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料理
2018/10/8 6:00

もう食材を腐らせない! 美味しくないとも言わせない! 作りおきバンザイ!――『kotoさんのかしこい作りおき』

最近、保育園から帰ってきた娘たちからの「お腹空いた!」コールが止まらない。

 

夕食の準備はこれから。どんなに早く見積もっても30分、いや45分はほしい。どうにもお腹が持たないと懇願され、仕方なくおやつを少々渡すのだが、子どもの食欲は「少々」では収まらず、お腹が満たされるまで食べようとする。結果、せっかく作ったご飯があまり食べられないという悪循環に陥る日も少なくない。(もれなく「おやつ食べたからだよ! せっかく急いでご飯作ったのに!」と母キレる)

 

家庭円満のためにも、帰宅して10分で食事にするためには、あらかじめおかずを作りおきしておく必要が出てきた。

 

だが、作りおきに関しては個人的に苦い思い出があるため、今ひとつ踏み出せないのだ。

 

 

食材は永遠に腐らないと思っていた

私は大学を卒業するまで実家住まいだったのだが、料理というものをほとんどしてこなかった。そして、いざ就職して東京での初の一人暮らし。当然外食ばかりともいかず、小さな小さな備えつけのキッチンで慣れない料理に四苦八苦していた。

 

といっても、食材を炒める、煮るくらいの簡単料理。たとえば、ナスと豚肉を炒めて、東海人御用達の味噌ダレで和えるだけ。ご飯のお供にしたり、パスタを茹でてソースにしたり、何かと使い勝手が良い。

 

だが、ある日異変に気づいた。定番のナスと豚肉の味噌炒めが、なんだかおかしい。やたらと糸を引く。例えるならば、納豆のような。食べてみると、味はさして変ではない。気のせいだろうか。いや、こんな粘り気があるのは、やはりおかしい。

 

ここまできて初めて「もしかして、腐ってる?」と気づいた。

 

実は、フライパンで作った料理をそのまま放置し、食事毎にお皿にうつして数日間食べ続けていたのだ。季節は春の終わり頃。気密性の高いマンション内で、日中の部屋が何度になっているのか想像もできなければ、冷蔵庫で保存するという発想もなかった。ああ、若かった。お腹を壊さずに毎日元気に過ごしていたのは、奇跡かもしれない。

 

そして数年後。さすがに「冷蔵庫で保存をする」ことを覚えた私だったが、どのくらい持つのかが皆目見当もつかない。冷蔵庫に入れておいたサンドイッチが、ある日見た目にもおかしいと気づく状態に。作ってから何日経っていたか不明だが、明らかに腐敗しかけていた。

 

さらに数年後、「冷凍保存」という賢者の知恵を知った私は、大量に購入した揚げが食べきれず、刻んで冷凍保存しておいたのだが、後日その揚げを使って作った料理を食べたら、頑固な私のお腹が壊れた。

 

そんなわけで食材の保存に自信がなく、「作りおき=いつまで食べられるか不安」という図式が勝手に出来上がってしまった。

作りおきは料理の幅を広げる”とっておきのアイテム”である

SNSを見れば、週末作りおきしたおかずをおしゃれにタッパーに詰めて、披露する投稿が目に入る。美味しそうだ。このおかずたちがあれば、平日の夕方にドタバタしなくて済む。だが、やはり作りおきに対してネガティブなイメージが払拭しきれない。

 

そんなとき友人から薦められたのが『kotoさんのかしこい作りおき』(koto・著/学研プラス・刊)だった。家事代行サービス「タスカジ」で人気の予約が取れない家政婦・kotoさんによる作りおきレシピ本だ。これまで、数えきれないほどのタスカジユーザーのお腹と心を満たしてきたkotoさんに習えば、私の作りおきに対する拒否反応も薄れるかもしれない。

 

なんでも、作りおきは料理の幅を広げるとっておきのアイテムであり、かしこく作りおきしてかしこく保存する4つのコツがあるのだとkotoさん。早速、本書から覗いてみよう。

 

 

伝説の家政婦に聞く「かしこい作りおきのコツ」とは

1.保存のコツ

食材が腐敗する原因は、温度、水滴、汚れ。そこで、常温は避けて、必ず冷蔵庫、もしくは冷凍庫で保存すること。清潔な保存容器を使い、必ず取り分け用の箸を使うこと。3日目以降は加熱して殺菌すること。お弁当のおかずにするときは、電子レンジで再加熱&水滴が出ないように完全に冷ますこと。これらを守れば、長持ちする。

 

2.おいしさのコツ

煮物や煮込み料理は、冷める時に食材に味が入り美味しくなる。マリネなどの漬け込み料理も、寝かせるほど味が染み入る。梅干しや生姜、カレー粉などの香辛料を活用すると、殺菌・防腐効果があり、より美味しさが保てる料理に。水分の少ない料理法にするのもポイント。

 

3.コスパのコツ

食材を余らせず使い切れる、そして毎日の調理が省けることで、電気代やガス代、水道代などの光熱費の節約になる。かしこく作りおきを実践することで家計も助かる。

 

4.時短のコツ

野菜はアクの弱いものから茹でる、野菜を切る作業と茹でる作業を並行して行うなど、調理工程がスムーズに進むよう考えておくと、さらに時短となる。

 

なんとなく、作りおきしてもすぐに味が落ちるのでは? 作業が大変なのでは?というイメージだったが、保存法を工夫すれば美味しく長持ちし、料理のバリエーションも増え、さらには家計にもプラスになる、まさにいい事づくしのようだ。

思いもよらない料理法で一週間美味しく「いただきます!」

kotoさんが紹介するレシピは、どれも優しい味付けで、減塩などにも気をつけていて、子どもからお年寄りまで大満足だと評価が高い。しかも、時短&手間いらずのかしこい料理法ばかり。

 

たとえば、意外に手間がかかるハンバーグもkotoさんの手にかかれば、肉ダネを敷き詰めて、オーブンで焼いて完成! コップなどを使ってくり抜けば「ハンバーグ」に、四角く切れば「ミートローフ」に、残った肉ダネはほぐして「そぼろ」に。そぼろがあれば、ビビンパもキーマカレーもタコライスもそぼろ丼も、自由自在にアレンジ可能。冷蔵で2~3日、冷凍で2週間保存可能なので、これだけで一週間分のおかずが1つ完成してしまう。

 

他にも、作りおきが難しそうな魚料理や常に冷蔵庫に置いておきたい常備食材の作りおきなど、この本をまるまる真似したら半年、いや一年は献立に困らなさそうな情報量だ。

 

お店のような本格的なローストビーフも、鍋に入れて放っておくだけ!

 

レシピごとに、保存期間の目安がしっかり表示されていて、保存方法のコツも載っているので、食材保存に大きなトラウマがある私でも安心して挑戦できる。作りたい味付けになる調味料の掛け合わせ法も紹介されており、まさに無敵の作りおき本である。

 

とにかく、主婦の皆さんはもちろん、料理初心者の男性陣でも失敗しない簡単レシピばかり。ぜひ次の週末はパパが作りおきレシピに挑戦し、奥さん&子どもに「男の手料理」を振る舞ってみてはいかがだろうか。

 

【書籍紹介】

Kotoさんのかしこい作りおき

著者:Koto
発行:学研プラス

冷蔵庫の食材を使いきりたい、大量に野菜をもらったから保存がきくおかずにしたいなど、ユーザーさんからのリクエストは、全国の主婦のお悩みと一緒。そこで、つくりおきできるおふくろの味レシピと魔法と絶賛される時短&使いきりテクを教えてもらいました。

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