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2018/6/7 6:00

【朝の1冊】踏まれたら立ち上がらない。あなたの知らない雑草の3つの生き残り戦略――『雑草はなぜそこに生えているのか』

若者をはげますときに「雑草魂」という言葉が使われます。しかし、根性論だけでは雑草のように「しぶとく生きる」ことはできません。なぜなら、雑草は「弱い」からです。実際には、踏まれても立ち上がりません。根性で乗り切るタイプではなく、どちらかといえば戦略家タイプです。

 

雑草はなぜそこに生えているのか』(稲垣栄洋・著/筑摩書房・刊)は、どれだけ刈り取っても生えてくる「雑草のひみつ」を、雑草学の第一人者がわかりやすく解説しています。

 

雑草は「競争に弱い」

もっとも基本的な特徴は、「弱い植物である」ということだ。(中略)「雑草が弱い」というのは、「競争に弱い」ということである。

(『雑草はなぜそこに生えているのか』から引用)

 

雑草といえば、アスファルトの隙間から生えるほど「たくましい」イメージがあります。どこでも生きられる印象があります。でも実際には、競争相手(ほかの植物)がいない場所でしか、雑草は生き残ることができません。

 

植物が育つためには、「太陽の光」「水」「土(養分)」が必要です。まわりに「背の高い植物」があれば、光がさえぎられたり、水や養分を取られたりして、雑草はすぐに枯れてしまいます。

 

だから、まわりに競争相手がいなければ、アスファルト道路や荒れた土地でも生き延びます。競争には弱いけれど、その代わりに「適応力」が高い。だから雑草は「たくましい」と見なされるのです。

 

 

雑草は「立ち上がらない」

雑草を観察していると、雑草は踏まれても立ち上がるというのは、正しくないことがわかる。(中略)よく踏まれるところに生えている雑草を見ると、踏まれてもダメージが小さいように、みんな地面に横たわるようにして生えている。

(『雑草はなぜそこに生えているのか』から引用)

 

雑草は立ち上がりません。体勢を戻すためのエネルギーが「もったいない」からです。それよりも、花実をつけて、なるべく多くの種子(子孫)を残すためにエネルギーを使います。

 

世の中に流布している「雑草のイメージ」は誤りです。ガムシャラに生きているわけではありません。雑草は、とても高度な生存戦略をそなえています。わかりやすい事例として、世界的な雑草である「スズメノカタビラ」の生態を紹介します。

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