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2018/6/7 6:00

【朝の1冊】踏まれたら立ち上がらない。あなたの知らない雑草の3つの生き残り戦略――『雑草はなぜそこに生えているのか』

雑草は「環境変化に強い」

スズメノカタビラは、日本ではゴルフ場の主要な雑草としても知られている。ゴルフ場にはティ、フェアウェイ、ラフ、グリーンなどの場所があり、それぞれ異なった高さで芝刈りが行われている。

ところが、驚くことに、スズメノカタビラは、生えている場所の芝刈りの高さで刈られないように、芝刈りの高さよりも低い位置で穂をつけているのである

(『雑草はなぜそこに生えているのか』から引用)

 

グリーン芝の高さよりも、すこしだけ低いところに穂をつける。すると、芝刈り機をスルーできるので、実(種子)を残すことができます。ちゃっかり者です。

 

スズメノカタビラの環境適応は、雑草のたくましさを裏付ける「遺伝的変異」という特性です。試しに、フェアウェイに生えていた「スズメノカタビラの種」を栽培してみると……見事に「種を採取した場所のフェアウェイ芝よりもすこし低い位置」に穂をつけます。したたか!

 

ティ、ラフ、グリーンのスズメノカタビラ種子で試しても、それぞれが遺伝的変異によって、芝刈り機を避けられる「穂の高さ」を再現します。ほかの植物に比べれば「競争に弱い」けれど、雑草は「環境変化に強い」ことがわかります。

 

 

グローバルに活躍する「帰化雑草」

もともと、クズは成長が早いので、土砂流出が進むアメリカでは、大地を緑で覆う救世主として期待され、導入された。しかし、そんな人間の思惑に収まりきらず、またたく間に広がって問題になっている。

(『雑草はなぜそこに生えているのか』から引用)

 

日本では、吉野葛が「高級和菓子」の材料として珍重されています。しかし、アメリカでは「Kudzu」と呼ばれて恐れられているそうです。「Godzilla」みたいですね。

 

西洋タンポポやセイタカアワダチソウに代表されるような「帰化雑草」は、海外渡航者や輸入飼料を介して「種子」が持ち込まれたことによって、日本に根付きました。大相撲などスポーツの世界でも、故郷を離れてやってきた外国人選手が、日本人選手を圧倒することは珍しくありません。

 

日本に帰化した外来種でいちばん有名なのは「ブラックバス」です。アメリカ大陸からやって来ました。雑草の世界でも、日本産の「ススキ」がアメリカに渡って猛威を奮っているそうです。わたしたちも日本人も、雑草のように立ちまわって、グローバル社会を生き抜きましょう!

 

【書籍紹介】


雑草はなぜそこに生えているのか

著者:稲垣栄洋
発行:筑摩書房

「抜いても抜いても生えてくる、粘り強くてしぶとい」というイメージのある雑草だが、実はとても弱い植物だ。それゆえに生き残りをかけた驚くべき戦略をもっている。厳しい自然界を生きていくそのたくましさの秘密を紹介する。

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