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自己啓発
2018/6/21 6:00

【朝の1冊】食欲をガマンできる人が「出世する」のはなぜか?――『江戸時代の小食主義』

朝寝の弊害について

およそ朝寝をする者は、生涯の七分を寝て暮らし、一分を飲食のために費やし、さらに一分を物見遊興に過ごし、やっと残り一分の日夜で稼ごうとするけれども、これで立身出世があるはずがない。

(『江戸時代の小食主義』から引用)

 

1日は24時間です。「七分」とは「七割」のことですから……約16時間。大げさではありません。惰眠をむさぼろうと思えば、いくらでも布団の中でゴロゴロできるからです。

 

アラームで目覚めたのに、すこしだけ眠ってしまう。毎日15分としても、積み重なれば数年分になります。人生は有限です。たとえ小食を守っても、朝寝や二度寝にかまけるならば、他人との競争に勝てるはずがありません。

 

 

食べすぎない「おまじない」

「小食」が立身出世に役立つことはよくわかりました。しかし、現代には「おいしい食べ物」があふれています。食べ放題のビュッフェやバイキングにおいて、食べすぎないための「おまじない」を紹介します。


なお慎みがたき時は、飯一椀を以て雪隠の屎中に落しみるべし。たとへ人面獣心の者といへども、これを屎中に捨つること能はず。(中略)慎み悪しき人は、日々食物を雪隠に捨つるがごとし。恐るべき事なり。

(『江戸時代の小食主義』から引用)

 

雪隠(せっちん)は、江戸時代におけるトイレの呼称です。汲み取り式のボットン便所。屎とは、食べ物のカス。わたしたちが排出する「アレ」のことです。

 

「飯一椀を以て雪隠の屎中に落し」とは、「ごはんを便器のなかに捨てる」という意味です。大酒暴食とは、必要のない栄養をむさぼることです。吸収できなかった栄養は排出されます。それは食べ物を「雪隠の屎中に落し」ているのと同じことです。食べすぎそうになったら、この理屈を思い出しましょう。

 

『修身録』の著者は、「まず三年、食を慎んでみよ」と説いています。それだけ自制できれば、何らかの成果を感じることができるはず。お試しください。

 

 

【書籍紹介】

江戸時代の小食主義――水野南北『修身録』を読み解く

著者:若井朝彦
発行:花伝社

貝原益軒『養生訓』と並び立つ指南書『修身録』。現代にも通ずる「小食主義」の神髄に迫る。壮年に至って一念発起し人相学を極め、大家として千人を超す門人を誇り、教訓の宝庫である著作を残した江戸時代の怪人・水野南北。食を通じて見定めた健康、立身出世、開運、富……人生を左右する「小食主義」とは?

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