本・書籍
2018/5/31 6:00

【今日の1冊】松岡修造は「決して残さない」「美味しかったらおかわりをする」――『おいしい記憶』

母と娘をつなぐもの

和田佑美子さん「ふたつのお弁当箱」

ある時台所の片付けをしていると、私が高校生の時に使っていたお弁当箱と、色の違う同じ形のお弁当箱が出て来た。なぜ二つの色違いのお弁当箱があるのだろうと不思議に思い、母に聞いてみると(中略)「実はね、あなたのお弁当を作る時、お母さんの分も時々一緒に作っていたの」

(『おいしい記憶』から引用)

 

和田さんの学生時代。お昼どきになると、お母さんから携帯メールが届いたそうです。メールの内容は「お弁当の批評」でした。

 

当時は、メールの意図がわかりませんでした。じつは、娘と「おなじ時間帯」に「おなじ弁当」を食べることによって、離れていてもまるで同席しているようなランチタイムを過ごしていたわけです。母の遊び心であり、娘恋しさでもあり、涙腺をくすぐられるエピソードです。

 

家族のだれよりも早起きして、朝食を作って、さらに昼食(お弁当)の支度をする。とてつもない労力です。学生のとき、手づくりのお弁当を食べていたのなら、それこそが「愛」を証明するものです。

 

 

忘れられない「しあわせの味」

紹介したエッセイ集『おいしい記憶』は、キッコーマンが協賛する「あなたの『おいしい記憶』をおしえてください。」コンテストの入賞作品をまとめたものです。著名人による「12本の描きおろしエッセイ」も併録しています。

 

綴られている「おいしい記憶」は、ほとんどが「家族」と過ごした思い出です。なにげない食事であっても、気持ちの通じた人たちと食べるほうが「おいしい記憶」として残るのでしょう。

 

ちなみに、松岡修造さんがリポーターを務める「くいしん坊!万才」は、キッコーマンの1社提供番組です。もはや「仕事を越えたライフワークである」と熱く語っています。

 

上戸彩さんは、キッコーマンの製品である「わが家は焼肉屋さん」「濃いだし 本つゆ」などのコマーシャルに出演しています。今回のエッセイでは、上戸さんの意外な一面や、子ども時代〜デビュー直後のこと、共働きだったお母さんの得意料理など、ほかでは読めない貴重なエピソードを語っています。お試しください。

 

【書籍紹介】

おいしい記憶

著者:上戸 彩ほか
発行:中央公論新社

人には誰にも、「おいしい記憶」があります。食の幸せ「おいしい記憶」にまつわる作家・著名人による珠玉の書き下ろしエッセイ12本を収録。そして、キッコーマン株式会社が毎年公募している「あなたの『おいしい記憶』をおしえてください コンテスト」の入賞作品10本をちりばめ、構成されたアンソロジーです。カバーと本文には、けしごむはんこ画家・とみこはんの温かくおいしそうなイラストをちりばめ、食の思い出を彩ります。誰にでもある「おいしい記憶」を呼び覚ます、そして、読めば誰かと食事をしたくなる1冊です。

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