちろんベルリンの『Take my Breath Away』。

 

ベタな展開であることは否めない。もっともっとひねりを利かせないと、平坦すぎるだろう。『主役コンプレックス』を読み込んで、キャラの活かし方と物語の広げ方をもう一度確認した後、練り直してみるか。

 

【書籍紹介】

 

主役コンプレックス

著者:田丸雅智ほか
発行:学研プラス

――だれもが知っている話を、だれも知らないかたちで。浦島太郎、銀河鉄道の夜、白雪姫……10本の名作から新たに生み出された、バラエティ豊かな物語たちをお楽しみください。もちろん原作を知らなくても大丈夫。新感覚の短編シリーズ第3弾。

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